兆候はあった。
だから、私が手を貸さなくても、
いつかはそうなる。
私はゾロがよくサンジ君を見ていることに気づいていた。
そして、いつも逆撫でするようなことばっかり言ってる。
好きなのね。
だけど、本人は自覚ないみたい。
私は新しい金儲けの口を考えていた。
どうにかして、乗り組み員からもお金を集めたい。
あいつらの興味のあるものってなにかしら。
最初にゾロの視線に気づき、
気をつけてサンジ君を見ていると、
結構、男とベタベタしていることに気づいた。
なんせ、私が視界に入ると、
「ナミさーーーん!!」
となるから、こっそり観察した。
私に見せるのとは全然違う顔。
でも、絶対、そっちがもてるでしょうに。
分かって無いのね。
もてるのはゾロ。
経験もかなりありそう。
サンジ君は騒々しいし、
女の子にはまるっきり弱いから、
一見おミズっぽくても案外ウブだったりする。
そりゃ好きだけど、
とても恋愛対象にはならない。
だって本当は女の子なら誰でもいいんだもの。
それに退屈してたし。
私はカードの腕はちょっとしたもの。
すりかえくらい簡単なもの。
だけど、最初は本当に偶然だったの。
最初はキス。
でも、ゾロのキスが凄くて、
チョッパーなんか興奮して、あわや人型に変身だったらしいわ。
ウソップも鼻血出してたし。
サンジ君がまた色っぽいのよ。
それでルフィがその気になっちゃって。
そこからは商売よ。
ルフィは金にはまったく興味がないから、
何でも買うのよね。
ニ度目の王様ゲームは仕組んだのよ。
でも、ルフィがあそこまでヤるとは・・・。
別にゲームしてなくても、
いつかはこうなったとは思うわよ。
サンジ君はあんなだし、
ゾロはあんなだし。
サンジ君が寝込んだ後、
ゾロが言った。
「王様ゲームしようぜ」と。
サンジ君は茫然としていた。
ゲームの商品が「自分」だってことにまだ気づかない。
私のデザートについてはよく気がつくくせに。
バカだ。
けど、ルフィは気がついたみたい。
凄い視線だった。
でも二人とも、
「サンジに選ばす」
なんて言わない。
普通、言うわよね。
だって、あいつら決めてるから。
「思い込んだら、信念岩をも貫く」
って二人に狙われたんじゃあね。
欲しいから奪う。
邪魔ものは排除する。
だけどそれが排除できない仲間なもんだから。
またカードが配られる。
だけど、もうこれはただのゲームなんかじゃない。
過ぎた欲望は身の破滅。
ルフィの欲望は普通の人間には耐えられない。
ゾロの欲望も。
二人はよく似ている。
それをうけとめられるのは余程の相手でないと。
それはサンジ君なのかしら。
私はその手助けをするだけ。
火種はもともとあった。
それに風をふかしたくらいなもの。
燃え方や燃えたあとのことは彼等の問題。
まあほどほどにやってほしいものだわ。
あいつらに出来れば、だけど。