ruffy * sanji
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「サンジーーーメシメシ!!! 朝メシ!!!」
いつものように、元気な声でルフィが走ってくる。
サンジは呆れたような顔をした。
なんでこいつは、毎日毎日毎日、よくもまあ同じことが言えるもんだ。
「クソうるせぇよ。今、作ってんだよ」
「早く、早く!!!」
はー、全く・・・・
サンジはテキパキと皿に料理をのせていく。
「おー、うまそう」
ルフィが犬ならば盛大にシッポをふっていることだろう。
パブロフの犬・・・ってか。
こいつはホントに本能だけで生きてやがる。
「なー、サンジ、今日って何かの日?」
サンジはルフィの言っている意味がよく分からない。
「あァ? ・・なんだよ?」
「だってさ、今日サンジいつもとちげーじゃん」
え・・・?
こいつ、なんで?
「なーなーなー、教えろよ。誰にも言わねえからさ」
ナンデコイツニワカッタ?
今日はクソジジイの誕生日。
それを思い出したら、朝からなんだか鬱な気分になってた。
でも、どうしてそんなことがこいつに・・・
「何でって、顔してんな。そりゃ、オレは好きな相手のことはちゃんと見てるから」
「・・・ちょっとまった・・・今、てめえ、何てった・・・?」
目の前でニコニコしながら言うルフィに、反応しきれない・・・
「えー、どこかな。ちゃんと見てるのとこ? それとも好きのとこ?」
「アトの方だ」
「うん、オレ、サンジ好きだから」
あまりにあっさりと言われると拍子がぬける。
ルフィのことだから、深い意味はねえ。
サンジは冷静に考えようとする。
「なぁ、てめえ、肉とオレとどっちが好きだ?」
「えっ? 両方好きだ!!!」
あー、聞いたオレがバカだった・・・食い物と人の区別もつかねえ。
サンジは脱力した。
こいつは何も考えてねえ、犬みてえなもんだ。
オトナなオレが本気になるのはバカバカしい・・・
無視だ、無視。
「それ以上ごちゃごちゃいったら、オロすぞ。この、クソゴム」
「えーーーー」
サンジはとりあえずルフィの相手しないことにした。
「なー、オマエはオレについてくりゃいいんだよ。余計なこと考えてんだろ。ししししし」
背を向けたサンジにルフィの言葉が耳に届く。
ナンデ、オマエニハワカル?
サンジは複雑なキモチになった。
「オレ、あのオッサンからおまえのこと頼まれてっからなあ。まあ、オレが嫁にもらったようなもんじゃん」
・・・・
あァ?
今、こいつなんて・・・?
オレは包丁をにぎる手に力を込めた。
落ち着け。落ち着け。
バカは相手にすんじゃねえ。
冷静に・・・
「てめえ、ゾロやナミさんのことも好きだろが」
「あー、好きだよ。当然じゃん」
「なら、外出て言ってろ。オレは今、忙しいんだ!!!」
半ギレのサンジを見ても、ルフィは平然としている。
「好きだけど、ゾロやナミには欲情しねえよ」
「・・・・ったりめえだ!!!・・・え、ナミさんにしねえのか?
変わってんな、おまえ」
「ししししし。そうかな?」
サンジは盛り付けをほぼ終えた。後は運ぶだけだ。
ふーん。ゾロに欲情したら、そりゃヤバイだろ。ナミさんは・・・。アレ、ちょっと待てよ。
・・・・。
まさかな・・・。
汗が流れる。
オレ、今すげえ、変なこと考えなかったか・・・
あァ、何考えてんだ、オレ・・・
硬直したサンジをルフィは不思議そうに見ている。
何の罪悪感も、ためらいもないココロ。
「オレ、サンジには欲情する」
ガシャーン。
皿が割れる音が響き、ナミやウソップがやってきた。
「もったいない!!!」
落ちた食事に駆け寄るルフィ。
「何の騒ぎだ!!!」
「サンジくん、お皿・・・ちょっと!!!あぶないじゃない!!!」
包丁をにぎりしめて立つサンジ。
殺意ただよう表情。
「ルフィてめえ、さっきの言葉、も一度言ったら、もうてめえにはメシつくらねえ」
「えーーーー」
心から落胆したような表情。
クソ、何でそこで罪のない子犬みたいになるんだよ。
あんな危険なこと言っといて。
なんか気が抜けちまう。
「おい、ケンカかな」
「みたいね・・・」
ひそひそ交わされる会話。
違うんです。ナミさん。
クソゴムがとんでもねえことを。
「ルフィ、サンジくん、いいわね、仲直りしなさい。今すぐ!!」
「うん、サンジは仲間!!そうだよな!!」
脳天気なルフィの言葉にサンジはついていけない。
「サンジくん、できないの?」
ナミに詰め寄られる。
「でも、ナミさん、あなたのおっしゃることは分かりますが・・・」
「あたしのためにやめてくれる?」
「やめますっ。(はあと)」
既に条件反射になっている答え。
離れた所から見るウソップ。
サンジ・・・不憫なやつ・・・・
椅子に座って既に朝メシを食ってるゾロ。
あーあ、バカコック。また、いいようにされてる・・・
5者5様の思惑が渦巻く世界・・・
サンジが我に返った時には、すでに事件は「処理」されていた。
皆の目には包丁を握って立つサンジの姿がやきつけられている。
オレって悪者・・・?
頭の中がグルグルになったサンジ。
ゼフの思い出に浸る余裕は既に無い。
続きます・・・ドーン!!