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エースは再びサンジとの間合いをじりじりとつめていた。
隙だらけのようでありながら、
ここという時にはするりと逃げる。
とてつもないアホのようでありながら、
妙に健気で見のがせない。
返してくる反応は、
どれも新鮮で飽きることはない。
深入りすると危険なのは分かっているが、
どうにもおもしろくて止められない。

手中におさめてしまうと、
抱きごこちも良く、
エロくて、
それでいて素直な顔を見せる。

ゾロには悪いが、
つまみ食いですますつもりはない。
いずれ完全に手に入れるつもりだ。

だが、一つ問題がある。

口ではゾロの悪口ばかりを言い、
悪態をつき続けるサンジだが、
なぜだかずっとゾロの側にいるのだ。
サンジの雰囲気の変化から想像できるが、
おそらく毎夜のように抱かれているに違いない。
なのに、文句こそ言うものの、ゾロの側にいる。

ゾロは鈍い男だから、
サンジにその想いを告げているとは思えない。
サンジもまた自分に都合のいいことしか受け入れないやつだから、
ゾロとの関係を素直に認めるわけがない。

サンジはエースには気を許しているので、
まだまだチャンスはある。
ようは、サンジ次第ということだ。
うまく懐柔して、
手に入れてしまうのが先決だ。
 
 
 
 

「オイ、そっちは危険だ。
こっち来いよ」
手招きするエース。
サンジは隠れている隅から顔を出して困ったように見ていた。
 
 
 

その間にも、
すぐ近くで、どなり声や、
壁をどんどん叩く音がし続けている。
「どこだっ・・・!!!!
犯人はっ・・・!!!!」
「あっちで撃ち合いが始まっているぞ!!! 逃げろ」
壁の向こうからは、
尋常でない張りつめた空気が漂ってくる。
 
 
 
 

とりあえず、ここは危険だ。
エースはゾロの館のことは多少は知っているが、
金持ちの家特有の隠し部屋とか、抜け道とかがたくさんある館だった。
ミホークやクロが作らせたもので、
当主のゾロは多分詳しくは知らないはずだ。
 
 
 
 

「エース、てめえは、腹巻なんて見てねえ・・、
そうだよな?」
サンジはエースの様子をうかがいながら、
どうやって腹巻のことをごまかせるか考えていた。

「オレは腹巻愛好家なんかじゃねえ!!!!
オレの名誉のために言っとくが、
わけあって、今はやむを得ずしているだけだ。
腹巻の国になんて住んじゃいねえし、
住むつもりもねえ。
オレの住みたいのは、
天使のようなレディたちの溢れる国なんだ!!!!!
クソ・・・オレの夢を返せ!!!
オレのお姉さまを返せ!!!!」

エースは再び脱力した。
話がどんどん違う方向に行っている。

「・・・う、
とにかく、
そういうわけで、
オレは悪くねえ!!!
・・・このことは誰にも言うんじゃねえぞ」
サンジはべらべらとしゃべり続けていたが、
もうエースが近づいても逃げようとしなかった。

「ああ、秘密だ。
オレとお前だけの秘密だ。
サンジ、それでいいか?」
エースは何気にサンジに近寄り、
そばにぴったりとくっついた。

「じゃ、口止め料もらわねえと」
そう言って、サンジの身体を壁に押さえつけた。

「え?何?」
エースはおどろくサンジにきつく口づけた。
ここからさっさと逃げたほうがいいと思いながらも、
目の前の御馳走を見のがせない。

いつもの軽い口づけではない、
あきらかに性的なものを予感させるそれに、
サンジは震えた。

・・・えっ・・・、
何だよ・・・、
何してんだよ・・・エース・・・、
外がざわざわしてて、
大変なことになってるって言うのに・・・。
でも・・・、
腹巻の事は秘密にしねえと・・・。
「世界中のレディの恋人サンジ」の沽券にかかわる由々しき事態だからな・・・。

・・・だめだって・・、
エース、そんなトコ触ったら・・・、
ひゃっ・・・、
止せって・・・・。

サンジは何がなんだか分からないまま、
床に押し倒されていた。
シャツの間から、
すべりこんだ手が、
サンジの身体をなで回す。

快楽に慣れたサンジの身体は、
すばやく反応し、
熱を持ち始めていた。
 
 
 

エース・・・、
駄目だって・・・、
・・・だってよう、
オレはゾロとしかヤっちゃいけねえって・・・、
ゾロが・・・そう言ってた・・・。
他のやつとヤったら、
ひでえ目にあわすって・・・。
もう、オレぁ充分ひでえ目にあってる。
レディとも会えねえまま、
腹巻の国に住みつづけてる。
夢も希望も失われた。
腹巻以上にひでえことなんて、
この世にあるんかよ・・・。
考えたくねえ・・・。
 
 
 

サンジは抵抗しようとしたが、
がっちりと押さえつけられて動けなかった。
こうなると、
普段は気づかない体格差というものがものを言う。
 
 
 
 

・・・んっ・・・、
ドコに手ェ入れてんだよっ・・・、
ダメだって・・・、
ソコはダメだって・・・。

だってよう、
ソコはゾロが・・・。

ゾロのもんだって言ったんだ。
ゾロが約束しろって言ったんだ。
他のヤツにヤらすなって・・・、
すげえクソまじめな顔で何度も・・・。
だから・・・、
だから・・・。

だから、
ダメなんだ。

毎日毎日毎日、
サカった獣のようにオレを抱くゾロ。
いつもひどくして、
その後は、
クソはずかしいくらい抱きしめてくれる。

それはクソ嫌だ。
そんなの嫌なんだ。
嫌で嫌で・・・、
だけど・・・、
ゾロにじっと見られてると、
いいかって気になるんだ。
ヘンなことされるって分かってるのに、
それでもいいかって思っちまうんだ。

それって困る。
クソおかしいじゃねえか!!!!
なんでオレがそんなこと思わなけりゃならねえんだ!!!

ゾロのせいで、
なんでオレがイライラしたり、
ドキドキしたりしねえといけねえんだ!!!!
悪いのはゾロなんだ!!!!
まりもヘッドのくせに!!!!
腹巻男のくせに!!!!
なんで、なんで、
オレをこんな気持ちにさせるんだよ!!!!
全部、ゾロが悪いんだ!!!!
 
 
 
 

だってよう、
腹巻をとるっていうことは、
「ゾロに、いつヤられてもいい」ってことだろ。

腹巻してるのを隠すためには、
このままエースにヤられるしかねえってことだろ。
 
 

・・・ひあっ、
このままじゃヤられちまうよ。
どうすりゃいい?
どうすりゃいいんだよ!!!!
 
 
 
 
 
 


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