marking ruffy*sanji |
■1■
ルフィはサンジを待っていた。
買い出しに行って戻ってこない。
退屈なので岬に出て、待つ。
まだ来ない。
次は店の前。
追い払われた。
それから民家の前。
じっと立っていると一匹の犬がやってきた。
ルフィの前で立ちどまり、何かを探している。
何だ?
そう思った時だ。
ジョボボボボ。
犬がルフィの足めがけてオシッコをしてきた。
「うわ!!何だ!!」
驚いてその場から離れるルフィ。
足を洗って船に戻り一部始終を話す。
「ああ、それ、マーキングよ」
物知りなナミが教えてくれた。
「犬や猫のなわばりを示すものなのよ。
ここは自分のテリトリーだってね」
ふうん。
ルフィは考えた。
便利なもんだな。
それにいいな。
自分のだって印、したようなもんだろ。
ああ、そういうこと。
それなら、オレもやりたいな。
「よし、やるぞ!!」
急に立ちあがったルフィにはウソップは怪訝な目を向ける。
「ヤルって、何を?」
一応、聞いてみる。
「ええと、何だったかな・・・。マーキングってやつだ!!」
は?
ナミは固まる。
ちょっと待って。
ルフィはヒトでしょ。
ゴムなのはこの際目をつぶるわ。
一体何をどうするっていうのよ・・・。
「サンジにつける」
はぁ?
えーと。
相手もヒトなわけ?
ってそういう問題では・・・。
「ナミ、毎日すればいいのか?」
真剣そのもので聞くルフィ。
「あの・・・。犬や猫のことなのよ・・・」
「ヒトだって同じだ!! サンジからオレの匂いがしたら、みんなに分かるだろ」
「あの・・・」
「オレはもう決めた。サンジにマーキングするんだ!!!」
「ってどうやってやるのよ・・・」
犬や猫じゃないんだから・・・。
「セイエキをかける!!」
ナミは倒れそうになった。
あまりにもはっきりと、力強い発言。
ちょっと乙女に言う言葉なの・・・。
「サンジは洗うだろうから、身体の中に入れたらいいんだ!!」
大発見のように大声で叫ぶルフィ。
「・・・・」
マジかよ・・・。
顔を見合わす、ウソップとゾロ。
ルフィとサンジがデキてるらしいというのは知っていたが・・・。
これでは身もふたもない。
そしてルフィはぶつぶつと言い始めた。
何かをせっせと計算しているようだ。
そこへやっとサンジが帰ってきた。
両手に荷物をいっぱい抱えている。
「わりぃ、いい食材があったもんで、つい色々買っちまって・・・・?」
船内の妙な空気にとまどう。
心から憐れみの表情を浮かべるウソップ。
我関せずというゾロ。
呆気にとられながらも好奇心を隠せないナミ。
サンジはまだルフィの計画を知らない。
束の間の幸せ。
サンジの平和な時は終わりを告げた。