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スモーカーは己の部屋で激しく葉巻をふかし続けていた。
目の前には、
いつまでもしゃべりつづけるボン・クレーがいた。
「それで・・・、
あちしは0ちゃんにはそれ以来、
頭が上がらないのようっっっ」

ボン・クレーが言葉をしゃべっているのは分かる。
だが脳が受け付けたくねえらしい。

・・・クソ・・・、
いつまでしゃべる気だ。

初めて警察に採用になった日の思い出から話は始まり、
その日は朝からどのスワンの服にするか迷ったことを延々としゃべるのだ。

・・・クツのトリに名前がついとったんか・・・。
いや、それ以前に違うのか?
全部同じにしか見えんが、
オスだのメスだの言いやがるし・・。

要約すれば、
同期で警察に入り、
ミスをした時にクロコダイルに助けられ、
クビをまのがれたということだ。

「あちし・・・・、
Mr.2なのようっっっっっ。
0ちゃんの言うことには逆らえないのようっっっ」
コードネームがついた者は絶対服従。
逆らうものには死が。

「組織の名はバロックワークスって言うのようっっっっ。
幹部なのようっっっっ、
あ・ち・し」

闇の警察組織の噂は聞いたことがある。
危険な組織だと・・・。
おそろしく勢力を伸ばして・・・、
警察を乗っ取るのではないかと言われているという。

間違いない。
あの男は、何かをやる。
スモーカーはギリリと奥歯を噛み締めた。
 
 
 

「クロコダイルのお気に入りに、
バロックワークスの者は絶対に手を出したらいけないのよう。
もちろん0ちゃんが何をしても絶対服従ようっっ!!!
Mr.プリンスとMiss.プリンセスがどんなことをしても、
我々は手出しをしたらいけないのよう。
前のMr.プリンスは0ちゃんに消されたのようっ・・・。
Miss.プリンセスがいたときもあったけど、
誰ももうその姿を見たことがないのようっっっ。
彼らがどうなるのか、
知ってるものは誰もいないのようっっっっ。
生きてる者がいないんだから・・・」

スモーカーはちらりとサンジのことを思い浮かべた。

「オールブルー事件のことを調べてて、
0ちゃん、あのコが気に入ったみたいなのようっっっ。
例の画像は見つけれてないみたいだけど・・・、
あんたが手を出したとことかバッチリ残ってるわようっっっっ」

「あァ?
オレは手なんぞ出してねえぞ」
スモーカーはこめかみに青筋をたてた。

スモーカー以外はみな、
警察で既成事実がつくられたと思っている。
誤解は事実として受け入れられていた。

「がーーーーっはっはっは。
あんたらしくないわようっっっっ。
テレてるのねいっっっっ。
スワン、スワン。
でも、あんたの春はもう終わりようっっっっ」

ボン・クレーのテンションが急に高くなった。
「あちしが、
Mr.プリンスを連れていくことになったのようっっっっ。
あんたが、逆らうなら、
逮捕していいことになってるのようっっっっ!!!!!」

何だと?
スモーカーの目つきが変わった。
ボン・クレーの目つきも変わった。

「そういう事なのよう、スモーカー。
あんたは、この事件から外された・・・。
勝手に動いても、逆らっても即逮捕。
・・・0ちゃんは、あんたが逆らうのを待ってる。
スモーカー、あんたを消す気ようっっっっっ」
 
 
 

何だと?
これはもう警察なんかじゃねえ・・・。
正義は・・・、
正義はどこにある?
 
 
 
 

「あんたが、この部屋から出たら、
警察地下本部に連行するように、
全警官に連絡が行っているのようっっっっ。
盗賊団幇助の疑いで・・・。
0ちゃんはサンジに被疑者の容疑を再びかけたのようっ。
そうよ・・・、
"取り調べ"をするためようっっっっ」

「バカな・・・。
あれほど大勢の捜査員があの場にいたんだぞ・・・・」
 
 
 
 

「あんたは0ちゃんの力を知らない。
白を黒にできるほどの力を持っているのようっっっ。
あの日の捜査は記録からは消えたのようっっっ。
スモーカー、
あんたが勝手な事をしたら、
あの時あんたがひきつれて行った捜査員全てに何が起こるかわからないのようっっっ!!!!!」

「脅迫か?」

「そうよう!!!
0ちゃんはあんたが部下思いだってこともちゃんと見抜いてる。
部下を全部犠牲にするはずがないってことも!!」
 
 
 

スモーカーは怒りにまかせて、
壁を叩いた。
壊れた壁の向こうから、
見覚えのある警官が顔をのぞかせた。

「スモーカー警部。
我々は、貴男が暴れたり、反抗したりしたら、
"生死のいかんに関わらず制圧しろ"という任務を受けています!!!!
"命をはって制圧しろ"と・・・。
・・・警部、我々は・・・・、
貴男を撃ちたくありません!!!!
だから・・・どうか・・・ここでじっとしていて下さい!!!!!」

スモーカーは警備の顔ぶれを見た。
ゾロの館を捜査した顔ぶれだ。
自分が反抗すれば、
自分を消し、
勝手に自分が抜け出したら、
こいつらを消す気だ・・・・。
・・・許せん・・・。
許さんぞ・・・クロコダイル!!!!!!!
貴様だけは・・・。

だが、今は動けねえ・・・。
スモーカーはどっかりと部屋の中央に座り込んだ。
昂った意識を落ち着かせようとするが、
怒りのために、
冷静になれない。
 
 
 
 
 

ボン・クレーは手元にあったパソコンのスイッチを入れた。
ちょっとスモーカーの持ってる資料も見ておかないとねい。
でも、どう動いても0ちゃんに封じ込まれるから無駄だけどねい。

パソコンの履歴から使用頻度の高いものを選んだ。
すると画面いっぱいに、
裸の男のからみ合う姿が映し出された。

「あっ・・・・ああっっっっ」
はっきりしたあえぎごえが聞こえる。
見覚えのある金髪を組みしいているのは・・・。
あちしの・・・・、
あちしのト・モ・ダ・チ・・・・。
エース・・・、
あちし達トモダチよねいっっっっ。
だけど、あちしは・・・・・、
あちしはぁぁぁぁぁぁぁぁ、
0ちゃんの命令でこのコを連れていかないといけないのようっっっっ!!!!!!!!!

ああ、運命はなんて残酷なのようっっっっ!!!!!!!
 
 
 
 

警備の警官たちは、
異様な光景に固まっていた。

オニのような顔をして、
部屋のまん中にすわるスモーカー警部。

何故だか、
画面を見ながら、
激しく涙を流すボン・クレー警部。

そして、画面からは超エロいシーンが・・・・。

うおおおおお、
エロい・・・・。
流れ落ちる鼻血をぬぐおうともせず、
遠巻きに画面を見つめる警官たち。
 
 
 
 

スモーカーはいつの間にかパソコンの画面がつけられていることに気づいた。
エースとサンジがヤってる画面が延々流れており、
ふと見ると、ボン・クレーは何故か泣き崩れていた。
警備の警官たちは、
鼻血をだらだら流しながら、
股間を押さえてもじもじしている。
 
 
 

スモーカーは、
画面を切り、
ボン・クレーと
警官をケリ出した。
「出て行け!!!!!!!」
 
 
 
 

そして、心の底からがっくりした。
 
 
 
 
 
 
 


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