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ボン・クレーはこっそりとゾロの館にやってきた。
現在Mr.2に出された指令は「Mr.プリンス」を捕獲してくること。

あちし的には気が進まない仕事よねい。
プリンスちゃんには恨みはないのよねい。
だけど、これも任務。
やるっきゃないのようっ。
やらなきゃ、あちしが危険なのようっ。

人がいないのを見計らって、
こそこそと館を横切っていった。

ここの警備は熟知しているわようっ。
こっそり監視カメラシステムをつけさせたのは、
あちしだからようっっっ。
ガーーーーッハッハッ。
さすが、あ・ち・し。

でも、それであのコは0ちゃんの目にとまったのかもしれないのよねいっ。
現在も0ちゃんはここの館を監視できるはずよう。
そんなに暇なはずはないけどねい。
 
 
 

サンジはきっと厨房にいるに違いないわよう。
・・・厨房には監視カメラも置いてないので、
0ちゃんにも様子は分からないはずよう。

・・・いないわねい。
ヘンねい。
どこにも・・・。

あ・・・すみのほうに何か白いものが・・・。
ヒトかしら。
・・・金髪の丸い頭・・・。
見つけたわようっ。
プリンスちゃんようっ。
・・・でも、何かヘンねいっ。
・・・あ、
服よう。
服が・・・、
オヤジシャツよう。
その上、腹巻してるわようっ。
いじいじして、
何か凄くうらぶれた雰囲気がにじみ出てるんだけど・・・。

0ちゃんは「サンジを連れて来い」と言っただけで、
服装に関してはノーコメントだったわねい。
・・・ゾロの服よねい。
ちょっとだぶついているし。

???
何でこんな服着てるのようっ。
なんか雰囲気変わってるのよねい・・・。
・・・でもまあ、いいわよう。
あちしは任務を遂行するのみようっ。
ゾロやエースには気の毒だけど・・・。

エース・・・。
あちしはあんたとの友情を裏切るひどいオカマ・・・。
ああ、運命はなんて残酷なのようっ。
でも、友情にまどわされてはいけないわようっ。

いくわようっっっっ。
オラアァァァァァァァァ!!!!!!!
 
 
 
 
 
 

ゾロは厨房の方からの、激しい物音を聞いた。
・・・あのクソコック、
また何かやらかしやがったな。
修業の手をとめ、
煙がもうもうとたちこめる厨房にとびこんだ。

この煙の種類・・・。
しびれ薬の入ったプロが使うものだ・・・。
危険を感じて刀を握りしめた。
あのアホコックのしわざじゃねえ。
・・・てことは、
アイツはどこだ。
サンジは・・・どこだ。
どこにいる。

ゾロは煙の奥に人影をみつけ、
そちらに向かって突進した。
その固まりは物凄い勢いで、
ゾロにぶつかってきた。
はずみでゾロはその固まりをうけとめたまま、
後ろにふっとんだ。

んあ?
クソコックじゃねえか。
どうやら厨房から飛び出してきたらしいサンジを抱きしめた形でゾロは倒れていた。

腹巻宣言をしてから、
サンジはゾロの前にあらわれようとはしなかった。
ゾロだけでなく、
誰にも見つからないようにしていた、
・・・つもりなんだろうな、このアホは。
ゾロは久しぶりにサンジを抱きしめて、
ため息をついた。

コックとしてちゃんと料理は作っていた。
本人は隠れているつもりだろうが、
ちらちらと金髪や腹巻がのぞくのだ。
おかわりをすると、
こそこそと近寄ってきて、
食い物を置いていく。
「オレあもう駄目だ。
日に日に腹巻菌が移っていく。
惜しまれながらこの世を去って腹巻の国に住むんだ・・・」
愚痴や文句を
あんまりベラベラしゃべるものだから、
そっちを覗くと、
いきなりケリが来る。
そのうえ、
「見たらメシつくってやらねえ」
などというバカげたことを言う。
だが、
そんなことを言いながらも、
三度三度ちゃんとゾロのメシを作る。

なんてアホなヤツなんだ。
ゾロはあきれながらも、
見ているのだが、
見てないフリをしていた。
ゾロの暴言を間にうけて、
腹巻をつけたままのサンジは、
とてつもなくアホだったが、
なぜかかわいく見えた。
買い出しにすら行かず、
こそこそしているサンジ。
これならヘンな奴が手を出しようがねえ。
・・・ずっと腹巻させとくか?
だけど、約束しちまったからな。
コイツが腹巻している限り、
オレは手をださねえと。
・・・そいつは困る。

ゾロはちらちら見えるサンジを見ながら、
悶々としていた。
アホにかかわるとロクなことがねえ。
サンジがまれにみるアホだということは間違いねえ。
でも、オレのもんだ。
オレだけのもんだ。
他のヤツにはぜってえにやらねえ。

ゾロは腕のなかでもがもがと動くサンジを抱きしめた。
 
 
 
 
 
 
 

サンジはヘンな煙の向こうに異形のバレエダンサーがいることに気づき、
動転した。
ぎゃああああああ、
見られた!!!!!!
腹巻姿を見られちまった!!!!!
コロス!!!!!
何度か会ったことのあるボン・クレー警部と認識する前
に身体が勝手に動いて渾身のケリをくりだしていた。
見られた!!!!
オレあもう駄目だ!!!!
やみくもに駆け出そうとしたその時、
誰かにぶつかったのだ。

サンジは自分が抱きしめられていることに気づいた。
・・・うおっ・・・、
なんだこりゃ。
誰かがオレを抱きしめてやがる。
・・・あ、ゾロだ。
ゾロじゃねえか。

もうもうとたちこめる煙の中、
サンジはゾロを見返した。
久しぶりに見るゾロの顔は・・・、
マリモヘッドで、
ムカついて、
最悪ヤローだけど・・・、
やっぱりちょっとカッコいい・・・。

うぉぉぉぉっ、
今、オレぁ何を考えた!!!!!
マリモヘッドのことを何て?????

動転して暴れようとした瞬間に、
強くくちづけられた。
サンジの身体からは力がぬけていく。
 
 
 
 
 
 
 

ボン・クレーは床につっぷしたまま、
一部始終を見ていた。
・・・あちしのオカマ拳法が破られるとは・・・・。
出合い頭のサンジはあちしの姿を見て、
すかさずケリをくり出した。
・・・ただのかわいコちゃんじゃなかったのねい・・・・。
でも、このヤバイ煙の中で・・・、
何をしているのようっっっ、
コイツら・・・・。
ゾロの腕の中で大人しく抱きしめられてるサンジ。
あついキッスなんて交わしちゃって・・・・。
・・・こいつら・・・、
もしやラブラブ?????
じょうだんじゃなーーーーーーいわようっっっっっっ!!!!!!
あちしは瀕死の重症だというのに、
こいつら・・・・・。
・・・デキあがってるじゃないのようっっっっっ。
プリンスちゃん、
なに恥ずかしそうにしてるのようっっっっ!!!!!!

・・・・あちしはもう駄目ようっっっっ。
0ちゃん、
スワンスワン・・・。
あちしはよく戦ったわようっっっ。
だから、あちし、泣かないっ!!!
 
 
 
 
 
 


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