1.18日10時30分頃にO養護施設についた。幼稚園はもうお休みで、年長児と年中児がいっしょに遊んでいた。N(年長)がかけよってきて、「おえかきしよう。」といった。「年長さんは午後しょうがくせいたちといっしょにやろう。 午前中はみんなで遊ぼう。」といったが、Nは「おえかき」にこだわっていた。最初に「もりのくりすます」のパネルシアターを行った。N、R、S、Oの年長児の四人が先頭に座った。「もりのくりすます」は昨年年長児と年中児が10月から12月まで歌い続け、クリスマス会でも発表した演目だった。私が歌うと、年長児たちはいっしょに歌った。きょうはうれしいくりすますのひ もりのなかではどうぶつたちがサンタクロースのおじいさんの おくりものをまってます。いちばんさいしょはりすさんにメリメリクリスマストゥユー メリメリクリスマストゥユーメリメリクリスマストゥユー メリメリクリスマストゥユー幼児たちのペースは年長児たちのペースと微妙に差があった。双方とも私との関係を独自に独占したいと思っているようであった。私がカーペットに腰をおろすと、すぐNが私のひざに乗ってきた。すると、R(年長)が私のひざに乗ろうとしてNを押しやった。すると、NはRにつかみかかり泣き喚き始めた。二人をマッサージしながら引き離そうとしている私の姿を見て、三瀬さんがNを連れて行って抱っこし始めた。「いやあ、二人とも僕を独占したいんだね…午前中に僕と遊べることはないもんね」三瀬さんは、Nに向かって「じゅんばんこ、じゅんばんこ」といっていた。私は残ったRの、フォルム治療を入念に行った。
彼女の腰からは脳性麻痺系と怒りの障害が大量に排出された。Rがおわった後、Nも入念にフォルム治療をした。
彼女の頚椎と肩からはリューマチ系の障害が大量に排出された。「まあるくなあれ、まあるくなあれ、いちにのさん」S、R、Nがすぐ手をつないできた。Nが「たんぽぽやろう」という。絹の布を持ってきて「たんぽぽ」で振って見せると、「ちがう」という。三人の頭に順番に手を当てて「たんぽぽ たんぽぽ むこうやまにとんでけ」と歌い、後に頭に触った子どもを私が抱っこして飛ばしてあげると、やっと、喜んで満足した。それは、去年の冬に現在年長のこどもたちと一緒に遊んだ遊び方だった。
今年の幼児達はもっと年齢が低いために、この遊び方はまだ行っていなかったのである。4月から12月まで現在の年長児とはわらべうた遊びをしていない、Nは、この遊びを覚えていて、「他の幼児も一緒に遊べる」という判断を無意識で下していたのだ。
2.
午後は学童のこどもたちとフェルトの小物入れを作った。白い羊毛10gをくるみに4層に巻きつけた後、石鹸水をつけてビニール袋の中でよくもむ。柔らかだった羊毛が硬くしまってきたら、色のついた羊毛5gをその上に4層に巻きつけ、石鹸水をつけてビニール袋の中でよくもむ。全体が硬く締まったら、できたフェルトだまの天辺を星型に切りくるみを取り出す。20分ほどは力をこめて羊毛をもんでいなければならない。つくりに来た学童の子ども達は、2個作った子が多かった。このフェルト造りの楽しさは、自分の作品を持った子どもたちの表情で分かるだろう。
このフェルト造りで、私にとって、新しく学童の女の子5人とのふれあいが始まった。
3.フェルト造りを終えて幼児の部屋に戻ると、学童の男の子たちが幼児の部屋で遊んでいた。「まあるくなあれ まあるくなあれ いちにのさん」B、A、D、G、が手をつないでくる。すると、U(一年生)とV(一年生)が「いれて」といってきた。「いちばちとまった にばちとまった さんばちとまった よんばちとまった ごばちとまった ろくばちとまった しちばちとまったはちがきてくまんばちがとんで ぶんぶんぶんぶんぶん」彼らははじけるように喜んだ。これを見ていたS2(二年生)が「いれて」といって参加してきた。S2との本格的な接触はこれが初めてだった。S2には小脳・脳梁の深い緊張(鬱病・脳性麻痺)から起こる脊椎の緊張があり、軽い知恵遅れが起こっている。
4.
今日もまた、Uをおんぶして、おふろの中で踊ってうたった。「そらをみてたら」「くりすますがやってくる」「ねこのおいしゃさん」「3びきのくま」M5、V、T、Z、J2、K3、R3、がそこにいた。
5.
幼児たちが寝付いたのは9時過ぎだった。9時までの勤務で残っていた三瀬さん、鈴木さん、木村さんと12時まで話し込んだ。「Aがこのごろ自分は動かないで言葉で何かを命令していることがあるのをしっているかい?」「ありますねえ、そのときはどうしたらいいんですか?」「そのときは放っておくんだね。泣いてしまったり、他の子とつかみ合いになったら、体をよくマッサージすることだね。小脳で『〜があったらいいなあ』という気持ち(鬱病)が起こると、前頭葉でその思考を繰り返してしまうんだね。
すると、前頭葉と大脳がその思考で他のこどもたちや私たちスタッフを動かそうとする。
これが激しく起こるこどもたちがADHD・前頭葉の微細障害を起こしてくるんだ。AにはADHDが起こる要素があるということをスタッフは知っている必要があるね。A、F、B、年長児ではR、S、一年生ではT、に、この鬱病からADHDへの要素がある。
去年のD1、TTの兄弟はADHDが起こった後の状態だった。」「先週ある保育所に行ったら、観察していても理由がわからなくほかの子を叩いたり引っかいたりする子がいてね、所長先生が心配して僕に『どうしたらいいですか?』って相談してきたんだよ。その子をじっと観察しているとね、脳梁と視床に緊張があって知恵遅れが起こっているのが分かるんだ。それで、所長先生に『このこにはてんかんはないの?』と聞いたら、『それがね!ひきつけを起こして医者に見てもらったら、『熱性痙攣ではありません』といわれたというのよ』というんだ。医者が脳波を調べてもてんかんの波形が出ないケースは多いからね、U2、P、U、そしてEは、このてんかんから知恵遅れが起こったケースであると思うね。Eは他に視床にLD・視床の微細障害があった。
EのLD・自閉症はみんなの努力で非常に良くなってきた。
LDが良くなってくると、Eの現在の意識がしっかりしていないことが目立って見えてきてね。他の子どもたちがけんかごっを始めるとすぐEの顔つきが変わってしまう。 (左の写真)他の子どもたちとの関係が起こっていなくてもEの顔つきが急変することがある。
しかし、一方で非常に深くスタッフの気持ちを聴いているEがいる。(右の写真)Eの非常にしっかりしている本当の意識(右の写真)がある。
しかし、その本当の意識が彼の意識の中心にしっかり固定されていないために、彼の歪んだ意識の一部や彼の前生や今生で係わり合った他者の歪んだ意識の一部(霊といってよいよ)が、彼の意識の中枢を占拠してしまい複数の人格が表面に現れるのさ。これは、精神分裂病と呼ぶべきだろうね。意識の中枢にひとつの人格が固定されていないと、経験が蓄積されなくてね、知恵遅れが起こってくる。
また、てんかんを繰り返すと経験を蓄積するための脳の部位が破壊されるために知恵遅れが起こることがあるんだ。U2、P、U、E、には、共通しててんかん・精神分裂病・知恵遅れがある。PとUには、僕が徹底して治療を続けてきたから、てんかんと精神分裂病はほぼ治ったのだと思うんだがね、知恵遅れは教育の力で気長に彼らを育てるしかないね。GとCは去年食事をしながら意識を失うことが多かったのを覚えているかい?彼らにも脳梁の緊張があった。てんかんが起こっていたんだろうと思うよ。Gのすがめは脳梁の傷からきていると思うね。でも、彼らのてんかんは軽くすんだので、Gにはほんの少し知恵遅れがあるけれどCには知恵遅れが起こっていない。」鈴木君はよく質問してくれた。木村君は微笑を浮かべてじっと聴いていた。私には、木村君の肉体が大きく成長しているのが感じられ、とてもうれしかった。
6.
19日6時半すぎに幼児のお部屋に行く。「おはよう」こどもたちの着替えを手伝う。着替えをさせて、体をマッサージし、足を回して、足首を捕まえて、「せんぞうやまんぞう おふねはぎっちらこぎっちらぎっちらこげば みなとがみえるえびすかだいこくか こちゃふくのかみよ」「ブルブルブルブルブル」F、B、G、K、それぞれに、ゆっくりマッサージを施した。Fからは、肩の肩甲骨と鎖骨から鬱病が排出され、Bからは、仙骨から痛風と怒りが排出され、Gからは、側頭骨と前頭骨と腸骨から鬱病と神経症が排出され、Kからは、腰椎と腸骨と手骨から鬱病と痛風が排出された。
7.
左は、19日の朝食後に撮った生誕セットの様子である。12月になるとO養護施設ではイエスの生誕を祝い、イエス、マリア、ヨセフ、ロバ、羊飼いと羊、三博士、ガブリエル(天使)、の生誕セットを飾る。毎日、こどもたちは生誕セットを触りにきて、少しずつ並べる位置を変えているのである。この日の生誕セットはイエスを中心に密集して並べられ、ガブリエルが外邪(ほんとうは自分の心の歪みなのだが)にむかって集団を守護しているように見えた。O養護施設の子どもたちの無意識は、イエス(主)に身を寄せることによって、「自分の心の歪み」に立ち向かおうとしている。しかし、「自分の心の歪み」は、外から(他者との関係や、環境から)自分の経験として自分を動かしてきたり、自分の体の不調として起こってくるので、彼らの表の意識としては、彼らの苦しみや悲しみの原因を、他者や環境のせいにせざるを得ないのだ。ガブリエル(天使)は、彼らのこのジレンマを現している。ガブリエルもキリストも阿弥陀仏も、各宗教ごとに信仰の対象となっている神も、「自分の心の歪み」を治そうとする緊張(これも自分の心の歪みである)を現しているのである。
8.
おやつの後に幼児たちとフェルトのたまつくりをした。
くるくるくるくる石鹸水につけた羊毛をもむ、刑部君が手伝ってくれていたが、どの子もしっかりと固めることができた。
神経症やアレルギーが激しかったり、知恵遅れがあったり、分裂病を持っている子ども達は、骨格に力が入らないためにフェルトを硬く固めることができないのである。
フェルトを作った後のAとMの表情はとても自然であった。(左の写真)
残った羊毛は刑部君に渡した。
「ちょうど30cm四方くらいのフェルトの壁飾りができるよ。
スタッフで作ってみるといいよ。」
刑部君は私の作り方の説明を細かくノートに取っていた。昼食後、私はO養護施設を後にした。
さよなら あんころもち またきなこ ばいばい
2001年12月24日
千葉義行