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残された人々は何が起きたか分からずに右往左往していた。
倒れている男たちは悪党なのか?
倒れている男たちは残酷に倒された。

オレはあの背中に正義と書いた男を知っている。
スモーカー警部だ。
たたきあげの正義の男だ。
それがなぜ?

バロックワークス?
それは何だ?

サー・クロコダイルが捕獲した男が被疑者だったのか?
非力そうな男だ・・・。
クロコダイルの禍々しい笑いは何だ?
あの人は我々を助けてくれるのではなかったのか?
 
 
 
 

「ゾローーーー!!!!!!!
死ぬなぁぁぁぁぁぁ、医者ぁぁぁぁぁ!!!!」
チョッパーが泣きながらゾロの身体をゆさぶるが、
ゾロはぴくりともしない。
 
 
 
 

「たたた、大変だ。
爆弾を・・・・、爆弾をとめるんだ!!!!」
ウソップは滝のように汗を流しながら、
爆弾にかけよった。
そう大きな箱ではなく、
ウソップでも楽に抱えられるくらいの大きさだ。
これならどこかに捨ててしまえばいい。

だが、金属製の箱を見たとたん、それが何かに気がつき、
冷汗が流れた。
M.I.6とよばれる小型だが核爆弾なみの威力をもつ恐ろしい爆弾だ。
下手に刺激したら、
内部の薬品が融合され、
瞬時に爆発がおこる。

あわわわ、
こいつが爆発したら半径1キロメートルのものはすべて灰になる。
それほどの威力の爆弾だ。
3分ではどうにもできねえ。

くそ、箱すら開きそうにねえ!!!!
こんな固い箱、蹴ろうが落とそうがびくともしない。
どうしたら!!!
どうしたらいい!!!!
 
 
 

「ウソップ!!!!
盗ったぞ!!!!」
混乱するウソップの前に、
きらきら輝く宝石を高くかざしてうれしそう走って来るルフィがあらわれた。
 
 

オールブルーか!!!!
一体どこにあったのか。
この天才ウソップさまの探知機ですら発見できなかった謎の宝石。
いや、おくゆかしいウソップさまはルフィに栄光の座を譲ったのである。
宝石発見の名誉を与えたのである。
ああ、なんという偉大な発明家であろうか!!!

はっ、こんな場合ではなかった!!!
ウソップは我に帰った。
しかし、その間にすでに時間は爆破まで1分を切ろうとしていた。
万事休す。
すでに打つ手など何ひとつない。
所詮、クロコダイルに逆らうことが愚かだったのだ。

連れ去られたサンジのその後も気になるが、
先にひどい目にあうのはここに残ったものたちだ。

スモーカー警部は男だった。
正義の男だ。
ロロノア・ゾロも男だった。
あいつはサンジを本気で守ろうとしていた。
あいつらはすげえ。
誇り高き死だ。

だけど世の中には届かないものもあるんだ。
手に入らないものもあるんだ。
その身にふさわしいものがある。

オオオ、オレだって、なんとかしたいんだ。
でも、できない。
できないんだ!!!!!
 
 
 
 
 

チョッパーは泣きながら、
ゾロをゆさぶり続けていた。

ゾロが息をしてない。
どうしよう。
どうしよう。
だれか・・・。
だれか・・・。
どうにかしようと思っていると、ルフィがころがるようにかけ込んできた。

「ウ゛ゾッ゛ブダズゲデグレ゛ヨ゛ウ゛」
えぐえぐ泣きながら、
ウソップにとびつくつもりが、
ウソップのところに走って来たルフィにとびついた。

ルフィはそのはずみでバランスをくずし、
チョッパーの重みごと、
ウソップの方に激しく倒れた。

そのはずみで大きくふりかぶった腕が、
ウソップのいじっていたヘンな箱につきささった。

「うぁぁぁああああああ、
爆発だ!!!!!
この世の終わりだぁぁぁぁ!!!!!
ルルル、ルフィ、なんてことをぉぉぉぉ!!!!」
ウソップは泣きわめいた。
泣いて泣いて、泣き続けた。
知っている限りの恨みの言葉をつらねながら、
しばらく泣いていたが、
いっこうに爆発の気配がない。
それどころが、
なぜか時計の時間を刻む音までやんでいた。

・・・えーと。
おそるおそる箱を見ると、
箱の奥深くまでオールブルーが突き刺さっていて、
それのおかげでどうやら爆破が食い止められたようだった。

・・・・そうか。
宝石は特殊装備の箱より硬いのか。
そりゃそうだな。
世界一の秘宝で、硬度テストするわけにはいかないものな。
 
 
 

「あ、何か、こわれた」
ルフィの緊張感のない言葉にどっと力がぬける。
 
 
 
 

ウソップはへたへたとすわりこんだ。
すわりこんでから、
自らの偉大なる功績について思いをめぐらせた。
 
 
 
 

爆発は回避された。
この天才ウソップさまの機転によって多くの人命がとりとめられたのである。
ルフィという協力者を要請したのは、
この天才にして人知をこえる盗賊の中の盗賊、
キャプテーーーーーーン・ウソップのおかげなのである!!!!!!
 
 
 
 
 


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伝説の秘宝オールブルー

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