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 王国の海 番外編  



 

★2★
 
 
 
 
 
 

目を開くと、
見なれぬ景色が視界に入る。
見た事もない、天井。
見た事もない、建物。

・・・ここは・・・、
ここはどこだ。

サンジはがばりと跳ねおきた。
 
 
 
 

「プリンス!!!
いや・・・サンジさんっ・・・気がつきましたか!!」

見覚えのある男がサンジのそばに駆けよってきた。
ギンだ。
かつてゼフの護衛隊長だった男。
ああ、そういえば、
自分についてくると・・・、
ギンはそう言っていた。

「・・・ギン・・・ここは?」

見なれない豪奢な部屋。
質素にして剛健であったバラティエの王宮とは趣が違い、
全てが派手で華美な装飾。
そこにいるだけで権力と富の存在を感じるような部屋。
 
 
 
 

「・・・サンジさん、
ここはゴールド・D・ロジャーの館です。
オレはあんたの世話をするために連れてこられた」
ギンがゼフにした誓い。
それは何があってもサンジを守るということ。
どんなつらいことがあっても決して望みをすてさせないこと。
オレにとっては国はなくとも、
王はゼフ。
プリンスはサンジさん、
あんたただ一人。

ここではオレはゴールドロジャーのしもべ。
命令を忠実に遂行するしかない。
だが、命に変えてもオレはあんたを守る。
 
 
 
 
 

「やっと目覚めたのか」

ゴールドロジャーの声にサンジは身を固くした。
あの戦いが脳裏に蘇る。
 
 
 
 
 

「おまえがいい子にしていたら、王国は潰さない。
その代わり、おまえは自分の差し出せるものはすべて差し出すのだ」
ただの決定事項のように言い渡された言葉。
さからえるわけがない。

「バラティエのことは忘れるのだ。
今後口にすることは許さん」

忘れる?
自分の愛するすべてを。
自分の存在していたすべてを。
権力に屈して、忘れる?
だけどそうするしかねえ。
国を救うためには・・・。
 
 
 
 

「おまえは私の所有物だ。
来い。
ここでのおまえの仕事を教えてやろう」
ゴールドロジャーの言葉にサンジは動こうとしない。

「バラティエがどうなってもいいのか?」
サンジはびくりとするとのろのろとゴールドロジャーに従って歩きはじめた。
豪華な部屋をいくつも抜け、
ひときわ華美な部屋に入った。

部屋の中央にはベッドかあった。
 
 
 
 
 

・・・えっ、何?
サンジがひるんだ瞬間、
いきなり強く腕をひかれ、
そのベッドの上に身体を投げつけられた。

本能的に危険を感じ、
逃れようとするが、
ゴールドロジャーがおおいかぶさってきた。
 
 
 
 

絶対的な力で手首をつかまれ、
動けないように体重をかけられた。
 
 
 
 

「男にヤられたことはあるか?」

信じられないような言葉を聞き、
サンジは必死でかぶりをふった。
「あるわけねぇよ!!!!
チクショウ、離せよ!!!!」
あばれるサンジの抵抗を楽しむように、
ゴールドロジャーはしばらく好きにさせておいてから、
服をひきちぎるようにして破りはじめた。

「まったく見かけによらず、
言葉づかいもなってない。
おまえが下品なのでそれにふさわしい扱いをしてやろう」
ゴールドロジャーはサンジの服を簡単にひきちぎり、
あらわれた裸体を視姦した。
思った通り、
綺麗な身体だ。
ゼフが大事に育てたのだろう。
口こそ悪く、態度はがさつだが、
仕込みがいがありそうだ。
 
 
 

「・・・ゃ・め・・・やめろっ・・・」
肌の上を異様な感覚が這い回り、
サンジは悲鳴をあげた。

やだ。
助けてくれよ。
誰か。
誰か。
誰でもいい。
こんなのは嫌だ。

涙をこぼしながらなおも抵抗しようとするサンジのあごをきつくつかまれ、
ゴールドロジャーの方に無理矢理目を向けさせられた。

「よく見ておけ。
これが敗北だ。
覚えておけ。
おまえはここでしか生きられない」

ゴールドロジャーはそう言うと、
サンジの身体に無理に押し入った。

「・・・うぁあああああ」
サンジはこらえきれず苦痛の悲鳴をあげたが、
容赦なく熱い楔で貫かれた。

これは征服者としての儀式。
絶対的な敗北感と、
恐怖と苦痛を味わえ。
最初にそれを身体で分からせておく。
痛い体験は、どんな言葉より雄弁だ。
おまえは誰のものか。
おまえはおまえのものではない。
このゴールドロジャーのものだ。
バラティエを手に入れた瞬間から、
おまえの運命はプリンスから抱き人形に変わった。
せいぜいいい声で啼くようにかわいがってやろう。
 
 
 
 

サンジはうすれゆく意識の中で、
あの炎につつまれた王国を思った。
安らかで美しい国。
もはやない王国。
幻の国と、幻の海。
しあわせな、
しあわせな記憶。
どんなときでも失われることがないと思っていた。
どんなことがあっても汚されることはないと思っていた。
 

全ての幸せは過去に置いてきてしまった。
全ての夢は過去に置いてきてしまった。
 
 
 
 

残されたのは、
苦痛と、
羞恥と、
陵辱の日々。



 
 
 
 
 
 
 

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