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レポート2    8月4日、8月24.25日
 


「たくさんの色造り」の後のおそうじ

 8月24日、「たくさんの色造りを」行った後、みんなで床を掃除している様子である。 どの子も嬉々として楽しんでいる。
 

1.第4回目の訪問  8月4日

 私は、
 
かささしてあげるね    長谷川摂子・西巻茅子    福音館書店
 
しろくまちゃんのホットケーキ  わかやまけん     こぐま社
 
たまごのあかちゃん    神沢利子・柳生弦一郎    福音館書店
 
はっぱのおうち      征矢清・林明子       福音館書店
 
ぞうくんのさんぽ     なかのひろたか       福音館書店
  ど
どどどどど        五味太郎          偕成社
 
ぐるんぱのようちえん   西内みなみ・堀内誠一    福音館書店

の絵本を持って、4回目の訪問をした。
 
Iちゃんの喜んだ絵本
  しろくまちゃんのホットケーキ、かささしてあげるね、ころころころ、まるまる、
Hくんの喜んだ絵本
  どどどどど、たまごのあかちゃん、もこもこもこ、ころころころ、
Fくんうの喜んだ絵本
  どどどどど、ぞうくんのさんぽ、まるまる、もこもこもこ、がちゃがちゃどんどん、かつやの喜んだ絵本
  はっぱのおうち、どどどどど、がちゃがちゃどんどん、
Aくんの喜んだ絵本
  はっぱのおうち、ぐるんぱのようちえん、ころころころ、きゃべつくん、
Bちゃんの喜んだ絵本
  どどどどど、かささしてあげるね、もけらもけら、
Dちゃんの喜んだ絵本
  かささしてあげるね、どどどどど、がちゃがちゃどんどん、ころころころ、
 
 この日、Eくんは帰省しており、Gちゃんは担当の保母と外出していた。
 
 私は、この日何度も繰り返し絵本を読み聴かせした。
 最初は、全員に対し読み聴かせし、次は、子ども達が持ってくる絵本を繰り返し繰り返し読んだ。
 前回持ってきた「言葉の絵本」が相当読み込まれていることを感じ、子ども達の絵本を聞く体勢が、「思考で聞く」体勢から、「自分の感情で聴く体勢に変化しつつあることをとても嬉しく思った。

 これは、担当保母であるTさんの日頃の保育の成果です。

 

2.第5回目の訪問   8月24.25日

 8月24.日午後は、始めて水彩で「たくさんの色造り」を行った。

 9人を丸く座らせ、パレットと中筆は一人1個、水入れは二人で1個用意し、四つ切りが用紙がなかったので八つ切り画用紙で実施した。
赤をちょっと筆につけ、パレットでクルクルッとしてから、「どこに描こうかな」と、好きなところへ「点、クルクルクルッと丸を描く。
青…
黄色…
白をいっぱいつけてパレットでグルグルグル、赤をちょっとだけつけてさっきの白にまぜまぜまぜ、…
水色…
クリーム色…
黄色をいっぱいつけてパレットでグルグルグル、赤をちょっとだけつけてさっきの黄色にまぜまぜまぜ、…
緑…
赤を少しつけてパレットでグルグルグル、青をちょっとだけつけてさっきの赤にまぜまぜまぜ、…
ここまでで、いくつ色ができたかな?、10もできちゃった……
これからは、全部の色を使っていいよ、
ただね、新しい色は、少しずつ混ぜて行くんだよ……
 
 子ども達は1時間半ほど集中して何枚も色造りを描いていた。
 
色造りが終わった後、全員で、道具を洗い、汚れた床を拭き掃除した。
この「お片づけ」が、全員で気持ちよくできたということは、すばらしい成果であった。
 
25日午前
抱っこしての「ネコのおいしゃさん」「3びきのくま」「すてきなぼうしやさん」のオィリュトミーをひとしきりやった後、「まあるくなあれ、まあるくなあれ、いちにのさん」で円形をとり、「ととけっこう」「いちばちとまった」「たんぽぽ」でわらべうた・オィリュトミーを行った。
 その後、今回の新しいオィリュトミー「そらをみてたら」「だからあめふり」「せかいじゅうのこどもたちが」を鑑賞形式で行った。
 
わらべうた・オィリュトミーを楽しむことができること、自分の順番を待つことができるようになること。
この2点では大きく前進している。
 
24.25日を通して、Dちゃんが抱っこしてのオィリュトミーを積極的に求めてくるようになった。
抱っこしてのオィリュトミーは、全員が喜びを表して求めてくるようになった。
「そらをみてたら」は、抱っこしてのオィリュトミーとしても、大変重要な作品である。何度もリクエストを受けた。……自分の肯定−自分が創造することへの喜びが意識に上ってくるからであろう。
 
24.25日を通してA君が荒れていた。
帰省が1日しかできず、自分の期待が裏切れてしまったことへの、わびしさから、自分の思いが実現しなかった様々の記憶を再現し造りだしてしまう心の働きがA君に強く起こっていた。(遡行)
A君が荒れて物を投げたり棒を振り回したりしているのを、他の子ども達はA君の行為に振り回されないで遊んでいたのは、偉いと思った。
25日に、C君がA君に怪我をさせそうになったときに、保母のTさんがCや君へ、「危ない場所でやってはいけないから、怪我させそうになったことをAへ誤りなさい」と叱っていた。
C君は、A君のところへ行って「A、ごめんね」を繰り返し、Aが返事をしないので泣き出してしまったが、私は、「A、ごめんね」といえるCくんの気持ちがとても偉いと思った。C君にはA君のどうしょうもない気持ちがちゃんと意識されていたのである。
 
 

3.たくさんの色造り

 名前がはっきりわかっているもののみ取り上げることとする。

 6名ともに色が透明でありバランスがよい。これは、6名の本体が非常に聡明で、優しい愛情に溢れていることを現している。
 H、G、D、の3名の絵にには、赤系統が少し強く現れている。
 HとGには、他者の自分対する愛情を在らせようとする(愛情を求める)歪みが見かけられ、それが実現されない挫折を味わっているところが、この赤の原因であろう。
 Dは、逆に自分の他者に対する愛情を在らせようとしているが、それが実現しないという、コミュニケーション障害(自分への脳性麻痺)があり、それがこの赤の強さと、ここには写真がないがもう一枚の絵に現れているひょろひょろした線の原因であろうと思われる。
 Eの絵には、ひょろひょろした線と、自分がさきに描いた色を後から塗りつぶすという、言語障害と意識障害の特徴が見られる。
 ひょろひょろした線に現れる言語障害は、神経系統で内容が意味を失ったとき(フォルムが色を失う)に現れるが、これが、Eが時々見せる、ぼーとした表情の原因であり、Eの言語能力の発達遅滞の原因であると思われる。
 自分がさきに描いた色を後から塗りつぶすという行為に現れる意識障害は、脳の思考意識が特定の方向を繰り返すときに現れるが、Eの日頃の生活の中に何かのこだわりを発見することができるのではないかと思う。これもまた、算数障害の原因となってくるのである。
 

次回は、にんじんを水彩で描き、生命の流れに沿って描くことを教え、にんじんに地下に向かう方向と、お日様に向かって延びる方向の2つがあることを教えることとする。

 

2000年8月28日  

千葉義行

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