O養護施設レポートU
レポート1 2001年4月17日、4月25日 |
2001年度もO養護施設とかかわって欲しいと園長先生に依頼されたときは、私はとてもうれしかった。
昨年度かかわった5才児(一部4才児)は、幼稚園の年中と年長へ通園することとなり、残りの2才児3才児を中心に保育の指導をして欲しいということである。
宿舎をともにするのは、2.3才児が7名、4才児(幼稚園の年中に通園している)が3名。この子供たちを6名のスタッフで面倒を見ている。
O養護施設は、親から離れて生活をせざるを得なくなった子供たちの生活の場であるから、6名のスタッフは交代で夜勤をしながらこの子達の生活を見ているのである。昨年度は3.4才児の昼間の時間を保母が一人で保育しており、私がその保育に関係したのであるが、今年度は、2.3歳児を集団で見ているスタッフとともに保育を考えていくこととなったわけである。
これまでに3回、新しい体制でやってみたのだが、私の目は、ますます、睡眠、食事、排泄、手・足・からだの火照りと冷え、こだわりの行為・行動、とごく日常の生活に向くようになった。「健全な精神は健全な体に宿る」
まさしくそのとおりである。
しかし、やみくもに体を鍛えても、それが苦しみでありこだわりであれば、健全な体にはならない。
手・足・体を持つ喜び、手・足・体で外界を感覚する喜び、手・足・体を動かす喜び、―――心臓の鼓動を感覚する喜び
が自分の体と意識と、他者の体と意識を肯定するカギとなるのである。1回目のときに、幼児グループのリーダーの三瀬さんと、
「去年度の保育では、子ども達が自分たちの体を喜び、保母との1対1の関係を持てるところまで育ったけれど、わらべうたで役割交代遊びをすることができなかったのね、「まあるくなあれ、まあるくなあれ、いち、にの、さん」 というと逃げ出す子がまだいてね、「千葉先生のあとに電車になれ!」っていうと、われさきに一列になるくせにね。
今年は、ぜひ、役割交代遊びができるようになりたいな。自分のことだけで精一杯ではなく、他の子のやりたいことと喜びを感じながら、自分の体が動いて、「ああよかったな」って思えるようにね。」
「ぜひ、役割交代ができるようになりましょう。」
という会話をした。第1回目に、私は7色の絹の布をもっていった。
この布をひらひらさせて、
「たんぽぽ、たんぽぽ、むこうやまへ、とんでけ」
「ねえねえ、ピンクのかぜがふくよ!
ヒュー、ふわふわ、
じーじーばー」
と、歌うと、子どもたちは体の内側から喜びを現し、「たんぽぽ、たんぽぽ、むこうやまへ、とんでけ」「 じーじーばー」と歌った。
色へのこだわりは、特殊な感情的意味付けへのこだわりを現してくる。
一人一人の子どもたちは、それぞれに自分の感情を大切に生きているのである。
しかし、自分の感情で他者の気持ちを測るときに、他者の気持ちへの誤解が生まれ、他者の気持ちを自分の気持ちで決め付けたり、拒否をしたり、戦ったりしてしまうのだ。冒頭の写真の「7色の布」 は、今年度の取り組みの象徴となるのだろうと思っている。
音楽
たんぽぽ(わらぺうた)
たんぽぽ たんぽぽ
むこうやまへ とんでけ2001年5月19日
千葉義行