voyage
5
サンジはぎゅっと目を閉じた。
もう、誰かを愛するのは嫌なのに。
ルフィはサンジの心にまっすぐ入りこんできて、太陽みたいにサンジの心を熱くする。
「好きだ、サンジ」
ぎゅっと抱きしめられて、くり返される言葉が心にしみる。
おそるおそる目をあけると、
ルフィは真摯な目でサンジを見ていた。
「サンジが信じてくれるまで、何回だって言う。
何千回だって、何万回だって言う。
だって、オレはいつもそう思ってるから」
サンジの顔がいつものすかした兄貴分としての顔ではなく、
幼い子どものような表情に変わっていた。
困ったような、泣きそうな顔。
この顔だ。
これがサンジの本当の気持ち。
でも、いつも本当の顔を隠して大人のふりをしている。
「好きだ」
ルフィはバカのようにくり返した。
サンジは生きて、オレの目の前にいる。
だから、気持ちは伝わる。
きっと、この言葉の中にオレの想いは入ってる。
「好きだ」
ひたむきなルフィの言葉に、サンジはなぜか涙が出てきた。
悲しくて泣いているのか、嬉しくて泣いているのかサンジには分からなかった。
泣くサンジを見て、ルフィが笑った。
サンジの心は強いけれど脆い。
オレはサンジの外見も好きだけれど中味がもっともっと好きだ。
強くて優しくて頼りになるところも、
弱くて脆くてオレが支えてやらないといけないところも、
全部好きだ。
オレはナミみたいに黄金が欲しいわけじゃない。
形のあるもので欲しいものは、ただ一つ。
目の前にいるサンジだけだ。
「サンジ。
お前がオレだけを見てくれたら、オレはすっげえすっげえ幸せなんだ。
お前がここにいるから、オレは嬉しい」
サンジはルフィの言葉にほんのり顔を赤らめた。
あまりにルフィが幸せそうに笑うから、胸が熱くなって、また涙が出そうになった。
隠そうとする顔を両手ではさまれ、サンジは目を伏せた。
「今、サンジとシたい」
涙の粒のついた金の睫がふるふると揺れ、
とまどった瞳がルフィを見返してきた。
ルフィはナミやチョッパーにも聞いて準備だけはしていた。
島に上陸した時などに、せっせと知識を集めたりもしていた。
島ではサンジが知ったら仰天するほどに片思いの相手のことが語られていた。
「なあ、サンジはオレのこと好きか?」
ルフィが捨てられた子犬のような目でサンジの返事を待っている。
サンジはこの目に弱いのだ。
この顔をされると、つい食い物だってやってしまう。
以前にもこの目をした男が一人だけいた。
もう会う事もないだろう男。
とっくに忘れたと思っていたのに、どうして今、あの男を思いだすのか。
もう、いい。
オレはあの時のようなガキじゃねえ。
オレの船長は、目の前にいるこいつだ。
きっと、この先、どんなことがあってもルフィはこれからすることを後悔することなどないだろう。
オレも信じていいのだろうか?
ルフィを好きでいていいのだろうか?
考えていても、何も始まらねえ。
バカだな、ルフィ、てめえの船に乗った時から答えは分かってるだろ。
普通は船長には絶対服従なんだよ。
力ずくでヤっちまってもいいのによ。
なのに、てめえときたら、おあずけを食らった犬みてえに、ずっとずっと待ってる。
オレだって、てめえが好きだよ。
けど、おかしなもんで、レディ相手にだったら、どんな美辞麗句でも出てくるのに、男相手には全く言葉が出ねえ。
肝心な時に、大切な言葉が言えないのがサンジだった。
ルフィは我慢強く待っていた。
サンジは言葉が出なかったが、それでもどうにかしないといけないと考え、あわててかすかにうなずいた。
耳まで赤くして、うらめしげにルフィを見るサンジの姿。
それを見たルフィは嬉しくてたまらなくなった。
これが、サンジの精一杯なんだ。
サンジはかたくなにひねくれてるから、なかなか本当のことを言ってくれない。
あの、ヒゲのおっさんの時だってそうだった。
自分の命より大事に思っているくせに、本当の気持ちが言えないんだ。
意地っ張りで、バカだけど、あのおっさんはサンジのことがかわいくてたまらないようだった。
大丈夫だ、ゼフのおっさん。
サンジはオレが守るから。
どれだけオレがサンジのことが好きか。
オレが、好きで好きでたまらないってことをもっと知ってくれればいい。
「ししし、うれしいぞ 」
満面の笑顔を浮かべるルフィはサンジをきつく抱きしめた。
離さない。
これはオレのものだ。
ルフィはサンジにキスをした。
オレはサンジを大事にするんだ。
オレだけを見て、オレだけを愛して欲しい。
「がっつくんじゃねえよ」
サンジはルフィの背をゆっくりと撫でた。
結局、こうなっちまった。
ルフィは初めてだから、余裕がねえ。
だから、オレがリードしてやるしかねえ。
ルフィは夢中でサンジの身体をむさぼっていた。
手に触れる真っ白い肌。
なでるとかすかに上気する頬。
「オイ・・・明かり・・・消せ・・・」
サンジがそう言ったけれど、もうルフィにはサンジの言葉は届いていなかった。
すげえ、エロい。
思っていたよりも、ずっとずっとサンジに触るのは気持ちがいい。
「バカ・・・、もっとゆっくりしねえか・・・・」
サンジは性急なルフィの様子に翻弄されていた。
サンジが止めようと伸ばした手は簡単に振り払われ、床に押さえつけられ、素早く脚を開かされた。
ガキで、経験がないようだから、こんなことになるとは全く考えていなかったのだ。
ルフィは動物的カンで、サンジの反応する部分を追い立てていた。
いろいろな島で、どうやったら想い人にいい思いをさせられるかというレクチャーもしっかり受けていた。
麦わらの少年の一途な悩みに荒くれ男も店の女も親身に相談にのってくれた。
ルフィがサンジのことを大好きでたまらないのが誰にでも分かったからだ。
母親のような年の女将までが、こう言った。
男の子同士でも、船乗りにはよくあることだから、あんたはそのコにまっすぐにぶつかっていけばいいんだよ。
あんたを好きにならないコなんていないね。
そのコの気持ちいいとこを見つけてやりゃいいのさ。
押しに弱そうなコだから、ガンガンヤっちまえばいいんだよ。
ルフィはサンジの身体にみずからの昂りを押し込んだ。
「・・・っ 」
ほとんど慣らされることなく、こじあけられた場所からは、じんじんと痛みが広がってきて、サンジは身体を震わせた。
快楽を与えたかと思ったら、次は苦痛。
いてえ・・・、だから無理だって・・・。
「サンジ、好きだ」
痛みにとびかけた意識をルフィの言葉がつなぎとめる。
クソ野郎、そんなこと言われたら、慣れてなくても、下手で痛くても、許しちまうじゃねえかよ。
「サンジ、好きだ」
ルフィはくり返し、そう言った。
すげえすげえ気持ちよくて、すげえすげえ幸せだ。
ヘンだな。サンジが痛そうで苦しそうでも、オレはすげえイイんだ。
だって、やっと一つになれた。
ずっと、こうしたいと思っていたから。
サンジがオレを受け入れてくれた。
ルフィは夢中で、サンジを抱きしめた。
サンジが、好きで好きで、どうにかなってしまいそうだ。
夢中で、サンジの身体の中に自分の精を放ち、サンジの身体の奥まで堪能した。
気づいた時には、サンジはぐったりして寝ているようだった。
あ・・・ヤりすぎた?
しまった・・・。
ルフィは後始末の仕方を知らなかったから、あわててサンジに服を着せた。
着せてから、その辺をちょっとかたづけた。
明日、痕跡が残っていたら、絶対サンジが怒るだろうと思ったから。
それから、寝ているサンジの側に行き、ぎゅっと抱きしめた。
側にぴったりとくっついて、寝た。
途中で、もう何がなんだか分からなくなるほど気持ちよくなって、気づくとサンジは先に寝てた。
もっとシたいけど、今日は無理みたいだ。
サンジも気持ちよかったならいいんだけどな。