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ナミは緊張した面持ちでパーティー会場に戻った。

ゾロから直接情報をひきだすのは難しい。
ならば、次の手を考えないと・・。
ぼんやりと考えていると、
そばにいた女性がいきなり倒れた。
「きゃあああ」
叫びながら豪華なテーブルクロスをひっぱったため、
派手な音をたてて、
料理が崩れ落ちる。
運悪く歩いていたウエイターにぶつかり、
グラスが音をたてて床に落ちた。
まきぞえになって、
ナミまで床に倒れてしまった。

「きゃあ、ごめんなさい、ごめんなさい」
謝る顔には見覚えがある。
ナミのもっているゾロの友人関係の中にあった顔。
・・・たしぎっていったっけ。
ゾロの幼馴染み。

「またかよ」
声のする方を振り向くと、
薄いサングラスをかけた顔に傷のある男が立っていた。

・・・コーザだわ。

慣れているのだろう。
恐ろしくはやく、
側近らしきものが、
たしぎを「排除」すると片づけをはじめた。

服の汚れたナミとたしぎは有無を言わさずに別室にひっぱっていかれた。

「ごめんなさい・・・」
謝るたしぎにナミの目が光る。
ゾロは駄目でも、
このひととは仲良くなれそうだわ。

「気にしないで、私はナミ」
そう言って微笑むとたしぎも嬉しそうに笑顔を返した。
 
 
 
 
 
 
 

パーティー会場が近づくと、
サンジのさっきまでの不機嫌は嘘のように消え、
そわそわしはじめた。
ゾロはそのままサンジの側にいてもしようがないので、
「レッツナンパだ!!!!」
といって嬉々として人込みに紛れるサンジを呆れて見送った。

「オイ」
名を呼ばれるとそこには幼馴染みの一人、コーザが立っていた。
「ああ」
「飲むか」
それだけ喋ると、
ぼちぼちと酒を酌み交わしはじめた。

知らねえやつらと話をするのはうざってえ。
コーザはゾロより人付き合いがいいが、
それでも自分から出向いていくタイプではない。
二人はぼそぼそと話をしながら、
飲み続けていた。
 
 
 
 

「ほんとうに、ごめんなさいね」
たしぎとナミは違う服を探して着て、
またパーティー会場に戻って来た。

「あっ、ゾロ!!!
来てたのね」
たしぎがゾロに目を止める。
コーザとゾロの視線がナミの方に止まった。

「この人はナミさん。
さっき友達になったの」
ゾロは無言でたしぎの言葉を聞いた。

・・・この女はクセ者だ。
一目みただけでうさんくさかった。
たしぎはアホだから、
きっと気がつかねえだろうが。
用心した方がいい。

ゾロの表情が険しくなる。
ナミの表情もかたくなった。

その時だ。
「ナミさああああああん」
手を振りながらかけてくる男がいた。
 
 

・・・サンジ君?
ちょっと、
あんた、
秘密行動じゃなかったの?
なんでここに!!!
・・・。
って分かってはいるわよ。
パーティーには女の子がいるから来たのね・・・。

「あっ、てめえ、ゾロ!!!
ナミさんとお知りあいか!!
あっ、そっちのメガネのレディもよろしく!!」

あっけにとられるゾロとコーザを無視してサンジはべらべらと喋り続けた。

結局、キレたゾロがサンジを殴り、
サンジが蹴り返して、
あわや乱闘さわぎになりかけて、
エースの執事のイガラムによって、
ナミたちは会場を追い出されてしまった。
 
 
 
 
 

サンジとゾロは言い争いを続けながら帰っていった。
「あのゾロとあれだけいがみ合えるってのは傑作だな」
コーザは笑いながら、
自分はナミとたしぎを送ることにした。

「歩いて帰るって本気なのかしら・・・」
「ゾロは歩くな・・・。
ま、あのサンジっていったか。
あの男が歩けるかどうかだな」

ナミはコーザの高級車のシートにゆったりと座っていた。
どうやら、この人らとはお近づきになれたようだけど・・・。
ゾロの豪邸まで30キロはあるわよね。

・・・とんでもないわ。
いろいろなことが・・・。
ルフィ並みだわ。
とにかく常識で考えちゃ駄目ってことね。
それにしても、
サンジ君はあんなで大丈夫なのかしら・・・・。
 
 
 
 
 
 
 


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