*2*
ゾロはゆっくりサンジのカラダに手をかけた。
指先でなぞるだけで、サンジは敏感に反応する。
コイツ、こんなにカンジてる癖に、何で意地はってるのか。
オレだって、はやくヤリてえのに。
なんて強情な奴。
ゾロは乱暴にサンジのズボンを脱がす。
完全に欲情したサンジのモノ。
脱がされただけで愛撫に慣れたサンジのカラダはイきそうだ。
サンジは唇をきつく噛み締めた。
ゾロはサンジの脚をひらかせる。
そのまま押し倒して馬乗りになった。
お互いの性器がふれあい、欲情の印がこぼれる。
「言えよ」
限界の近いゾロはきつい口調で言う。
返事をしないサンジにいらつき、サンジの昂りをきつく握り、力をこめた。
「ひっ・・」
サンジは鋭い痛みを感じ、身を捩って逃げようとした。
だが、それがゾロの加虐心に火をつける。
さらに強く力を入れられ、サンジは悲鳴をあげる。
快楽を越えた要求。
オレはゾロに身も心も食いつくされちまう。
それを望む自分と、望まない自分。
どっちもオレだ。
「言わねえと・・」
ゾロの背筋をゾクリと戦慄が駆け抜ける。
オレは・・・。
ナニヲスルカワカラネエ。
サンジを玩具のように扱うオレ。
ドレイのように這いつくばらせたい。
オレのもとに。
オレはこいつを支配する。
カラダも。
ココロも。
今、支配されているのは誰だ?
オレはコイツを支配しているだろ。
身動きもとれないサンジ。
拘束されて、勃起して、オレに強くつかまれて蹂躙されてる。
何もできやしねえ。
なのにこんなにいらだつのは何故だ。
コイツの媚態に惑わされて、いつも我を忘れるオレ。
悪いのはサンジだ。
オレじゃねえ。
コイツがオレより強えはずがねえ。
オレが負けるわけがねえ。
なのに、勝った感じがしねえのは何でだ?
オレを狂わせるカラダ。
オレは近くにあったナワを手にとった。
下半身に身につけていたものは全て脱がす。
それぞれの足首に結び付けて大きく脚をひらかせた。
そのままナワの端を柱に結び付けた。
上半身はきっちりとスーツを着たままで、下半身だけ完全に露出させた。
「てめ・・・何・・・しやがる」
何とか抗議はしたものの、サンジは火照るカラダを制しきれない。
オレに触れてくれ。
もっと。
感じる。
キモチいい。
狂いそうなほどに。
オレにてめえをくれ。
欲しいんだ。
他の誰かじゃ駄目だ。
ゾロでねえと、駄目だ。
どうしてなんだ。
なんでこの感情には終わりがねえんだ。
どこまでも続く想い。
それは重荷だ。
ゾロの奴、何する気なんだ。
大きくひらかれた脚は思うように動かない。
こんな恰好にされてもサンジのカラダは欲情を止めることができない。
ゾロはサンジのカラダを床に押さえ付けた。
許せねえ。
オレが突っ込むことしかしねえと思ってやがるのか。
サンジの好きなことしかしねえとでも。
コイツは突っ込まれるのが好きだ。
生意気な態度も一瞬にして崩れさる。
オレはてめえの思いどおりになんてならねえ。
ゾロは手にしていたナワを振り上げた。
ムチの代わりにして、サンジのカラダを打つ。
「・・・ぐっ・・・」
サンジのカラダが跳ねる。
鋭い痛み。
白い肌に赤い筋が残る。
ゾロはサンジのカラダのいたるところをうった。
過敏になっているカラダは激しく反応する。
サンジは喘ぎ、拘束から逃れようとした。
敏感な部分までうたれ、悲鳴をあげる。
勃ちあがったモノをうたれ、苦痛と快楽を感じる。
「・・・あああっ」
オカシクナル。
オレは狂っちまう。
墜ちる。
今いる場所から。
闇の中へ。
ゾロの待ち受ける闇の世界に。
とまらない悲鳴と嬌声。
少しの刺激でもイき続けるサンジは既に己の精にまみれている。
こぼれおちる唾液。
ゾロはサンジの痴態を見せつけられ、更に昂るのを感じた。
思考力を失ってとろんとした瞳になるサンジ。
ただの淫獣と化す時。
ゾロはその時が一番サンジの近くにいる気がする。
ケモノになる。
へんなプライドなんてなくなる。
求めるものと与えるもの。
シンプルでいい。
どうして、勝ち負けにこだわってしまうのか。
どうして勝たねばならないのか。
分からねえ。
ジャマなのはコトバ。
なのにオレはサンジのコトバが欲しい。
そうだ、コトバが欲しいんだ。
オレだけを求めるコトバを。
てめえを満足させられるのはオレだけだ。
オレは無駄口は嫌いだし、甘いコトバなんて虫酸が走る。
でも=オレはサンジの服従のコトバを聞きたい。
サンジに言わせたい。
コイツをオレのもとにずっと組み敷いておきたい。
どうすればいい?
「ゾ・・・ロ・・・」
サンジのカラダを気も狂いそうな欲情が駆け抜ける。
コレをしずめてくれるのは、ゾロしかいねえ。
ヤって欲しい。
激しく。
なのに今日のゾロはくれねえ。
ゾロが欲しいのに。
どうして?
このままにされたらオレはどうなる。
誰にも見せられねえ姿。
コトバにすれば簡単だ。
だけど。
意地。
もうそれだけしかオレがすがるものはない。
細い細い糸のような矜持を失ったら、オレはゾロの命ずるままになっちまう。
ゾロに愛されるために何でもするような淫乱になっちまう。
そんなのオレじゃねえ。
自分を守るか、欲望のままに生きるか。
こんなになっててもオレはゾロに負けたくねえ。
ゾロの思い通りにはしたくねえ。
こんなにゾロが欲しくてたまらねえのに。
オレはゾロに入れて欲しくてもうヒクついてるのに。
ゾロの求める従順な相手になれば、簡単に肉欲は満たしてもらえる。
ゾロの求める抱き人形になれば。
でも、なれねえ。
どんなにゾロが欲しくても。
どんなに苦しくても。
どうしても望むコトバを口にしないサンジ。
ゾロは激情の虜になる。
このままヤっちまったらオレの「負け」だ。
どうしてだ。
どうして思い通りにならねえ。
たかがセックス。
なのにいつからこうなった。
サンジをオレに繋いでおきたい。
繋いで、オレだけのものにする。
こいつを嬲って喘がせてオレを身体に刻みこむ。
忘れられない程に。
オレなしではいられない程に。
どの位ぶちこめばオレのものになるのか。
身体じゅう全部オレのものにしたい。
無理だ。
無理だ。
何故叶いもしないものを追いかける。
世界一の剣豪。
それがオレの夢だ。
オレは夢を妨げるものは必要としねえ。
夢に生きる。
そのためには生き方を曲げることはできねえ。
なのに。
サンジはオレの夢の前に立ちふさがる。
淫らな肉体で。
強靱な精神で。
コイツにかかわることは良くねえ。
なのにオレは抜け出せねえくらいはまっちまった。
底なしの闇。
支配するものとされるもの。
オレはどこかで間違ったのか。
だがもう止まらねえ。
サンジを跪かせてオレの言うがままにしたい。
ゾロはサンジのカラダの中に指を入れた。
既にとろけてオトコを待ち望んでいたソコは指をきつく締め付けた。
ゆっくり動かしただけでサンジはまたカラダを震わせて射精した。
指なんかじゃ駄目だ。
分かってるのに。
「ゾ・・ロ・・」
サンジは途切れ途切れにゾロの名を呼ぶ。
欲情に身を焦がし、自分の精をたっぷりカラダにかけた姿。
ゾロの脳を焼き付くす肉欲。
限界だ。
ゾロは敗北を感じた。