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それはサンジにとって長い長い夜だった。
クロコダイルにすべてを捧げて、
自分を組み敷く男の思いのままにふるまわねばならない。
サーのご機嫌をそこねたら、
アルビダおねえさまの命はねえ。
ルフィやナミさんやゾロだって、
どうなるのか分からねえ。
クロコダイルに触れられると心は悲鳴をあげた。
けど、気づかれたらいけねえ。
こいつが憎くて、たまらねえのに、
心の中では痛くて、たまらねえのに、
オレは従順なふりをしねえといけない。
クロコダイルは触れただけでびくびくと震えるサンジを抱え込むと、
自らの昂りをサンジにあてがった。
いつまで生意気な顔をしていられるのか見てやろう。
反抗的な姿は逆にオレの欲望に火をつけるだけだというのに、
この男は分かっていないようだ。
慣れているくせに、
純情そうな顔をしおって。
貴様が、もう何人もたぶらかしていることは調査済みだ。
何がそんなにそそるのか、
不思議でならない。
バカなのか利口なのか、
大胆なのか小心なのか、
どうにもつかみどころがねえ。
まあいい、
お前はもうオレの手の中だ。
オレの意のままに動けばいいのだ。
くだらない抱き人形になるのか、
有能な部下になるのかは貴様次第だ。
せいぜいがんばって、このオレを楽しませろ。
オレはお前を甘やかし、好きにさせてきた男たちとは違う。
身分の差、立場の違いを徹底して仕込んでやる。
お前がたらしこめるような柔弱な男たちとは違うことを、
身体で教えてやる。
「あああああっ」
サンジが悲鳴を上げたが、
クロコダイルは容赦なくサンジの身体を貫いた。
抵抗しつつも受け入れるサンジの内部は、クロコダイルを楽しませた。
ククク、よく締まる。
この身体はなかなかいい。
オレは自分が楽しむためにお前を抱くのだ。
お前を楽しませるためではない。
お前が泣きわめいて苦痛に耐える姿は、
悪くねえ。
「うぁぁぁっっっ」
サンジは身体の奥を刺し貫かれる苦痛に、
無意識にクロコダイルの身体に爪をたてた。
その瞬間、
激しく頬を叩かれた。
頭がぐらぐらし、一瞬意識が飛んだ。
口のはしが切れて、
血が流れた。
苦痛の中で、
サンジはゾロを思い浮かべた。
あいつとはいっぱいシたけど、
こんなんじゃなかった。
けど、ゾロの傷の痛みはこんなんじゃねえはずだ。
クロコダイルにやられて、血をどくどくと流してた。
死んじまったのか?
それとも生きてるのか?
てめえは何で戦った?
てめえの大切な館を守るためか?
プライドを守るためか?
あの館をめちゃくちゃにされて、
オレまで連れていかれたら面目まるつぶれだ。
だから命を賭けた。
オレのためなんかじゃねえよな?
なんでかクロコダイルの狙いはオレだったみてえだ。
ゾロ、てめえがもし生きてたら・・・。
オレはどうなってもいいんだ。
てめえが生きてたら、それでいい。
胸をきりきりするような痛みが貫く。
これは、きっとクロコダイルにヤられてるせいだ。
オレは大丈夫だ。
これくれえ、
どってことねえ。
羞恥と苦痛の時間が限り続くように思うのは気のせいか。
これは悪夢。
目覚めたら、側にいるのはクロコダイルではなくて・・・。
スるのなら、
こいつじゃねえほうがいい。
苦痛に追いつめられて、
快楽に追いつめられて、
身体がバラバラになる。
痛みと快楽が別々のものとして浮遊していく。
怒りと、
あきらめと、
屈辱と、
憎しみと、
希望。
オレはあきらめねえ。
絶対にあきらめねえ。
オレがオレである限り、
自分の信念を貫く。
だから、ここからは逃げねえ。
身がこなごなになって砕けちまっても、逃げねえ。
チクショウ。
いつか、吠え面かかせてやる。
でも、今は・・・、
もう嫌だ。
もう耐えられねえ。
サンジが意識を失った瞬間、
暴力によりさらに欲情したクロコダイルの精が身体の奥深くに放たれた。