王国の海 |
また桜の季節がやってきた。
サンジは王の庭を眺めた。
所せましと咲き乱れた桜。
ルフィの館にいたときはろくに木もなかった。
庭っていうより、
ありゃてきとうに植えてるって感じだった。
王の館とルフィの館の中間に咲いていた、
桜の老木。
巨大な巨大な木。
今年もあの木は美しい。
去年と同じように桜の下で昼食を食べた。
ここの桜も美しい。
でもあの木は特別だ。
ゾロのいた木。
最初で最後にゾロと愛しあった時の木。
忘れられるはずはねえ。
「どうした・・・。
考え事か?」
やわらかに頬に触れてくる手。
分かってる。
オレはこの王に大切にされてるらしい。
好きに遊ばせてくれて、
浮気までしたのに、
相変わらず大切にされてる・・・と。
嫉妬まじりに教えられた。
膝の上に乗せられ、
オレの開いた襟もとに口付けられる。
・・・殺したいはずの相手。
なのにもう慣れてしまった。
愛することはできないけれど、
憎むこともできない。
「プリンスサンジ。
ゼフが亡くなった」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
・・・いま、ゴールド・ロジャーは何と?
・・・生きてた?
・・・生きて?
「パティかカルネが国を継ぐそうだ」
ああ、いたな、そんなアホどもが。
・・・つぶれちまうよ、そんな国・・・・。
・・・聞いて、どうする?
オレは帰れもしねえのに。
「お前は離さない」
聞かねえほうがいい。
知らねえほうがいい。
忘れたんだ。
全部。
「・・・泣くな」
泣いてなんかねえ。
泣いてなんか。
ゼフがいなくなった。
・・・ゾロも。
オレはこの想いを死ぬまで持っていく。
これだけは、
誰にもやらねえ。
体は、
ゴールド・ロジャーのもんだ。
だけど、心は・・・。
心はロロノア・ゾロにやっちまった。
ゾロからももらった。
どんな暴力でも。
屈辱でも。
何があったって、
これだけはオレから奪えない。
裸にされた体は、
生理的な反応を示す。
弱い部分を知り尽くされているから、
面白いように嬲られる。
セックスは一時だけでも全てを忘れさせてくれる。
と同時に自分はまぎれもなくゴールド・ロジャーのモノだという烙印を押す儀式なのだ。
体は貫かれて歓喜に震える。
浅ましい欲望にふりまわされて、
なけなしのプライドをすり減らしていく。
「あっ・・・あああ」
犬や猫みたいに所かまわず交尾して・・・。
誰でもこんなのが好きなんだろうか。
この男のもつすさまじい熱気。
オレは抱かれるたびに食い付くされる様だ。
まぎれもない王の中の王。
でも、ヤることは一緒だ。
突っ込んで、
揺さぶって、
中で出す。
・・・ああ、
桜が見てえなあ。
雪のようにふりしきる花びらを。
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