皇帝の正しくないチェス

8x8チェスクラブ訪問記(H25.4.20)


はじめに

 前年に引き続いて、ゴールデンオープン1日コースへの参加を画策している私は、年度明けから少しはチェスに触れようと活動を始めました。
 4月7日(日)は、松戸チェスクラブで水野優さんの最後のチェス講座があると聞き、これに参加してきました。水野さんとカラオケに行くという密かな野望は達成できずでしたが、飲み会も含めて楽しんできました。
 そして4月20日(土)には、初めて8x8チェスクラブに参加してきました。

 8x8チェスクラブは、汐留を拠点とした非JCAチェスクラブです。既に私はJCAに会費を払っていない(しかし、レート計算はされてしまう・笑)立場ですので、一度行ってみたいと考えていました。
 過去の活動内容を見ると、たびたび小笠さんが参加されているようで、先述した水野さんのチェス講座の時に行くかどうかを確認したところ、千葉チェスクラブの例会と重なっており欠席とのこと。
 なので、1人寂しく(?)訪問してきました

 20代中心で活気のあるクラブの雰囲気で、一昔前のオヤジと中高生ばかりのJCAの大会(※今の話ではありません・笑)とは異なって、非常に良かったと感じました。
 こういうチェスクラブが継続的に活動を行っていくことは素晴らしいことだと思いますので、是非、今後とも頑張っていただきたいと思います(何故か上から目線)。

 ちょうどこの日から、日本チェス協会インストラクターをされている上原慎平さんが、8x8チェスクラブの常駐コーチとして着任されるということで、運良く1局お相手をしていただきました。
 久しぶりに良いゲームが指せたと思うので、自戦記で残しておこうと思います。

棋譜解説

[Event "8x8 chessclub"]
[Site "KAFKA"]
[Date "2013.04.20"]
[Round "-"]
[White "anon_emperor"]
[Black "S.U"]
[Result "1/2-1/2"]

1 e4 c5
2 Nc3 Nc6
3 f4 g6
4 Nf3 Bg7
5 Bc4 d6
6 0-0 Nf6(図−1)
図−1
【図−1】

 オープニングはシシリアン。いつものグランプリ・アタック。「名前がカッコイイから」で指し始めたこの定跡は未だ健在です。
 ここまではトントン拍子。

      
7 Qe1 0-0
8 a4 Bg4
9 d3 Bxf3
10 Rxf3 Nd4
11 Rf2 Rb8?!(図−2)
図−2
【図−2】

 7.Qe1は早いかどうか。狙いは勿論、g3やh4へのクイーンの展開です。
 先にd3のほうが普通かもしれません。尤も、このゲームでは手順前後で同じ感じになりました。

 8.a4は白マスビショップの逃げ場の確保が目的です。f7への睨みは外したくありません。

 8. ... Bg4は、ピンになっていないので、特に怖くありません。
 9. ... Bxf3とあわせて、黒からビショップとナイトを交換してしまうのは果たしてどうなのか。
 局後には、10. ... Nd4とナイトが好位置で悪くないと思っていた、とのことでしたが。

 11. ... Rf8?!はやや疑問。狙いは単純にbファイルからの反撃です。
 ここでは、11. ... Ng4 12.Rd2として、ルックをfファイルからどけさせると共に、黒マスビショップの道を塞いで働かせにくくしたほうが良かったかもしれません。

   
12 Nd5 Nxd5
13 Bxd5 a6
14 c3 Ne6?!(図−3)
図−3
【図−3】

 白が考えることはただ一つ、d4のナイトをどかすこと。
 なので、まずはc3のナイトをどかしすために12.Nd5でしたが、ここで黒はまた12. ... Ng4のチャンスがありました。

 14.c3でナイトをどかしますが、14. ... Nc6が普通ではないでしょうか。

 
   
15 f5 Nc7
16 fxg7?! hxg7
17 Ba2 b5
18 Qe2 b4(図−4)
図−4
【図−4】

 白はもともと fポーンをさらに突きたいわけで、14. ... Ne6?!(図−3の局面)は、「どうぞ突いてください」と言わんばかり。勿論、15.f5とします。

 一方、できれば黒から... gxf7としてもらったほうが嬉しいわけですから、すぐ16.fxg7は早かったかと思います。
 16.Bb3あたりで黒に手番を渡すことも考えられます。

 17.Ba2でビショップが逃げたところ、17. ... b5が黒からの反撃です。

 私がここで考えたことは、とにかくクイーンをg,hファイルに出したいということです。
 18.axb5と取り返すのも一局ですが、f2でルックが邪魔しているために、18.Qe2で出動準備です。

   
19 cxb4 Rxb4
20 Bc4 Bd4?!
21 Be3 Bxb2(図−5)
図−5
【図−5】

 しかし、18. ... b4(図−4)とされれば、さすがにこれは取ります。19. ... b3 20.Bb1では、1列目に並んだビショップの使い方に困ります。

 20. ... Bd4?!は良くないと思います。白はc1から動いていない黒マスビショップを動かしたい(aファイルのルックの横の利きを通すため)わけで、わざわざその手をもらった感じ。

 とはいえ、21. ... Bxb2でbファイルは食い破られました。

   
22 Raf1 e6
23 Qg4 Bg7
24 Bg5?! Qb8
25 Bf6 d5(図−6)
図−6
【図−6】

 c1に鎮座していたビショップがいなくなり、22.Raf1と自然にルックを活用。
 実は図−5の時点、白はワンポーンダウンですが、フリッツくんはまるっきりイコールの判定。つまりは、fファイルを狙うピースの配置がワンポーンの十分な代償となっているということです。

 24.Bg5?!は、黒マスビショップを交換しようという狙いですが、単純に24.h4が良かったかもしれません。

 局後は、25.Be7で黒はしびれるのではないかという話もありましたが、フリッツくんに調べさせると、25. ... Bd4でイコール。まだまだ難しい局面が続きます。

   
26 exd5 exd5?
27 Bxg7 Kxg7
28 Qd7 Qe8(図−7)
図−7
【図−7】

 26. ... exd5?が目立たない小さな悪手。黒にとっては、26.Nxd5ならやや優勢でした。

 実は私も26. ... exd5しか読んでおらず、それなら、と捻り出した手が28.Qd7です。
 引き続き黒のf7にプレッシャーをかけ続けます。

   
29 Qxc7 dxc4
30 Qxc5 Rxa4
31 dxc4 Qe4
32 Rc1 Kg8
33 Qd5 Qe3(図−8)
図−8
【図−8】

 そうは言っても、28. ... Qe8(図−7)が、単純かつ落ち着いた黒の対応です。

 以降は、ピースとポーンを取り合いますが、31.dxc4で白のポーンダウンも解消。イコールの局面に収束していきます

 図−8から、34.Qd2 Qc5 35.Qd5 Qe3と、図−8の局面に戻ってドローを提案され、これを受けました。

 現在の私の実力では、思った以上に指せた一局でした。