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ゾロの館にはおびただしい人が集まりつつあった。
よく考えれば、
一介の使用人にこれ程の配備をするのは、
妙な話だったが、
緊急配置や緊急放送を信じた人々が続々とゾロの館へやってきていた。

「ここに、サンジって悪党がいるらしい!!」
「麦わらの一味か・・・、
まあオレたちの出世のために役立ってもらおう」
力に自信のある者や、一山当てようとする者、
それらに混じり、
純粋なやじ馬連中も事件の顛末を知るためかけつけつつあった。
 
 
 
 
 

ジョニーとヨサクは急に訪れた警察の者により、
サンジの緊急手配を知らされた。
ウソップとチョッパーは異様な雰囲気におびえあった。

ウソップは泣きながら、
サンジを捜した。

さささ、
サンジがあぶねえ。
なんでか戒厳令なみの逮捕命令が出てる。
ロロノア・ゾロ家の使用人の、
「金髪の黒スーツのくわえタバコの男を逮捕せよ」だと。

警察の監視システムは時間をかけてウソップが改造し、
館の中の様子は分からないようにしてあるので、
今、この中でサンジの居場所が知れることはない。

だが、外には人があふれてる。
なんてこった。
あれじゃ、アリ一匹逃げられやしねえ。
ここには警官がすぐに押し掛けそうだ。
ヨサクとジョニーが時間を稼いでいるけど、
その間になんとかしねえと・・・。
ウソップ様特製の仕掛け部屋の数々にサンジを隠しとくしかねえ・・・。

サンジはどこだ?
キッチンにサンジはいねえ。

・・・・・。
 
 

ウソップは実にいやな予感がした。
しかし、行くしかねえ。
すでにお天道さまは煌々と輝いているというのに・・・。

ゾロの寝室の前まで来た時、
最悪の予感が当たっていたことに気づいた。
 
 
 
 

「あああっっ・・・んっ・・・」
耳の奥に飛び込んでくる、
艶めいた声。

見てはいけない、聞いてはいけない・・・、
このウソップ様とあろうものが・・・。
心ではそう思いつつも、
身体が勝手にゾロの部屋に近づいていく。
オオオ、オレは悪くねえ・・・。

し・・・知らせねえと・・・、
だが、声がかけられん!!!!
 
 
 

「・・・っ・・・、ゾロォ・・・・」
うおおおお、
サンジのヤツ、なんて甘くてエロい声をっ!!!!
だめでしょーーー!!!!
もっとヤってくれって言ってるようなもんでしょーーー!!!!
 
 
 
 

ゾロは人の気配を感じて眉をつり上げた。

アルビダが去って、うらぶれているサンジを
寝室に連れて来て、
あとはいつものようにエロいことをした。

今日はちょっとハラがたったから、
つい激しくヤっちまった。
なんであんなイカレ女がいいのか。
オレに抱かれてる間はオレの名しか呼ばねえくせに。
てめえが誰のもんかを身体で覚えさせてやる。
一つになっている時はオレだけが全てってツラするくせに、
離れた瞬間にくだらねえ女の名を連呼する。
コイツはアホだから、
身をもって知るしかねえんだ。

ゾロは迫りくる激情をサンジの身体に吐き出した。
それが、
ゾロの知る唯一の方法だったから。
 
 
 
 

ウソップは鼻血をだらだらと流していた。
見てはいけないものを、
見てしまったのだ。
声だけでは我慢できず、
ほんのちょっと覗いてしまったのだ。
そこには生まれたままの姿で抱き合うゾロとサンジの姿が・・・。
 

くっ、
この偉大なる盗賊王にして発明家にして天才の
キャプテーーーンウソップ様がなんてことだ。
エロい、
あいつらエロすぎる!!!
いかん・・・、
目から映像が離れん!!!

サンジ、意識とばしちまったのか?
うおっ、
ゾロがこっちの物陰を見た。

どうすれば・・・、
あわわわわ、
そうだ、
死んだふりだ!!!
死んだふりしかない!!!!
キャプテン・ウソップ生死をかけた大業をここに!!!!

ガツン!!!
音をたててウソップが倒れた。
相変わらず鼻血はどくどくと流れている。
さっきの光景を思い出すと、
鼻血はさらに流れ出していく。
 
 
 
 

・・・なんだ、ウソップか。
あわててヤるんじゃなかったか。
ゾロはいつものシャツと腹巻を身につけながら、
サンジの方をふりかえった。
サンジはキングサイズのベッドに横たわり、
眠りに落ちていた。
情事と荒淫の後がありありと残る身体がそのまま投げ出されている。
・・・コレは他のやつには見せられねえな。
コイツにコレをしていいのはオレだけだ。
オレのもんだろ、コレはよ。

ぼんやりサンジを眺めていると、
背後から絶叫が聞こえてきた。
 
 
 
 

「ウソーーーーーップ!!!!!
死ぬなあーーーーーー!!!!!」
チョッパーが血だらけのウソップにしがみつき、
わあわあ泣いている。

「ゾロ・・・ゾロがやったのか!!!!!!」
信じられないといった表情でチョッパーはゾロを見ている。

ウソップは死んだふりをしながら、
考えた。
いや、違うけど・・・、
でも、ゾロのせいでもあるな。
あんなエロい・・・、
いかんっ、
思い出したら、また鼻血がっっっ!!!!!

「わあああああ、
ウソップーーーーーー!!!!!
早く医者をっっっ!!!!」
 
 
 
 

「おめえだろ!!!!!」
ウソップは我慢できなくなって、
がばりと起き上がった。

「あれ、ウソップ、生きてたのか・・・・、
おどかすなよ、コノヤロー!!!!!」

「この不死身のウソップ様は、
これしきのことでくたばりやしないんだ。
前にも100回ほど死んでいる!!!!
で、200回ほど生き返った!!!」

「本当か?
すごいな、ウソップ!!!」
チョッパーはキラキラした目でウソップの話を聞いている。
 
 

ウソップとチョッパーが奇蹟の生還を祝っていた時には、
チョッパーの大声で
何かが起きたことを知った警官が、
ジョニーとヨサクを拘束し
強制捜査を開始していた。
 
 
 

おびただしい数の足音が
ゾロの部屋に向かって近づいていた。
 
 
 
 


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