ソナマルグ  Sonamarg ハイキングを楽しめる所 
                                最後の写真まで見てね
 
 Sonamarg 氷河のある山              馬でハイキング
 
 パハルガムから一旦シュリナガルに戻ったが,次にソナマルグに案内された。
ここははパキスタンとの仮の国境に近い山岳地帯にある小さな部落だ。私たち
はヒマラヤの端っこにやって来たのだ。
 スリナガルから着いた私たちは、短い休憩の後、ハイキングに出かけた。馬に観光客
を乗せる商売をするインド人が集まって来た。ツアーのほとんどの人が馬に乗ったが、私
は歩くのが好きなので乗らなかった。
 岩山を背景にした広い草地を馬に乗って進む皆の姿はなかなか絵になっていた。馬に
乗っている人は思うように動けないが、身軽な私は、先回りしたり、横に行ったり、あ
ちこちに移動して写真を撮りまくった。
 草地を過ぎると、大きな谷に入った。もともとU字型だったのが、周りの山から崩
れた石などで埋まってできた地形に見えた。頂上に雪をまとい、山腹に氷河を従えた岩
山が間近に迫ってきた。  
 雪渓を源とする小さな流れを幾つか渡り、観光客用のテント式カフェテラスが数張り
ある所に着いた。雄大な景色を背景にテーブルやイス、テントが並ぶ様子は、テントに
継ぎ当てがあり、テーブル、イスがくたびれていても、「スイスみたいだ!」と言
いたくなった。
 
カフェテリアにいた少年達            
 馬はゆっくり歩いたので私は皆より早くテントまでたどり着いた。テントの近くで数
人の少年がペットボトルを蹴飛ばしてサッカーをしていた。私は日本から持っていった
ビニールの小さいボールを取り出し、彼らと遊んだ。一番年長の子供に
「ハウ オールド アー ユウ?」(あなたは何歳ですか?)
と聞いたが、通じなかった。
「エイジ?」(年いくつ?)
と言い換えたら、分かったようで
「フィフティーン。」(一五歳。)
と答えた。人里離れた所に白昼いるのが気になって
「スクール?」(学校は?)
と聞くと、恥ずかしそうに、
「リトル。」(ちょっとだけ。)
と答えた。
 私はこの少年たちと数枚記念撮影をした。さっきの年長の子にはカメラを渡し、
シャッターもきって貰った。カメラに慣れてないのは当然なので、
「ジャスト グリップ、ドント プッシュ。」(握るようにするんだよ。押してはいけないんだ。)
と、コーチをした。彼はきちんとカメラを構え、手ぶれのない写真を撮ってくれた。そのあと、彼も
「ギヴ ミー ボールペン。」(ボールペンを下さい。)
と言った。しかし、私が
「アイ オールレディ ギヴ ユウ ア ボール。」(もうボールをあげたじゃないか。)
と言うと、すぐ納得してくれた。また、まわりで私にたかろうとしている小さい子を押
しとどめたりもした。
 この子は、頭は良さそうで、しっかりしている感じだった。しかし、学校には行けず
、家の手伝いをするしかなかったようだ。きのう、スリナガルの町で行進の練習をして
いた高校生と同じ位の歳なのだが。
 
 
山に登る
 そんなことをしている間に、ツアーの他の人たちもカフェテラスに到着していた。
 私は五ルピーでサムアップズというコ
ーラを買い、イスに座っていい気分で飲み干した。しかし、景色を見ているだけで満足
していては、山岳会の名がすたる。私は立ち上がり、K氏たちと共に氷河をもっと近く
で見ようと谷の横の斜面を山の方に登りだした。どんどん登ると急な雪渓にぶつかった。
 もっと登って氷河の端まで行きたかったが、そこまで行くには高い岩壁をこえなくてはならなかった
。氷河から流れる水で岩壁には滝が懸かっている。岩壁の前には氷となった雪渓が広が
っている。滝の水は雪渓の下に空洞を掘って流れ、雪渓の端から岩の上に出て私の足下
を流れていく。
 十分な装備もなしにこれ以上進むのは危険だった。私は、あきらめて目の前の雪
渓に触れ、ヒマラヤの雪にさわったことにした。
 しかし、K氏はアイゼンもなしに、運動靴で急な雪渓の上を歩き出した。これには後
から追いついたS女史も驚き
「危ないわよ。注意して。」
と声をかけた。うっかり滑ると下の岩に叩きつけられるまで止まらない。ロッククライ
ミングの名手でバランス感覚がいいK氏だから許される行為で、私のような鈍い男が
まねをしたら、大けがをしてツアーを台無しにしてしまうことだろう。
 
 ジプシーの女性出現
 やむなく上に進むことは諦め、私は横の方の少し離れた所の雪を見に行った。すると
そこにどこからともなくジプシーの女性が現れた。腕輪、ネックレスなど装身具をいっ
ぱい身に付け、茶色のショールをまとっている。(実際にはそのショールは汚れすぎて
いて色はよく分からない。)彼女は私を見て妖艶に微笑みかけた。カメラを向けると、
更にニヤと笑い、ポーズを取った。シャッターを押すと手を出した。私も慣れてしまっ
ているから、黙ってポケットにあった二ルピーを渡した。それに満足したのか、今度は
雪渓の前に横になり、胸元をすっこし開いたポーズを取った。もっとチップをはずめば
、もっと胸元は開いたのかもしれないが、私はそこでやめておいた。彼女の歳は一五か
ら三十の間であろう。汚れていて正確には分からないが、とにかく老婆ではなかった。  次へ
   
ソナマルグのホテルと               コースター
 
 
男2人でダブルベッドに寝た       ラダックのレーで暴動が発生し軍用トラックがやたらと走っていた
 
 
 注・Sonamargを英語式に読めば、ソナマーグとなりますが、現地で聞いた発音に合わせ、ソナマルグとしました。カシミールの運転手たちはRをはっきり「ル」と聞こえる様に発音していました。  
例 Love is over は ラヴ イズ オーバル になってしまいます。