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王国の海

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海崖島。
青い海に囲まれた美しい島。
けわしい断崖は他からの侵入を許されない。
ここは特別なものの牢獄として使われていた。
ここで処刑されても亡骸は海に全て消えてしまうという。

「処刑は正午だ」
無表情に伝えられ、
ゾロは皮肉な笑みを浮かべた。

「ゴールド・ロジャーが来られる」
緊張を隠さずに言う看守。

・・・望むところだ。

・・・サンジは、
来るのだろうか。
オレには悔いはねえ。
だけど、
このままで別れるのは・・・。

いつものように座禅を組み、
精神統一をする。
だが脳裏に浮かぶのはサンジの姿。

・・・ざまねえよな。

いくらふり払っても、
その笑顔が、
その怒った顔が、
すねた顔が、
ゾロの心を支配する。

オレには関係ねえ、
生きてたって、
死んだって、
オレらしくさえあれば。
ただ、アイツに関してだけはいつも調子が狂うが・・・・。
 
 
 
 

「時間だ、出ろ」
「あー、わかってるさ」
ゾロはいつものように腰に刀を3本さすと、
散歩のような足取りで処刑場へ向かった。

そう広くはない処刑場にぽつりぽつりと人が立っていた。

「ゾロ!!!」
ゾロはその声の方を振り返った。

「サンジ!!!」
ギンにおさえられるようにして悲痛な面もちのサンジの姿をはっきりと見た。
そう多くはない観衆。

ゴールド・ロジャーと、
父ミホークと、
ルフィと。
・・・そして、サンジ。
 
 
 
 
 

無言でゴールド・ロジャーは剣を抜いた。
「ゴールド・ロジャー、オレが勝ったら、サンジはオレがもらう。
アンタが勝ったら・・・・、
サンジを頼む・・・」

「ゾロっっっ!!!」
ゾロの言葉にサンジは悲鳴のような声を上げた。
・・・ゾロが・・・。
ゾロが・・・死んでしまう。
オレの目の前から、
いなくなってしまう。
イヤだ・・・。
イヤだ・・・・。
 
 
 
 
 

「サンジ、オレはてめえを離さねえ。
だから、待ってろ。
オレがどうなろうとも、てめえはオレを信じろ。
約束だ。生きて、オレを待て」
サンジの目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。

「バカやろう。
泣くとオレの一番カッコいいとこが見えねえじゃねえか」
言葉もなくうなずくサンジをゾロは愛おし気に見た。
愛しい、
愛しい、
お前。

ほとんど触れることはできなかったが、
心はつながっている。

どんな剣でも断ち切れぬほどに。
生や死でも断ち切れぬほどに。

・・・感謝する。
ゴールド・ロジャー。
正々堂々と戦わせてくれることを。
 
 
 
 

オレは恥じることなく戦える。
オレには心意気しかねえ。
これがオレの本当の武器。
 
 
 
 

「来い、ロロノア・ゾロ
サンジはオレにまかせておけ」
もう、これで、いい。
なにも心配はいらねえ。
万に一つも勝ち目のねえ相手。
まさしく王の器。
尊大で威厳にみちて、
ひたすら強い。
サンジもえらい男に寵愛されたもんだ。

行くぞ。
「三千世界!!」

目の前にふりかざされる剣。

激しい痛みが体を駆け抜ける。

「ゾローーーっっっっ!!」
サンジの声が聞こえる。
バカだな。
泣くなよ、てめえ。
オレの心が乱れちまうじゃねえか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

・・・ああ、
ここはどこだ。
青いな。
一面の青。
サンジの目みてえな、深い青。
・・・・しずんでく。
どんどん奥に。

・・・キラキラしてて、
キレイだな。

・・・アイツみたいだ。
 

青い。
 

・・・青。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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