4Rのお相手は、熊本のFさん。当HPの掲示板にもたびたび登場していただいているルークさんです。
全日本開催前から、掲示板にて何度かお話をさせていただいており、「では、全日本で会いましょう!」ということで、初日から酒の席を共にさせていただきました(笑)。
現在は熊本チェスサークルで、いるか師匠の共に活躍中のご様子。今後とも頑張っていただきたいものです。
ついに全国大会で皇帝とあいまみえることになったのですが、実は結果から言えば全国大会で始めての勝利をいただくことができて、感謝している次第です。m(_ _)m
このラウンドの前まで勝利がなく、皇帝の言葉ではないが、初出場で一勝もできないのでは?というオ―バ―な不安が少し頭をよぎりはじめたところで、皇帝との対決です。
しかも当初からのラトビアン宣言・・・、燃えないわけがありません。
皇帝=ラトビアンという作戦をホ―ムぺ―ジで聞いており、その対策として少しだけ研究をしていて、それを白=私、皇帝=黒という絶好の機会で生かそうと思いました。
[Event "Zenkoku Taikai"]
[Site "PIO"]
[Date "2003.04.30"]
[Round "4"]
[White "H.F"]
[Black "anon_emperor"]
[Result "1-0"]
皇帝による解説は斜文字で示しています。
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【図−1】 |
試合は、黒二手目のf5から当然のごとくラトビアンに突入します。
これはまず当然のごとくアクセプトします。
が、実はいるか師匠にいわせれば、とらない方も普通にあるということで、いきなりわたしがポ―ンをとったので、皇帝の作戦に狂いが生じたのではないかという推測でした(その普通の方の戦法はわたしは研究してなかったのですが)。
そんなこと無いです(笑)。3.exf5と取る方も非常に多いですから。問題は別のところに・・・(涙)。
そのあとが事前の皇帝戦を想定したフリッツとの仮想対局で導かれた作戦、3. ... e4に対してナイトをまずd4にはねます。
そしてd3からポ―ンを解消しながらピ―スの展開を見ます。
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【図−2】 |
第一の問題は8.Bb5+の時点にあったらしい。
フリッツによればここでの黒の最善の受けはなんと、8. ... Ke7?!らしいです。
この時点でキングがキャスリングを放棄してかわす手以外はみんなつぶれだと(!)いうことです。
この結果には少し驚きました。
たしかに、8. ... Ke7?!だと先手白のアドヴァンティジは+0.31と、ほとんど互角のようです。
つまり、d4のナイトがあたりになっているために、次に白はナイトをとにかく逃がさなければならない。
そうすると、dファイルがあいているためにクイ―ン同士の交換は必然なわけです。
そうすると、黒のキングに対する脅威が少なくなって、互角に近いエンドゲ―ムの流れに持っていけるとのことでした。
例:8. ... Ke7?! 9.Nb3 Qxd1 10.Kxd1 a6 など
しかし、この時点でキャスリングを自ら放棄してキングが上がる手など、ちょっと実戦的には考えにくい気もします。
しかも、皇帝のことですからクイ―ン交換はキライ(良くご存知で・笑)。
で、両方ともそんな手があるとは夢にも思わずに、進んでしまったのでした。
フリッツによれば・・・
恐ろしいことに、8. ... Bd7?の瞬間、白のアドヴァンティジが 2.16(1.5以上で勝勢+-)になっています。
つまり、この瞬間、試合は終わってしまったのです!!
といっても、コンピュ―タ―の次元ですが・・・。
わたしも皇帝の指した8. ... Bd7?がその瞬間、そんなに悪い手だとは思いませんでした。
このようにビショップをぶつけてチェックをかわす筋はそれこそ毎度のようにでてきますし、普通の手のように思えます。
しかし、実際は以下のような流れで、このゲ―ムは実質上終わっていたのです・・・。
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【図−3】 |
まず9.Ne6!とはねます。
当然クイ―ンが9. ... Qa5+とチェックをしながら逃げます。
さて、ここが問題の局面です。
私個人としては次の手を見つけてはじめて本当に優劣の差がはっきりとついたと思いました。
次の一手は10.Bd2!
で黒はクイ―ンでb5のビショップをとることができません(11.Nc7+で両取り―フォ―ク)。
こちらから、キングとビショップにフォークをかけた(つもり)ものの、実はそれが何の役にも立たなかったことに気づいたときには、愕然としました。
読みが浅すぎますね(笑)。にしてもルークさん、人の表情まで良く見ていらっしゃいますね。
実はこのとき、いるか師匠が近づいてきて皇帝の背後から意味のある笑顔を投げかけていました。あとで夕食のときの話だと、気づいてるかな―と思ったということ(本人談)です。
皇帝はそのとき、なにか時間が止まったような表情で静かに盤面を見つめていました。
それでたぶん気づいたとわかったのですが(なにか失礼な言いかたですが、本当は10.b4とギャンビットをいれようとも考えていたのですが、クイ―ンでとってくれれば11.Bd2でクイ−ンをとれますが、たんにポ―ンでとられてだめです。相手が気づいているのなら欲張りすぎるのは良くない、ということで皇帝の表情から確実なたんに10.Bb2を選ばせてもらいました)。
そしてクイ―ンはb6に撤収・・・。
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【図−4】 |
で、それぞれ駒を進めてキャスリングし合います。
ここでのフリッツの形勢判断は1.5-2.5でやはり白勝勢が続いています(私自身は優勢くらいに意識していました)。
黒はワンポーンダウンの上に、とにかくポーンの形が悪いことがわかります。
何とかピースを戦場に出して行こうとは考えましたが・・・。
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【図−5】 |
16.Nd5に対して16. ... Qa5?が敗因のようです。
まだ16. ... Qd6だったようです(ビショップのチェックを防ぐため)。
17.Bf4が強烈で、すこし受けに窮した様です(この時点で評価+4.19)。
18.Bc7でもう勝負アリ。その後、何とかセコイ罠を仕掛けようとしましたが・・・。
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【図−6】 |
駒得してしまえば、駒交換するのは必然。
さらにルークさんは22.Qd8とクイーンを黒陣深く侵入してきます。積極果敢な手ですね。
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【図−7】 |
私ならクイーン交換を狙いますが、ルークさんはそんな甘っちょろいことは考えません。
確実に黒のキングの逃げ場を狭めていきます。
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【図−8】 |
とにかく、パスポーン1つは持とうと思いましたが、29.Rxc2!と取れます。
29. ... Qxc2なら、30.Qxb6+以下で簡単にメイトです。
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【最終図】 |
セコイ罠を仕掛けていますが、恥ずかしいので説明しません(苦笑)。
で、あとは少しもたつくところもありましたが、なんとか最後まで勝勢のながれを勝ちきることができました。
試合が終わってみればなにか、これが全国大会での公式戦の初勝利だったので、因縁じみたたものを感じます。
今回はたまたまラトビアンの欠点が出た試合でしたが、今度はまたラトビアンの逆襲をめざして挑んできてほしい-(と挑発している・・・)。
試合後の飲み会での話-
この皇帝との試合を居酒屋でマグネット盤で並べていると、ビビ―さんが“キングスギャンビット?”と聞いてきた。
なるほど、ビビ―氏はその時、席の向こう側に座っていて、ちょうど白番黒番が反対に見えたらしい。
いや、ラトビアンです、というと、
“オオ、ラトビアン。わたしそれで勝つ必勝法知ってます”
と言い出すではないか。
ラトビアン必勝法!?-
わたしたちは非常なる興味と興奮を覚え、ビビ―さんにその方法を聞くことにした。
彼いわく、
“とても簡単です。相手がe4をついてきたときににナイトをネ、いいですか、一番安全なgに退くのヨ。それで必勝ネ”
“・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”
“わたしラトビアンの試合、みんなそれで勝ってますヨ”
なんだ、逆から見て最初キングスギャンビットと勘違いしてたビビ−氏はラトビアンされた側の白の必勝法をいってたのか−
希望?はわずかな時間でついえたのでした。
皇帝にこのことを話すと、
“ラトビアン必勝法なんて、どうせ相手側のことでしょうヨ。最初からそう思いましたよ”
だそうな。
めげずに、また再びラトビアンつかってちょうだいね・・・。
ということで、めげずにラトビアン使っています。
とはいえ、さすがにこの敗戦には懲りてマイナーチェンジを行いました。
何をどうしたかは、勿論教えません(笑)。
ちくしょー、誰か「4.Ng1!?」使ってこい!!
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