罪と罰


*3*
 
 
 
 
 

ゾロはサンジの身体を抱きしめた。
意識を失ってやっと穏やかな眠りにつく。

どうしてだ。
まるで自分を責めているように。
見えない心の傷。
だが目の奥には確かに血が流れているのだろう。

何を責める。
語らない唇。
真実はどこにある。
 
 
 
 
 

サンジは孤島にいた。
ああ、いつものあの島だ。
高い崖。
永遠に打ち寄せられるかのような波。
空腹。
絶望。
憎悪。
嫉妬。
醜い感情に満ちた島。
自分の醜さ。

眩しいほどに輝きながらこぼれ落ちた宝の山。
やせこけたクソジジイの脚。

ドウシテ。
ドウシテ。

消せない罪。
罪には罰を。
 
 
 
 
 

「・・・ジ・・・」
「・・・ンジ・・・」
サンジは目を覚ます。
汗びっしょりで。
涙が止まらない。

明るい部屋。
ゾロは困ったような顔をしている。
何だ、ゾロ・・・。
てめえらしくねえ。

サンジはひっそりと笑った。
そんなツラ。
お前にはふさわしくねえ。
 
 
 
 
 

ゾロは放心したように微笑むサンジを見て、胸が痛んだ。
なんでコイツはこんな表情をする。
「大丈夫か?」
大丈夫じゃねえ。
そんなこと分かる。
今のサンジはおかしい。
昼間の自信たっぷりなサンジとは違う。

「ゾロ」
サンジは名を呼ぶとゾロの胸に顏を埋めた。
「ゾロ・・・」
繰り返しゾロの名を呼ぶサンジ。

離れねえ。
離れたくねえ。
側に、いて。
今だけでいい。
ここに。

オイ、どうしちまったんだ。
ゾロはサンジの髪をなでる。
こうしていると。
まるで別人だ。
かすかに震えながら、しがみついてくる細い身体。

・・・・。
やべ・・・。
その気に、なるじゃねえか。
ゾロは身体がまた昂るのを感じた。
だが、今のサンジにはその気はない。

あー、まずい。
今は駄目だよな。

サンジの身体を離そうとする。
だが、サンジは離れようとはしない。

「オイ・・・また、ヤっちまうぞ」
ゾロは困惑した。
自制心にも限度がある。

サンジは赤い目をしてゾロを見た。
「いいさ。てめえになら」

どうして、こんなに好きになってしまったのだろう。
よりによってコイツを。
もうオレにはコイツしかいねえ。
他には何もいらねえ。
サンジはまた身体を開く。
いいんだ。
コイツになら。

ゾロは泣きながら足を開くサンジを見た。
こんなサンジは初めてだ。
愛しい。
愛しい。
守ってやりたい。
だけど、犯してえ。

オレはひでえことをしている。
罰を求めるようなサンジ。
でもオレにお前を罰するなんてことはできねえ。

だっててめえは、何もしてねえじゃねえか。
 
 
 

オレは誰かを罰することなんてできねえ。
「オレはお前に頼られるようなヤツじゃねえ」
だってそうだろ。

オレの手は血で汚れている。
サンジのように誰かの為に生きているんじゃねえ。
誰かを殺す剣。
人を生かすてめえとは違う。
人を殺すのがオレの剣だ。

オレのいるところにはお前は連れていけねえ。
誰も一緒には行けねえ。
命を賭けた孤独な戦い。

お前がどうしてオレを求めるのか分からねえ。
オレは誰かを求めたりしてはいけねえ。

オレの世界は真っ赤な血で彩られているから。
サンジ、お前の澄んだ海の世界とは違う。
逆の生き方だ。
飯を食わせて、人を生かすてめえと。

どうしてそんなオレを欲しがるのか。
オレはサンジの身体に手をかける。
コイツはバカだ。
涙に濡れた、瞳。
こんなにしてまで忘れたいものは何なんだ。

オレはサンジの身体を貪る。
サンジの身体はオレに答え、喜びをあらわにする。
どんなに、オレの精を放っても。
どんなに辱めても。
オレとお前の道が重なることはねえ。

オレ達の身体が重なりあい、一つになる。
それを愛の儀式というのなら。
オレはサンジを愛している。
サンジもオレを愛している。
どうしようもない程に。
誰よりも大切な身体。

でも、それは、オレには必要のないことだ。
身体など手段にすぎない。
快楽など永遠に続くものではない。
何より行動を左右させるものではない。
 
 
 
 
 

*4*



ありなさんの20000リク、「サンジがゾロを好きで離れない」「精神的にヘン」なゾロサンです。
どん底に落ちてて必死でゾロを求めてるサンジ。
困りつつサンジを抱くと加減できないゾロ。
今回ゾロサイドの罪ですか。
そりゃ断然ゾロの罪が重いわ。
サンジと覚悟は全然違うと思う。
その辺は重なりようがないか。
 

またしても、続く。
 

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