ruffy  * sanji 

愛しさを悟られぬことが最大の防御となりうるか

*6*
 
 
 
 
 

サンジはここの所ずっと落ち着かない。
原因は分かっている。
ルフィのことだ。

考えたくねえ。
アイツの望んでいるものが何か。
聞いてしまったら、引き返せなくなる。
船長とコック。
ただの仲間。
それでいい筈だ。

これからも、ずっと航海は続く。
避けて通れるもんなら避けて通りてえ。
ルフィの気持ちなんてすぐ変わる。
そう思っていればいい。
 
 
 

気を紛らわせたい。
そういう時はウソップの所へ行く。
ウソップはきのこは食えねえし、長っパナだが、いいやつだ。
こいつといると結構楽しい。

「なー、次の港ってどんなだ?」
尋ねるサンジにウソップは聞いてきたことを次々に言う。
「結構色々売ってるらしいぜ。肉がうまいらしい。あと、根菜類も特産だ」
細かいことに詳しいウソップは情報収集がうまい。

「ふーん」
生返事を返すサンジをウソップはちらりと見た。
あまり気が入ってない。
この調子だともう一度聞かれるだろう。

「なんか悩みでもあんのか?
このウソップ様が考えてやろうか?」
ついいつもの調子で聞いてみる。

無言のサンジ。
いつもなら罵声かケリでも返ってこようかというのに。
あらら。
本気でなんか悩んでるわけ?
珍しい。

「てめえに言ったってどうもならねえよ」
サンジにしたら物凄く歯切れの悪い答え。
 
 
 
 

「んじゃ、オレに言え!!」
不意に頭上から声が聞こえてきた。
見るとルフィがぶらさがっている。
ルフィは身体を伸ばして床に降りてきた。

「サンジ、なんでウソップとばかり仲良くするんだ」
ルフィは真剣な顔だ。
サンジは近頃しょっ中ウソップにくっついてる。
オレのとこに来ないくせに、なんでウソップのとこに行く?
オレと二人きりになるのを避けてる。
それって納得できねえな。

「サンジ、オレ待ちくたびれた」
ルフィははっきりと言った。
オレのコックになった時からお前の運命は決まってるのに。
オレのもんだ。
オレは欲しいものは手に入れる。
オレはサンジが欲しい。
 
 
 
 

サンジは無言で立ち上がった。
オレに何が言える?
バカバカしい。
ルフィの待ってる答えは一つしかない筈だ。
あまり考えたくねえけど。
ルフィがオレを欲しいってのなら、その時は本気で言ってるだろう。
ルフィはウソなんて言わねえ。
そんなことはとっくに分かってる。
オレにどうしろってんだよ。

「おやつ作ってやるよ」
だからオレのことは放っといてくれ。
 
 
 
 
 

「逃げんなよ!!」
不意にルフィが叫ぶ。
サンジは険しい顔をして振り返った。

「・・・るせえな。放っとけよ」
険悪な空気。
 
 
 
 

げ。
こいつらマジでケンカしそうだ。
止めねえと。
ウソップは必死で考えた。
「あの、仲良く・・・」
恐る恐る抗議する。

ルフィの鋭い眼光。
「失せろ!!」
本気だ。
ウソップは震え上がる。
原因は何か分からねえけど、この船長が本気になってる。
あわわわわ。
とりあえず逃げよう。
それから考えよう。
ウソップは全力でその場から立ち去った。
 
 
 
 
 

「ふん、やる気か?」
サンジはそう言いながら今まで本気でやり合ったことがないことに気づく。
ルフィの今までの戦い振りを思い出す。
不利だな。

こいつの腹のくくり方は知ってるはずなのに。
なんで対峙しちまったのか。
でもオレにはこっちがふさわしい。

でも、なんのために蹴る?
理由なんてねえのに。
オレはルフィと戦いたい訳じゃねえ。
なんでこうなった?
 
 
 
 
 

「なあ、サンジ。オレが勝ったらオレのモノになるか?」
サンジは答えない。
答えられない。

無言のままのサンジにルフィは間合いをつめていく。
お互いに一触即発の状態になったときだ。

ルフィがいきなり床に座りこんだ。
「やめた!!」

「あァ?」
拍子ぬけするサンジ。

「こんなんでサンジをモノにしたって嬉しくねえもんな」
ルフィの言葉にサンジはとまどう。
どうしてコイツは嫌いになれねえことばかりする。

「なあ、サンジ、お前、オレのこと好きだろ?」
ルフィに真顔で問われてサンジは即答できない。
嫌いじゃねえ。
でも・・・。

「なー、オレ、サンジが好きなんだ。知ってるだろ?」
ルフィの全開の笑顔。
どうしてコイツはこんなに笑える?
どうして?
こんな眩しい笑顔をどうしてオレに向ける。

サンジはルフィを見ていられなくなって、俯いた。
 
 
 
 

ルフィはサンジに近づいた。
もう逃がさねえ。
オレはお前を手に入れる。
オレの側にいれば不安なんてとりのぞいてやるのに。
少しずつでいいんだ。
自分を知らないサンジ。
知らないことは罪じゃない。
お前は後ろを振り返ることはない。
オレと共に前へ進めばいい。
遥かなる海の彼方へ。
夢の道を進む。
その時は一緒だ。
迷うことなんてない。
過去をかえりみる暇なんてないんだ。
 
 
 
 

ルフィはサンジに触れる。
サンジは俯いたままルフィに尋ねる。
「なんで、オレなんだよ」

ルフィはちょっと考えた。
何でだろ・・・。
わかんねえ。
「わかんねえ。肉好きなのと一緒だ」

やっぱり。
サンジはがっくりとした。

「でも、サンジはおかわりできねえから大切に少しずつ食わねえと」

ついばむようなキス。
ルフィは思った。
新しい肉はいくらだってある。
でも、サンジは他にはいない。
これってやっぱり肉とは違うかも。

まあ、いいや。
とにかく大事に食わねえと。
肉のない毎日なんて考えられない。
サンジのいない日常も。

勝ち負けなんて関係ない。
サンジがいればいいんだ。
オレの夢が叶う時も。
それ以前も。
それ以降も。

サンジは自分をちょっとだけオレにくれた。
もっと欲しいな。
もっと、もっと、たくさん欲しい。

でも、先は長い。
オレはこの手を放しはしない。
だからゆっくりでいい。

夢の海へ旅立つ。
手は繋いだままで。

海賊王にオレはなる。
未来へと船をすすめよう。
冒険の海へ。
 
 
 
 



とりあえず終わりです。結局タイトルは意味不明。想いを隠しても、やはりルフィには見抜かれてしまうのだな。
サンジが精神的に「ルフィが好き」を認めたのでこの話は終わります。
これで認めてるんです。
それをルフィは分かっている。
だから良いのです。
以上!!

ウソップはこの後ゾロを呼びに行って、二人して駆け付けて濡れ場見るってのはどうでしょう。
はは・・・。もうこれ以上やめときます。
 
 

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