罪と罰 |
*5*
サンジはゾロを見る。
笑うゾロ。
怒るゾロ。
オレはゾロの視線が好きだ。
オレは自分を見たくねえ。
ゾロといる間だけは忘れていられる。
オレはゾロが好き。
生き方も。
身体も。
だから、ゾロになら何をされてもいい。
ゾロになら壊されてもいい。
だってもう、心は壊れてしまっている。
いつの間にかゾロだけを欲しがっているオレ。
ゾロはいらつく自分を感じていた。
サンジが側に来る。
放心したような顔で。
疲れたような顔で。
最近気づいた。
コイツは本当は、エロいことだけをしたいわけではないのだ。
ただ、黙って抱いていてやれば、それでいいらしい。
今頃気づくオレも相当なもんだ。
サンジは純粋にエロいことが好きだと思っていたから。
淫乱。
確かにその通りだろう。
オレを欲しがり乱れる身体。
夜通し抱いても応える身体。
激しいセックス。
お互いどれだけ感じていても満足できないのは何故だ。
サンジが失神するまでヤっても足りねえ。
オレの中の闇が話かける。
もっとやれと。
容赦なく。
オレは何をするか分からない。
久しぶりの港。
でけえ街。
オレたちは、何日かここで過ごす。
買い出しが終わった後、ゾロはサンジを誘った。
二人は酒を飲み、この宿屋へやってきた。
サンジは酒はあまり強く無い。
既に寝息をたてている。
ゾロは広いベッドに横になった。
連れ込み宿。
いかがわしい看板が目についた時も何の迷いも無かった。
一度、心ゆくまでヤってみたら。
どうなる?
いつも目のまえに餌をぶらさげられてるような状態。
仲間も関係ねえ。
時間も関係ねえ。
ここにいるのはオレとサンジだけ。
夜は更けていく。
ゾロはサンジの服に手をかけた。
ただ見ているだけ、なんてのはオレには似合わねえ。
サンジはオレだけのモノなのか?
オレはサンジだけのモノなのか?
違う。
そんなモノにはなれやしない。
人ならば。
「起きろ、サンジ」
頬をたたいてやるとかすかに目を開く。
底なしの欲望。
堕ちる先は天国か地獄か。
「オレの全部を見せてやる。だから、お前も全部見せろ」
欲望のままに。
何かが見つかるまで、進む。
ともに罪を。
ともに罰を。
ここにはオレとオマエしかいない。
言葉で知るか、身体で知るか。
オレたちにとっての真実。
またしても、続く。