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  レポート14  第18回目の訪問  2月24.25日

1.

 2月24日、長男とともに朝7時半に郡山を車で出発し、12時にO養護施設についた。

ここをクリックしますと大きな画面で見られます。

 Jが帰省するとのことで、幼稚園児からくまさんに色をつけた。  

 「黄色をいっぱい入れて、赤をいっぱいいれて、青を少し入れて、白を少ししれて、茶色になったかい?そしたら、水を入れて。
 くまさんのせなかを持って、おなかとあしをさきにぬってごらん。」
「あしがぬれたら、ひっくりかえして、こんどは、鼻のさきからおしりのあなにむけて毛並みに沿ってぬってごらん。」
 
 写真では明瞭に見えないが、幼稚園児(5才児)のくまさんのめとはなの位置とりんかくは、保育児(4才児)と比べると、不明瞭である。
 空間認識の力の発達の差がここで現れているものと思う。
 
 保育児は、硬化粘土を乳酸飲料のプラスチックに張り付けた小さなびんも作っていたので、それもぬった。
 
 楽しさにあふれているのはHのくまさんである。
 畏敬の力が表出しているのはGのくまさんである。
 
 コミュニケーション障害の観点からみたときに、Cのくまさんの赤の分量の少なさは、他者のアストラルの思考への絶望を現し、「じぶんでやる。」と言ったり、すぐ投げ出したりしてしまう原因であると思う。
 これは、オイリュトミー(動的フォルム治療)によるアプローチで治癒できるものか、今後の観察に待ちたい。

 
W-1 W-2 Z-1 Z-2 G F   H
 
 Wは入所したばかりの4才児である。
 みんながくまさんのいろを塗っているのを見て、「ぼくもやりたい」といっていたので、色づくりの指導をした。
 すると、Zが「おれはやっていない」といいだしたので、Zもいっしょに指導した。
 Wの色づくりは黄色から赤のグラデーションがみごとに展開されており、やさしさにあふれている。
 このやさしさが父親の絶望を刺激してしまったのだろう。彼の太股にはたばこの火を押しつけられた跡がたくさんあった。
 しかし、激しい神経症が見られる以外はバランスの取れた意識を持っていると思う。
 したがって、入所して数日後であったが、だいぶ安定した状態にあった。
 O養護施設のスタッフの彼への触れ方がとても良かったのだと思う。
 
 Zの色づくりは、色のバランスがよい、彼は、他の子どもたちの気持ちをじっと聴いていることが出来るのだ。
 しかし、Zは自分に聴こえてきた他の子どもたちの気持ち・色を順番に並べてしまう、すると、誤解してしまい、戦いが起こってしまうのだ。
 
 WとZが色づくりを始めると、FとHとZが「絵の具ちょうだい」といった。
 彼らが自由に描いている様子が冒頭の写真である。
 この写真を見て、この三人がどっしりと腰を降ろしていることを感じる。
 彼らの体に自信が満ちてきたのだ。

 
2.

 

24日16時から「ちばおじさんとみつはるおにいさんのミニコンサート」が始まった。

 
1.パレード
2.パワフルパワー
3.そらをみてたら
間奏曲U
 
 子どもたちは、ここまでは、非常に集中して聴いてくれていた。
 上の写真のとおりである。
 
4.たんぽぽ
5.いぬふぐり
6.かぜとかざぐるま
の岸田衿子さんの詩になったら、子どもたちがもぞもぞと動き出したくなってきた。
 とくに「かぜとかざぐるま」でピンクの絹の布を使ったが、それをみて、子どもたちは風になりたくなったのである。
 
フォスターさんちの草競馬
7.だっぴ    へびいちのすけ
8.ともだちだい こうしたろう
9.どっこいしょ きりかぶさくぞう10.あしたこそ  たんぽぽはるか
青い目をしたウサギのかなしみ 
では、集中している子と動き出してしまった子どもに分かれてしまった。
 
 そこで、わたしはそれ以降のプログラムの進行を諦め、
「いすをかたずけよう、
 まあるくなあれ、まあるくなあれ、1,2,3,」
 と、かけごえをかけると、保育児と幼稚園児が、すぐ手をつないできた。
 すると、学童の子どもたち全員が手をつないだのである。
 手をつないだ態勢で、「クリスマスがやってくる」を歌いながら踊っているのが左の写真である。
 このあと、「電車」になって、「パレード」を歌い、行進してミニコンサートは終わった。
 
 左の写真の、子どもたちの嬉しそうな様子と、しっかりと踏みしめられた足、そして安定した腰を感じていただければうれしいかぎりである。
 
 ピアニストの照井君の感想、
 「子どもたちが動いてくるのを感じられてとてもいい経験だった。」
 長男の感想、
 「かぜとかざぐるまでピンクの布を見たらみんないっしょに踊りたくなっちゃったんだ、成功だと思うよ。」
 

2001年2月28日

千葉義行

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