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サンジはばたばたと手足を動かし続けていた。
スモーカーは屋敷中を歩き回り、
それからゾロの寝室に足を踏み入れた。

・・・警部・・・、
それって見せつけてるみたいです・・・。
あのコを堂々とベッドルームに・・・。

ゾロの寝室を捜査していた警官たちは、
固まった。
スモーカーがいきなりサンジを抱えてやってきて、
ゾロのベッドの上に放り投げたのだ。

「チクショウ!!!!
離しやがれ!!! コラ!!!
いてえじゃねえか!!!」

暴れ続けるサンジの上に馬乗りになるスモーカー警部を、正視できず、
かといって見のがすわけにいかず、
警官たちは任務を続けているフリをしながらも、
全神経をスモーカーとサンジの方に向けていた。

「うるせえ!!!!
だまってろ!!!」

スモーカーはそう言うと、
サンジの両手を一まとめにして、片手で押さえ付け、
もう片手でサンジの口を塞いだ。

あわわわわ。
警部、ここでヤるのか?
・・・こここ、公開プレイ???
 

寝室を捜査していた警官は、
捜査道具をとりおとし、
任務を放棄した野次馬たちが物凄い勢いで集まりつつあった。

サンジは絶対的な力の差を感じていた。
チクショウ!!!!
重いスモーカーの身体をはねのけようとしても、
どうにもならない。
「・・・んんん・・・」
叫び声はくぐもった声にしかならなかった。
悔しくて、目には涙があふれて来た。

なんで・・、
なんで、こんな目に遭わなけりゃならねえんだよ!!!
チクショウ!!!
それもこれもゾロが悪りいんだ・・・。
ゾロのせいだ・・・。
 
 
 
 
 

「オイ、サンジ。
オールブルーは何所だ。
知っていることを吐け!!!!」

サンジの脳裏にゾロにオールブルーを見せられた時のことが蘇った。
あの深い深い青。
身体の中を突き抜ける陶酔の瞬間。
ゾロ・・・。
何だったんだよ、アレは。

ココで・・・見た。
このベッドの上で。

封印していたはずの、
なまなましい記憶が一気に流れ出してくる。
ゾロに抱かれた記憶。
忘れようとしたけれど、
どうしても忘れられない記憶。

・・・や・・・だ。
嫌だ。
思い出したくねえ。
思い出したら、オレは身動きとれなくなっちまう。
どうしていいか分からなくなっちまう。

急に暴れだしたサンジをスモーカーは力を込めて押さえつけた。

そういや、ココでヤられてたか、こいつは。
目の前のサンジを見ると、
涙目でスモーカーを見上げている。
片手で拘束できる細い手首。
・・・確かに、エロくせえ奴だ。
今すぐにでも、ヤれそうだ。
 
 
 
 
 

警官たちは捜査を中断し、
固唾を飲んで、スモーカーとサンジの様子をながめていた。
 
 
 
 
 
 

「オイ・・・なんの真似だ・・・それは」
スモーカーが声の方を振り向くと、
いつ入ってきたのか、
エースが険しい顔をして立っていた。

「じょうだんじゃなーーーーーいわようっっっっ!!!!!!!!!!!
ああっ、エース、いたのねいっ!!!!!!!」
ボン・クレーも野次馬を押し退けながら部屋に乱入してきた。

それから、危険な雰囲気で立つエースと、
涙目で組みしかれているサンジと、
のしかかっているスモーカーを交互に見た。

・・・なんなのようっっっっ!!!!
スモーカーったら、
ヤる気まんまんじゃないのようっっっ!!!
それも、以前ゾロがヤってた場所で!!!!
ああ、エースが怒ってるわようっっっ。
あちしたちの美しい友情にヒビが入ってしまうのようっっっっ!!!!!!!

どどど、どうしようかしら。
あちし、大ピンチようっっっっ。
 
 
 
 
 

部屋の空気がぴんと張りつめた。
 
 
 
 
 

突然、部屋の外から騒ぎ声が聞こえてきた。
「うわあああああああ、バケモノだっっっ!!!!」
怒鳴り声と、バタバタとかける足音がして、
トナカイが部屋の中につっこんできた。
チョッパーが見つかって逃げ込んで来たのだ。

「サンジを離せ、コノヤロー!!!!」
チョッパーは自分も追い詰められ、
オドオドしながらも、
サンジの状態を見ると、助けようとした。

「トナカイがしゃべった!!!!!!」
「バケモノだっ!!!!」
「バケモノ屋敷だっっっ」
「バケモノを捕獲しろ!!!!!」

部屋の中には一斉に人がなだれ込んできた。
チョッパーが逃げ、
捕獲しようとする者たちが、
バタバタと走り回っている。
 
 
 
 
 
 

・・・なんだ、こりゃあ。
スモーカーは白昼夢を見ているのかと思った。

ケンカモードのボン・クレーとエース。
まわりにはバケモノトナカイと走り回る警官たち。
自分の身体の下にはアヒルみてえなサンジ。

すべてが非現実だ。
捜査はめちゃくちゃじゃねえか!!!!
スモーカーは憎しみをこめてサンジを見た。
サンジは涙のいっぱいたまった目でスモーカーを見ていた。
・・・バカヤロウ。
そんな目でみるんじゃねえ。
オレはてめえを助ける気なんざねえ。
そんなすがるような目で見たって、
オレの信念は変わらねえ。
そういうツラは情夫だけに見せとけ。
オレの前でそんなツラするんじゃねえ。
 
 
 
 
 

なによう・・・、
スモーカーったら、
サンジを食い入るように見つめてるじゃない。
ヤる気だわねい。
ヤりまくる気よねい。
・・・あのコ、壊れてしまうわよねい。
このまま放置しておきたい気もするけど、
あちしにはエースとの友情が・・・。
好奇心と友情の板挟みになる、あ・ち・し。
くううううっっっっ、
どうすればいいのようっっっ。
ボン・クレーはくるくると回りはじめた。
 
 
 
 
 

エースは攻撃モードでスモーカーの様子をながめていた。
エースは待っていた。
サンジが自分に助けを求めるのを。

もう少しだ。
もう少しで、
ゾロでなく、
自分の手に落ちる。
 
 
 
 
 
 

その時だ。

「大変です!!!!!!!!!!!!!!
大変なことに!!!!!!!!」

警官が絶叫しながら、
転がるようにして走りこんで来た。
 
 
 
 
 
 

「ヒナ警部から、今すぐ警察に戻るようにと!!!!!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「オールブルーが、盗まれました!!!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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