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王国の海

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なーーー、ゾロ、狩りに行こう!!」
ルフィがあわただしく誘いに来る。
「あァ?」
ひきずるようにして車に乗せられる。
車にはサンジとウソップが既に乗っていた。
「で・・・てめえが運転すんのか・・・、
うわっっっ」
いきなりルフィは急発進させると物凄い勢いで、
坂道を走り始めた。

「ゴールド・ロジャーが来てる」
ああ、そういうことか。
ルフィは父親の事を「ゴールド・ロジャー」と言う。

王の中の王。
すでに生きながらにして伝説になっている男。
父だが父でない。
そういう相手だ。

「オオオ、オレ、ゴールド・ロジャー見るのなんて慣れてるぞ・・・」
ウソップがまた強がっている。
オレも何度かあったことがある。
側にいるだけで威圧される。
ルフィですらそうなのだから。
神に近いのかもしれない。
人とは思えない男。

「へへーーー、楽しみ」
ルフィはこういうとき、嬉しくてむずむずするのだ。

サンジは無言のまま、
窓の外に顔を向けている。
・・・?
王に会うのに緊張しねえのか。
それとも緊張してるのか。

わからねえ。
オレにはコイツのことがわからねえ。

狩り場につくと既に狩りは始まっていた。
「うおおおお、行くぞーーー!!」
しょうがないので、
オレたちはルフィについてまわり、
なぜかオレはあいつらからはぐれちまった。

しかも・・・道、わからねえんだけどよ。
下手すりゃ獲物と間違われちまう。
どこだ、こりゃ。
歩いているうちに不審な男を見つけた。
森に潜んで、
あきらかに一目をはばかるように進んでいる。

・・・刺客か何かだな。
一目で分かった。
オレは、後方から忍び寄り、
当て身をくらわした。
思った通り、
身元が分かるようなものは何も持ってねえ。
気絶したそいつを担いで、
また歩いた。

そのうちに、
誰だかしらん狩り人に会ったので、
事情を説明した。

それからオレはついていくように言われ、
ゴールド・ロジャーの座っている所につれていかれた。

黒い髪、黒い鬚。
相変わらず、物凄い威圧感だ。
気の弱いヤツはものも言えなくなるだろう。
やっぱり、スゲえ男だ。
見ただけで、分かる。
オレには、分かる。
オレはいつかこの男に勝てるだろうか。
いや、なってみせる。

「ミホークの息子だな」
オレはゴールド・ロジャーを睨むように見た。

「いい目をしている」
その時、オレには分かった。
この男をオレに始末させる気だ。
意識を失っていた男を突くとそいつは気を取り戻した。

「何をする気だった?」
ゴールド・ロジャーに問われ、
呪縛されたようにそちらを見る男。
さぞかし覚悟してきただろう。
だが皆こうなるのだ。
王の前では。

「・・・こ・・・ろす」
「このオレをか?」
畏怖の念さえ思いおこすような笑顔を浮かべて、
ゴールド・ロジャーが問う。
常に精鋭に守られたゴールド・ロジャーを一人で倒すなど無理な話だ。

「・・・愛人を・・・殺す」
はっきりと声が聞こえた。

ゴールド・ロジャーは無表情でオレを見た。
「ロロノア・ゾロ。
この男を殺せ」

男が誰を狙おうとオレには関係がねえ。
ゴールド・ロジャーの愛人とかいうものにも興味はねえ。
オレはただ自分が為すべきことをするだけだ。

オレは無言で剣を振り下ろした。
飛び散る血を誰もが無言で見ていた。
そこだけ空間が止まったかのようだった。

ゴールド・ロジャーが無言で立ち上がると、
総勢20人はいる精鋭が静かに立ち上がった。
オレはこいつらに勝てるだろうか。
本能が無意識に力量をはかる。
おそらくとてつもなく強い男たちだ。

やつらが立ち去った後、
オレは動悸がおさまるのを待った。
額には脂汗。
 
 
 
 
 
 

しずかな空間で精神を集中させる。
澄みわたる精神。

その時だ。
ドスッ。
ゾロの服をかすめて、
真横に矢が突き刺さる。

「誰だ!!」
ガサガサという音がして、
そいつが姿を現した。



 
 
 
 
 
 
 
 
 

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