今月のニュース(2000/12)
- 原発立地特措法が成立−公共事業に補助拡大
「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」が1日、衆院本会議で可決、成立。前国会で同時提出された「自然エネルギー促進法案」は廃案に。
道路や港湾など公共事業への国庫補助率を50%から最大55%に拡大するなど、既存の電源三法交付金と別に一般財源で地域の公共事業を支援する。来年度の想定財源は33億円。原発が立地する自治体への“迷惑料”としての色彩が強く、「予算バラマキ」との批判も。[12/1共同、毎日]
- 全国自治体の6割、自然エネルギー促進のための条例・行動計画を作成
都道府県と政令指定都市の約6割が風力、太陽光発電など自然エネルギー促進のための条例や行動計画などを持ち、約7割が、「自然エネルギー発電促進法案(仮称)」の成立を期待していることが3日、毎日新聞のアンケート調査で分かった。国会では「原発振興特別措置法」が成立したが、自然エネルギーへの傾斜を強める地方自治体と、原子力中心の政策を続ける政府・与党との意識の隔たりが浮き彫りになった。[12/4毎日]
- エネルギー基本法案で波紋
エネルギー基本法案を次期通常国会にも提出する方針を自民党が打ち出したことが、霞が関に波紋を広げている。環境庁は「地球温暖化対策を通産省が囲い込み、環境税を手に入れるための布石」と警戒。地球温暖化対策法の作成時に、通産省が省エネルギー法改正を持ち出した経緯があり、温暖化対策が骨抜きにされるのを恐れている。一方通産省内にも、国による原子力発電所の建設推進を明文化する案に対しては、「あまりに電力会社寄り」と批判的な声も。[12/4共同]
- 海保、明石海峡で全国初の「潮流発電」試運転
海上標識への電力供給を目指して、第五管区海上保安本部(神戸)は4日、潮の流れの速い明石海峡に「潮流発電装置」を浮かべ、試験運用を始めた。風力、太陽光、波力に続く第四の自然エネルギーの実用化に向けた全国初の取り組みで、発電量などを調べる。[12/4読売]
- 風力発電に入札制、電力各社が相次ぎ導入へ
電力各社は2001年度から、大規模な風力発電事業者が発電した電気の購入にあたって、入札制度を相次いで導入。大規模発電施設が増えて価格競争力をつけてきたことなどから、市場原理を取り入れる。電力各社はこれまで、1キロ・ワット当たり11円60銭程度で風力発電電力を買い取ってきたが、石炭・天然ガス発電では1キロ・ワット時当たりのコストは6〜7円程度に過ぎない。
このため、北海道電力は、他電力会社に先駆けて昨年10月、大規模発電所(3千キロ・ワット以上)を対象に入札を実施しており、東北電力や四国電力はこの秋、来年度から入札を始めると発表。また、東京電力なども順次、入札に踏み切る見通し。これに対し、風力発電事業者からは「入札になれば採算割れ」の悲鳴も上がっている。[12/4読売]
- 米電力会社、各家庭の電力消費状況をウェブで提供
米ワシントン州の電力会社、ピュージェット湾エネルギー(Puget Sound Energy)は、12月から同社のウェブサイトで、各家庭の最新の電力消費状況を提供開始した。自分の口座番号と電力測定メーター番号を入力すると、自分の電力の使用状況と、各時間帯の電力コストが分かるしくみ。
米国の電力会社には、新規設備投資による消費拡大より、省エネによって既存設備の有効利用を図る方が有利と判断している会社が多い。加入者が使用している電気についての情報を公開することで、ピーク時の電力使用量を押さえ、発電コストだけでなく環境への影響を少なくすることを狙っている。[12/5
Mainichi Daily Mail Internet] http://dm.mainichi.co.jp/
[ピュージェット湾エネルギー社] http://www.pugetsoundenergy.com/
- 省エネ新会社を設立
東北電力グループのユアテック(仙台市)と東北発電工業(同)は6日、企業向けに省エネのためのコンサルティングや機器販売などを行うESCO事業の新会社を12月20日に設立すると発表。新会社は「東北エネルギーサービス」で、資本金は3億円。出資比率はユアテック35%、東北発電工業27%、三菱電機20%、東北電10%など。自家発電や熱電併給の導入のための設備診断や機器の販売、蓄熱受託事業などを展開する。売り上げ目標は初年度3億円、3年目15億円。
[12/6共同]
- 風力発電の計画設備容量、2002年度には現在の3倍に−民間団体調べ
国内の風力発電の計画設備容量が2002年度までに、現在の3倍にあたる36万キロワットに達する見込みであることが6日、民間団体「風力発電ネットワーク」の調べで分かった。通産省の諮問機関・総合エネルギー調査会の風力発電導入目標値「2010年=30万キロワット」を、はるかにしのぐ勢い。[12/7毎日]
- [インタビュー] 「風のがっこう」設立者ケンジ・ステファン・スズキさん
デンマークの中西部ウァンホイ村にある自宅近くの農場に、1997年7月、日本人向けの環境研修施設「風のがっこう」を設立。デンマーク的な地域分散型の自然エネルギーによる地方の復興を提案している。口コミで評判を呼び、学生や市民グループ、企業、自治体などからの研修生は700人を超える。「風のがっこう」の問い合わせは電子メール(sra-dk@post.tele.dk)。[12/07毎日]
- お台場沖に巨大「海上森林」
東京都は7日、「中央防波堤内側埋め立て地」の約80ヘクタールについて、森林化する方針を決めた。実現すればお台場の沖に巨大な「海上森林」が浮かぶ。都は都民にも植林作業への参加を呼びかける。中央防波堤内側埋め立て地は、樹木がうっそうと茂る自然回復型の新しいタイプの公園となる。都心部の「ヒートアイランド現象」解決なるか。[12/7読売]
過去のニュース
今月のニュースに戻る