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レポート8  第12回目の訪問  11月20.21日

1.
 11月20日11時頃にO養護施設についた。
 今回私は、自然塩と粉石鹸、台所用石鹸、浴用石鹸、幼児用の絹の靴下を、郡山の自然食品の店から購入して、サンプルとして持参していた。
 昼食を取った後、IとBとDと担当保母、そしてI主任に事務室に来てもらって、Oリングテストをおこなった。
 まず、IをI主任が抱っこし、彼女の右手を担当保母が左手で握り、担当保母の右手のリングを私が開くという形でのOリングテストを行った。
 次に、Bの右手を担当保母が握りOリングテストを行い、さらに、Dのテストを行った。
 粉石鹸、台所用石鹸、浴用石鹸、幼児用の絹の靴下については、微妙ながらも、何も触っていないときよりも、それを触っているときの方が担当保母の右手のリングに入る力が増し、
 自然塩の方は、はっきりとそれを触っているときの方が担当保母の右手のリングに入る力が増すという結果がでた。
 
 アレルギーへの対策は、アレルゲンとなるものを除去するという対策がアレルギー医からの指導として行われているが、対処療法としてのアレルゲンとなるもの除去とともに、体内にはいった異物を血液系とリンパ系から肝臓・腎臓を通して尿として体外に排出する、代謝系の機能回復の促進が必要なのである。
 代謝系の機能回復のためには、主食である米を少し黒くするとともに、自然塩を使うこと、三温糖などさらしていない砂糖を使うこと、が人類の全員にとって必要であり、手足の冷えている人にとっては、絹を下着として身につけることが必要である。
 
 Oリングテストの後、私は担当保母と主任に、
「とにかくね……、今テストしたことは、現在の社会の中で「常識」になっていることじゃないんだよね。だから、ここの中でいますぐできることじゃないんだ。
 でも、主な人たちがアレルギーへの対処が必要だと納得し、その方向性を把握していれば、そのうち職員全体の気持ちがやってみようという方向でとまとまると思うんだね。」と話した。
 

2.

 20日午後は、はじめてクレヨンで画面分割を行った。

 シュトックマー社の16色ブロッククレヨンを5個用意し、子供たちを順次指導したものである。
 「どのいろえらぼかな?、好きな色を一つ選んで……、クレヨンを縦にしっかりもって……、
 たてかな、よこかな、ななめかな、まるかな、くるりんこかな、ぐるぐるかな……、
 どの線を描きたい?」
 子どもの手を取り、縦、横、斜め、螺旋、渦巻き、を空中で描いてみると、子どもには今自分がどの線を描きたいと思っているかが響いてくる。
 次に、線で分割され分けられた空間を子どもの指で指しながら、
 「どこにかこうかな?」
 子どもの選んだ空間の上で、
 「どのいろえらぼかな?、好きな色を一つ選んで……、
 たてかな、よこかな、ななめかな、まるかな、くるりんこかな、ぐるぐるかな……、
 どの線を描きたい?」
 今度の分割は、前に描いた分割の線を又がないようにする。
 ……以上を繰り返し、画面分割を完成させる。
 
 子どもが、分割の線を描くことに満足したら、
 「どのいろえらぼかな?、好きな色を一つ選んで……、
 どこにかこうかな?」
 子どもが選んだ空間を、子どもが選んだ色で塗りつぶす。
 ……以上を繰り返し、全空間を塗りつぶすのである。
 
 Eの絵の分割の線は、力強さに満ちている。
 画面右左の大きな円、2つの中位の円、4つの小さな円、画面右の中位の円、縦と横の分割の線、全てが力強く描かれ、彼の本来の意識の他者への愛の深さを現している。
 空間を塗りつぶしている色は、右の円の黒が彼のアトピーと絶望を現しているが、残りの色は暖かく、彼の体と意識が癒され、慰められてきた過程を現している。
 
 Dの画面の色は、なんと調和して暖かいことであろう。
 彼女は、地面を這う虫たちが大好きである。地面を這う虫たちと菌類と細菌類は、地球の環境を正しい姿に戻すための働きをしている。
 彼女の体は、絶望のために萎え、そのために、まだ排泄の自立ができないでいる。しかし、彼女の体は自分自身で自分の体を治すだけの力が付いてきたように思われる。

 
 Fの絵には、二つの丸の外側に色が塗られていない。これは、彼の他者の意識を表象する力が未発達であることによる。
 そのため、彼は、保母に甘え上手であるが、お友達を援助する体の動きがなかなか起こらないのである。
 他者の意識を表象する力を育てるのは、教育の力である。わらべうたあそびと絵本の読み聴かせと保母の生活の世話が大切である。
 


 Hの絵は、一部塗られていない空間があるが、暖かい感情で溢れている。
 渦巻きを描く遊びをもっとするようになれば、彼の絵に躍動と深みが出で来るものと思う。

 
 Cの絵は、紫と緑が強調されている。
 普段、体でお友達にきめ細かな配慮をしている子どもであるが、体で起こっている判断がうまく意識に上っていないものと思われる。そのために、ときどき他の子どもと衝突してしまうのである。
 色のオィリュトミーと5拍子の太鼓のリズムにより彼の色の感覚を調整してみようと考えている。

 
 Aの絵は、赤が強調されている。しかし、この赤は、「怒りの赤」ではなく、他者を支える彼の感情を表す「赤」である。
 前日、彼は七五三で一日里帰りをし、父親にあっていた、そのため、この日は荒れ気味だった。寂しかったのであろう。
 彼は、生活をともにする近親者に愛を注ぐ能力を持っている。
 だから、彼が家へ帰っても家族は楽になるだろう。

 
 Bの絵は、直線で区切られ、緑と赤と黄色が静謐に調和している。
 これは、彼女の「彼女を取り巻く環境を肯定する」認識を現すのである。
 彼女の感情は、わだかまりやすい。Bの感情がわだかまると、彼女はすねたり、お友達をつねったりする。
 「彼女を取り巻く環境を肯定する」認識が、彼女の脳の意識に響くようになれば、彼女の感情は急速に発達しはじめるものと思われる。

 
 黄色から赤への変化を中心とするGの絵は、やさしさに溢れている。
 ただ、左下の緑が彼女の鬱を現している。さらに肩胛骨のオステオパシィが必要であると思われる。

 
 Iの絵は、意識が肉体とつながっていない、強度のアトピーの状態を表している。
 Iの体は、急速に暖まってきているが、さらに、アレルゲンの除去、自然塩の摂取、絹の靴下の着用など、アレルギー対策が必要であると感じる。

  ここをクリックすると大きな絵が見られます。
3.
 21日朝、食堂に行くと、Lが「ジージーやって」と近づいてきた。
 喜んでオステォパシィをしていると、KもJもオステオパシィを求めてきた。
 そして、これまで私が触れられなかったMがとうとう「ジージーやって」とオステオパシィを求めてきた。
 そのあと、職員室で彼らを一人ずつ抱いて、「そらをみてたら」「さんびきのくま」「ねこのおいしゃさん」をオィリュトミーした。
 幼稚園組の彼らはとても喜んだ。
 しかし、遊んでいる内に、掃除機やほうきを持ち出して振り回り始めた。
 幼稚園組は、「危ないこと」の判断は起こるのだが、誰かがはじめると自分ではやめることができないのである。
 

4.

 4才児組の保育は、保母のTさんのパネルシアター「もりのクリスマス」で始まった。
 こどもたちはそれぞれの動物になって、Tさんのサンタクロースから贈り物をもらって、「ありがとう」をいった。
 
 私は、子供たちに鈴をつけさせ、「パレード」(新沢としひこ作詞中川ひろたか作曲)を、8の字を描きながら歌い、行進した。
 子供たちはとても元気にのってきた。

 木の太鼓は、子供たちが自由に遊ぶようになっていた。
 子供たちは、まだしっかりとリズムを打ち、それを楽しむところまではいっていなかった。
 「やすべいじじは うんぽんぽん
 やすべいじじは うんぽんぽん
 そういうたぬきも うんぽんぽん
 うんぽこすんぽこ すこぽんぽん」
 というように、となえことばをいいながら、太鼓を叩いてみてはどうだろうか?という提案をTさんにしたが、子供たちに受け入れられるテキストを見つけだす必要がある。
 
5.
 21日午後、帰ろうとしたら、ジャンパーを忘れたことに気づき、朝幼稚園組と過ごした職員室に戻った。
  そうしたら、朝彼らとともにいた学童の担当職員がそこにいた。
 「学童の方はたいへんだね、彼らはまだ、僕らに一方的に要求するだけだもんね。」
 「今朝はお疲れだったでしょう、何度も抱っこして踊って、たいへんでしたね。」
 「そうだね、オステオパシィをしているときや抱っこしてオィリュトミーしているときは、にこにこうれしそうにしているんだけれど、ぼくから離れてしまうと、掃除機やほうきを振り回す。
 相手からちょっかいをだされたり、たたかれても、相手にしなければそんなにやられないのだけれど、KなんかはJに叩き返すからいつもぼこぼこにやられてしまう。」
 「生育歴が関係するのですか?彼は父親から虐待を受けたのですれけど……」
 「Kはね、オステオパシィをしているときなんか、じつにかわいくてにこにこしているよね。でも、彼の表情が全く別人になる瞬間が起きるだろう。……
 ぼくの肩をもんでくれるときに、Lはとても柔らかくて上手なんだけれど、Kはぼくののどをつぶそうとつかみかかってくる。そのときの表情は鬼のような全く別人になってしまう。」
 「そうですね、Kはまったく違う表情になりますね。そのときは怖くなります。」
 「Kには、狭義の精神分裂病が起こっているといえるんだ。
 おそらく発病は、父親から折檻されたときであるだろうとおもうけど、Kには最初から、『他人から暴行を受けるに違いない』と思うと、案の定暴行を受けてしまうという広義の分裂病があって、それが、父親の行為障害や分裂病や鬱病を動かしてしまって、父親の折檻が起こったのだと思うよ。
 折檻を受けたことによる激しい悲しみと寂しさで、ひろきの意識の統合性が崩れ、Kの意識の中にもう一人のKが憑依してしまったのだと思うね。」
 「私たちはどう接していけばいいのですか。」
 「機会あるたびに、Kの頭頂骨を持ち上げ、耳の後ろに触り、額と後頭骨をサンドイッチにして触ってあげる。脊椎と背中のマッサージをつづける。腸骨と仙骨と股関節を治す。
 いつでもKの本体を尊敬し、彼と同じ目線で胸から声を出して話しかける。
 僕らが、彼といっしょに生活しているということが、彼の障害を治していく全てなんだ。」
 「それからね、アレルギーへの対策が重要だな。
 Kにも深い行為障害がある。どうしても手がでてしまうもんね。
 Jの行為障害が一番深い。
 行為障害と腸骨と仙骨と股関節は深い関係がある。
 にがりの入った自然塩を使うこととレタスや生野菜を避けることが、腸骨と仙骨と股関節と肩胛骨を治すための前提になるんだ。
 そして、アレルゲンの除去をし、お米を少し黒くして代謝系の発達を促進してアレルギーを無くしていくことだね。
 アレルギーがあって、さらに行為障害を持っていると、自分のアレルギーの対象に対して手がでて、攻撃的になってしまうのだよ。」
 

 さらに、腰が痛いという彼女に腰椎の治し方を教え、O養護施設をでた。

2000年11月27日

千葉義行

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クレヨンによる画面分割