voyage
12
 

 
 
 

 エースと別れてから、3年。

 サンジはエースの去った海をぼんやり見ながら、
タバコに火をつけた。

 エースはほとんど変わっていなかった。
いや、より男らしくなり、かっこよくなってた。
オレのやった帽子をちゃんとかぶってた。

 最初の一年は、オレも待ったけど、そこでもう待つのはやめた。
オレはもう、ルフィ海賊団の一員だし、
エースは白ひげの二番隊隊長なんだってな。
出世した んだな、あいつ。

 もう、オレはあのころのガキとは違うから大丈夫だ。
エースがルフィの兄貴だったと知ってもどうってことねえ。

「サンジ」
ルフィに名を呼ばれ、振り返る。

 オレは普通の表情ができているだろうか。
ルフィはカンが鋭い。
オレが不安定になると必ず見抜かれる。

「今晩、いいか?」
ルフィを断る理由なんてねえ。
サンジは無言でうなずいた。

 ルフィには、男には準備がいるから、
ヤりてえ日はちゃんと言っておけと言ってある。
本当はいつでもできるんだけど、
毎日はちっときついから、3日に一回 くれえにさせてる。
結局、ヤリだめになってどっちにしてもきついんだけど。

ヤるのは気持ちいいんだけど、やっぱり朝がきついから、
毎日はしたくねえ。
 ルフィはヤった後でもすぐにメシを食いたがるから、
こっちは身がもたねえっての。
 
エースは後始末まで完璧にしてくれてたから、
オレは随分楽してたんだって最近やっと分かった。

いけねえ、エースの事を考えるのはもう止めねえと。

 いったん溢れだした記憶は鮮やかに蘇る。

 忘れたはずなのに。

けど、エースの笑顔を、
エースの火を、
エースの買ってくれた鎖を忘れられるはずなんてねえ。
 忘れるふりなら得意だから、オレはずうっとこの記憶は心にしまっとく。

 ルフィはいつもと変わらないサンジの後ろ姿をじっと見つめた。
 
オレはサンジが好きで、好きで、ずっと側にいたいのに、
サンジはたまにしかオレを近づけ てくれない。

 どうして? 
どうして不安なのか?

 サンジはいつも笑顔でやさしいというのに、オレはいつだって不安だ。
抱きしめても、離れた瞬間にオレの腕からすりぬけていく。

 サンジが好きだから、やさしくしたい。
サンジはほんのときたま、ガキみたいな素顔を見せてくれる。
もっと見たい。もっと、もっと、たくさんサンジが欲し い。
 
オレはいつだって飢えてる。
サンジに飢えてる。
サンジはきっとそれを知ってるから、自分をオレにくれる。
きっと、ずっと笑って自分をオレにくれる。
サンジもオレのこと好きだよな? 
オレと同じでなくてもいいから、少しでもオレのこと、好きだよな?
 
どれだけ敵を倒しても、行く手をはばむものをぶっとばしても、
本当に大切なものを手にすることができなければ、意味がない。

 サンジはいつもオレに「お前はそれでいいんだよ」と言って抱きしめてくれる。
だけど、オレはもっともっと強くなりたい。
余計なものは全部ぶちのめして、 早く海賊王になって、
サンジのためにオールブルーを見つけてやって、笑ってもらうんだ。
 サンジのきらきらした笑顔を見ると、オレはしあわせになるんだ。 

サンジはエロいから、一回エロいことを始めたら、なかなか止められない。
だから、ヤら なかったらたまった分だけサンジにひでえことをしてしまう。

「ルフィ、寝てんのか?」
 真っ暗になった甲板に寝転がってうつらうつらしていたら、
サンジの声が頭上から降ってきた。

ああ、サンジってマキノさんに似てるんだ。
母さんみたいで、 はっきりしてて優しい。

 エースとオレのガキの頃の理想のおよめさん候補は満場一致でマキノさんだった。
いつもどろだらけだったエースとオレに食い物をくれた。
悪いことをしてい ると殴られてどつかれた。

 フーシャ村でエースと誓った夢。
 オレたちは夢に近づいている。

 エース、かっこよくなってたよな。
白ひげの二番隊隊長か。
でも、オレは船長だ。
どんなにシャンクスがかっこよくても、エースが強くても、船長はこのオレ だ。

 そして、サンジはオレのコックだ。
コックなだけじゃない。
愛人っていうんでもなくて、恋人か? 
どっちだっけ?

「なあ、サンジって、オレの愛人かな? 恋人かな?」
ぺたんと寝たままで、ルフィはサンジに問いかけた。

はァ?
 サンジはいきなりルフィが言い出したことが理解できず、首をかしげた。
「愛人も恋人も好きあってんだよなあ」

「アホかっ、オレは全女性の愛人で、
ナミさんやビビちゃんの心の恋人だっっっ!! 」
 
・・・それは違うだろ。
 言い切るサンジにさすがのルフィもそう思った。
でも、言うと怒り出すのが分かっているから、
ルフィは何も言わずにサンジをひきよせた。

 サンジは急に真っ赤な顔になって、しどろもどろになった。
「な、なんだよ、ここですんのかよ?」
サンジがかわいいから、ヤられるんだ。
サンジはよくヤりすぎだって怒るけど、こんな表情するせいなんだ。
その上、快楽にはめっぽう弱い。
すぐにメロメロに なって、悪態もつけなくなる。

 ルフィはニヤリと笑った。
ルフィが戦いに挑む時の危険な笑みだった。
「サンジ、今日もいっぱいスるからな!! 」
堂々と宣言され、サンジは耳まで赤くなった。 
何度やってもサンジの反応は純粋で、
身体は貪欲にルフィを求めるくせに、
妙に汚れのない仕草をするのだ。

 きっと、誰がヤってもサンジにはハマる。
だから、誰にもヤらせない。
ルフィはサンジが好きなところをぺたぺたと触り、
サンジの弱いところにゴムの指を差 し込んでこねくりまわした。

「やっ・・・だめだって・・・」
ひねくれてるから絶対にイイとは言わないサンジは
いつものように、ダメだとか、イヤだとか言ってる。
 ルフィの身体はゴムなので、入れてしまったら、
好きに伸ばしたり膨らませたりして、いろいろなことができるのだ。

 ルフィは指を引き抜き、自然に昂った自らのものをゆっくりサンジの中に埋め込んだ。
身体を動かさなくても、中だけ収縮さすだけで、サンジは嬌声をあげ、 あっさりと精を放つのだ。

 ルフィはサンジが勃ちっぱなしになる部分を鋭く突いた。
突きながら、ゴムの手でサンジの声を塞いだ。
サンジの声を聞くのは大好きなのだが、あんまり大声 を出させると、ナミから禁止令が出てしまう。

「んんんんん」
サンジのくぐもった声ってのも、またエロいよな。
ルフィはサンジの内部を穿ちながら、笑みを浮かべた。 

サンジをオレでいっぱいにして、
オレの事しか考えられなくしてやるんだ。
オレだけを見て、オレだけを求めるようになればいい。

 これはサンジがオレのモノだって確認する儀式なんだ。
 サンジの身体は全部オレがもらってる。
身体中、触れないところはない。
身体の中にも好き放題できる。

 だけど、足りない。
まだ、足りない。

もっと、ヤらないと。
もっと、サンジの奥まで犯さないといけない。
そうしないと、サンジは完全に手に入らないんだ。
 



NEXT

voyage

top