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王国の海

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「おーーーー、ゾロ!!!!!
帰ったのか!!!」
ルフィが嬉しそうに笑いながら側に寄ってくる。

「ああ。
エースは?」
ゾロはルフィの兄のことを聞いた。
ルフィの兄、
つまりそれはこの国の王位継承者であるということだ。

「5年ぶり?
元気そうじゃん
んで世界一の剣豪になったか?」
とても王子には見えないルフィが、
にこにこして言う。
相変わらずだ。
子供のようでありながら、
何にもこだわらなくて、
度量が広い。
それは王国の血、
Dの血なのだろうか。

「王は?」
ゴールド・D・ロジャー。
偉大な王であり、
ワンピースを手に入れた者。
全ての国の頂点に立つ男。

「あーーー、
知らねえ。
どっかにいるんじゃねえの」
麦わら帽子をかぶり、
短パンという、
およそ王子らしからぬ服装のルフィは、
やはり王子らしからぬ答えを返す。

「あー、てめえに聞いたのが間違いだった」
ゾロは苦笑した。
まるっきり変わってないルフィ。
この調子ではエースもか。
ここでは時が止まったようだ。

彼等は特別な存在。
だから特別に、
特別に育てられた。

「なー、
ゾロ、仲間が増えたぞ!!」
嬉しそうにルフィが言う。

「あァ?」
特別な生まれのルフィを一般の子供と交わらせるわけにはいかない。
だから、それ相応のものだけが相手としてこの館に連れてこられた。
以前はゾロがその一人だった。
この館の「仲間」になれば、
出入りは自由だ。
それはある意味で権力を手に入れたことでもあるのだ。

だが、ルフィと合うものは少ない。
ルフィのもつ破天荒な能力と性格についていけなかったり、
ルフィから見切られたり、
邪心のあるものは「仲間」にはなれない。

「ナミは賭博場に行ってる。
それとウソップは工場に行ってる。
で、新しい仲間はコックなんだぜ。
サンジっての。
きっと厨房にいるよ
医者のチョッパーもいるけど、
今日は故郷に帰ってる」
ナミはココヤシ王国の王女だった女だ。
アーロン王国に占領されていたのをゴールド・ロジャーが蹴散らした。
それからオレ達とともに生活している。
ガキの頃から金に目の無い女だった。
ウソップは属領の主、シャンクスの家臣、
ヤソップの息子だ。
シャンクスはルフィの育ての親みたいなもんだから、
まあ馴染んでてあたり前だ。
ウソップのおかげで、
ヤソップは出世ってことらしい。
まあ、オレにはどうでもいいことだ。
ルフィが選んだ、
ルフィの仲間。
オレもそうだ。
それに不満はねえ。

オレはなんとなくルフィについて厨房に入る。
昔からルフィは厨房が好きだ。
というより、
食い物が好きなんだな。

「おーーーー、
サンジ!!!
おやつ作ってくれ!!!」

黒いスーツに
金の髪・・・。
そこに居たのは、
夕べのあの男だった。



 
 
 
 
 
 

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