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サンジが意識を取り戻した時、
同じベッドに寝たままだった。

あわてて起き上がると、
身体にかけられていた白い毛皮がするりと落ちた。

身体の奥でずくりと痛みが走ったが、
いつの間にか身体は清められていた。
 
 

しずかにドアがあき、
豪華な盃を手にしたアルビダがあらわれた。
 
 

アルビダおねえさま?
サンジは思わず身体を固くした。
え・・・、
まさか・・・。
 
 

「アタシはサーからあんたの世話をするように命令されたのさ。
サーからのプレゼントだよ、ミスター・プリンス」

アルビダは豪華な盃をサンジに差し出した。
このコはクロコダイルによほど気に入られたらしい。
これは前時代の国王が使っていた豪華な盃。
酒は特上のものだ。

ああ、困ってるね。
あんたがへらへらする女に世話されてるんだからね。
アタシはあんたの身体をすべて見たよ。
ゾロに愛された身体。
それが汚れるのを見るのはいい気味だ。

真っ白で手にすいつく肌。
ゾロはそこが気にいったのか。

目を閉じると意外に幼く子どものようになる顔。
ゾロはそこにひかれたのか。

アタシとあんたの違いはどこにある?
アタシはあんたよりゾロを愛してる。
そうさ、アタシの方がゾロを愛してる。
アタシの方がゾロを先に見つけたんだ。

クロコダイルはひどい男だ。
アタシとこのコの関係を知って、わざと世話をさせる。
こんな状態のこのコにムラムラくる男はごまんといるだろうから、
女に世話させるのはいい考えだろう。
こんなに隙だらけだと世話人食われちまうよ。
いかにも自分は何もしてませんて顔をして、
そうやって、ゾロも誘ったのかい?
 
 
 
 

「お手をわずらわせなくても、オレが持ちます」
サンジはそういって、
アルビダの方に手を伸ばした。

「触るんじゃないよ!!」
アルビダはとっさにサンジの手を振り払った。

「あんた、何様のつもりだよ!!」
アルビダの言葉にサンジは泣きそうな顔をした。

だって、そうじゃないか?
あんたは命令しなきゃならないんだ。
アタシを憐れんでいるのかい?
バカにしてるのかい?

アタシはあんたが憎くて憎くてたまらないのに、
レディに対するふるまいをまだしようとする。

アタシを生かしてどうするつもりだい?
あんたはクロコダイルのオンナじゃないか。
自分の立場がまるっきりわかっちゃいない。
自分の価値がまるっきりわかっちゃいない。
 
 
 
 

サンジは怒りに目をぎらぎらさせるアルビダに何も言えなくなった。
・・・そうだよな。
オレは汚れてるもんな。
触られたくなんてねえよな。

サンジは一気に盃を飲み干し、
おずおずとアルビダに返した。
アルビダは無言でそれを受け取った。
 
 
 
 

「あんた、アタシに話しかけるんじゃないよ」
アルビダはそういい捨てると部屋を出た。
サンジが目を赤くして、しょんぼりしているのがちらりと視界に入った。

あのコがサーにアタシを消せと進言するなら、
アタシはあのコをもっと憎むことができるのに。
きっと、あのコは何も言わない。
だから、腹が立つんだ。
 
 
 
 

サンジは誰もいない部屋にぼんやりと座っていた。
自分が裸なことを思い出し、
側にあった毛皮だけをのろのろと身につけた。
なぜか急に涙があふれそうになり、
サンジは膝をかかえた。

おねえさまに嫌われちまった。
そりゃそうだ、
世話なんてしたくねえよな。
男にヤられた身体なんて。

これって普通じゃねえよな。
そりゃそうだよな。
オレは最近ゾロといっぱいヤってたから、
そういうことに慣れちまってた。

ヘンだよな。
ヘンなことなんだよな。
ゾロがいた時には、
こういうことがおかしいと思わなかった。
思うひまもなかった。

チクショウ、
目から水が勝手に出やがる。

サンジは膝をかかえ、
ぎゅっと目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
 
 


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