★ Ura-Top    ★  地下食料庫 ★ 王国の海 ★


 

王国の海

3
 

 
 
 
 
 

「ルフィ、誰だ、そりゃ」
そいつは口を開いた。
ゾロはそのコックをまじまじと見た。
確かに・・・。
あいつだ。
だが何かが違う。

「ゾロだ!!!
だからおやつ!!」
サンジにそれで説明したつもりなのか、
ルフィは強引に作りかけの菓子のようなものを食おうとする。

「このボケ!!
まだ途中だっての!!」
金髪のコックは、
ガラの悪い言葉遣いで、
乱暴にルフィを蹴っている。

「てめえもそこで待ってろ」
「オレは菓子なんぞいらん」
ゾロの返事にあきらかにそいつはむかついた。

「なんだと、コラ!!
やんのか、てめえ!!」
「上等だ!!
やれるもんならやってみな!!」
「サンジーーーおやつ!!」
一触即発の状態にもかかわらず、
あくまでも目的を忘れないルフィに同時に怒号がとぶ。
「てめえは黙ってろ!!!」

「おー、おもしろそうだな。
オレも混ぜてくれ」
振り返るとエースがにやにや笑いながら立っていた。

「よお、大剣豪、お帰り」
そういうとやはり作りかけのおやつを手にした。
・・・まったく、
この兄弟ときたら。

あきれはてて、
ケンカする気もなくなっちまう。

「まあ、立ち話もなんだから、
茶でもどうだ」
自分が入れるわけでもねえくせに・・・。
エースは相変わらずふざけたやつだ。
だが、なんでか座っちまう。
そいつ・・・、サンジは呆れたような顔をしながらも、
ちゃんと全員に茶を出した。

その内、菓子も出てくる。

「うめえ!!!」
「うめえ!!!」
どこかの貧民窟で見た欠食児童のように、
ガツガツと菓子を食うエースとルフィ。
・・・こいつら、
これで本当に王子か。
って、
前とちっとも変わってねえってのはスゲえよな。

ゾロはサンジの方をちらりと見た。
タバコをふかして、
生意気なツラで見返してくる。
・・・かわいくねえ!!
夕べはあんなに儚げだったのによ!!

確かにコイツもオレを見たと思ったが。
・・・無反応だ。
どういうことだ。
コイツじゃなかったのか。

だが、
何度見ても、
コイツだ。

今は別人みてえだが。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4