皇帝の正しくないチェス

Ruy Lopez
Open Variation


1 e4 e5
2 Nf3 Nc6
3 Bb5(図−1)
図-7.1.1
【図−1】

 ルイロペスは、古代がから指しつづけられ、現在でも未だよくさされている定跡です。

 これは、白として、3手目まで不利な手を指していないといわれ、さまざまなバリエーションがあります。

 ここで、あげるのは、その中でも黒から積極的にオープンな展開に持ち込もうというオープンバリエーションについて話していこうと思います。

 このオープンバリエーションは、クローズドバリエーションと違い、黒が自分のキャスリングを行う前から積極的に、白にアタックをかけていく定跡です。

 白としては、黒の伸びすぎた攻撃を突き、反撃に転じることとなります。

 オープンバリエーションのラインとしては、おもに二通りがあり、その中でまた細かく分かれています。

 1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 Bb5

 ここで、ルイロペスになります。その後、

3 ... a6
4 Ba4 Nf6
5 0-0 Nxe4(図−2)
図-7.1.1
【図−2】

 これが、ルイロペスオープンバリエーションとなります。

 二通りのラインとしては、しばらくこのまま同じように続き、

6 d4 b5
7 Bb3 d5
8 dxe5 Be6(図−3)
図-7.1.1
【図−3】

 このあと、二通りにわかれます。

ライン@ 9 Qe2

9 Qe2(図−4)
図-7.1.1
【図−4】

 このQe2のバリエーションは、白はdファイルから黒を攻撃しようとしています。

 ルークを、dファイルに持っていって、センターからのプレッシャーを強化していくことによって、展開がよくなっている黒を、低い位置からのアタックによって攻撃しています。

 まだキャスリングをしてないため、黒はセンターからの攻撃に弱くなっています。

 それを、白がつこうとしています。黒は、残っているf8のビショップを、e7といった低い位置に持っていくことで、自分のキングを守ることに使うと同時に、キャスリングを急ぎます。

ラインA 9 c3

9 c3(図−5)
図-7.1.1
【図−5】

 このc3のバリエーションは、白としてはいったん低く守ることによって、つきすぎている黒のポーンを狙って、展開していくようになります。ポーンを突きすぎることによって生じる、弱点を突くことを目的としています。

 一方、黒としては、自分の得たスペースを有効に利用することによって、白の弱点である、キングサイドにアタックをかけていきます。

 このように、オープンバリエーションは、黒としては攻めるチャンスが生まれるということと、クローズドバリエーションよりも、かなりバリエーションが少ないため、覚えやすいということがいえます。ただ、攻めている割には、意外とエンディングにも連れ込む可能性が高く、エンディングの考え方を覚えるのは、必須といえるでしょう。

 但し、定跡を知らない人が多く、きちんとマスターすれば、黒のルイロペスに対する有効な反撃手段となると思います。クローズドを持ち定跡にして、たまにオープンを指すのもいいかもしれません。

 白としては、クローズドしか知らない場合、黒から持ちこむことの出来るこの定跡の白としての指し方をマスターしていないと、いきなり危機に陥ることが予想されます。

 その意味でもルイロペスを指す人は、一度は触れておくべき定跡でしょう。

 ちなみに、私はあまりこの定跡を指しませんので、多少間違った解説があるかもしれませんし、最近になって、再び人気が出てきた定跡でもあるので、最新のバリエーションとは、多少異なっているかもしれません。ご了承願います。

written by anon_prince