くれよんさんのけんか1.22日10時30分に恩寵園についた。三瀬さんがひとり、幼児の職員室で子どもたちと切り絵を作って遊んでいた。この日、風邪で学校を休んだ2J(2年生)が幼児たちと一緒にいた。2Jは幼い子ども達の面倒を良く見ていた。このひ、鈴木さんはBとGを連れて、かれらの服を買いに出かけていた。昨日は、Dが木村さんと一緒に服を買ってきた。Dは、昨日買った服をニコニコとして私に見せてくれた。「これまでは、職員がまとめて子ども達の服を買ってきて、それを分けていたんですが、職員もひとりひとりの子ども達のお母さんらしく子どもたちと付きあおうと言って、順番で子どもをつれて買い物に行くことにしたんですよ。」「やあ、D、このおようふくはかわいいね、よくにあっているね。」三瀬さんは、かみしばいの「くれよんさんのけんか」(八木田宣子・田畑精一)を読んだ。くれよんが、自分の描きたいものを描こうとしてけんかをするが、それぞれの色にちょうど描けるものがあると分かって、なかなおりするという内容である。こどもたちは、お話の中に参加しながらよく聴いていた。かみしばいのあと、わたしは、ソプラノライヤーとペンタトンライヤーを取り出した。私は、子どもたちを順番に抱っこしてライヤーを左手にもたせ、右手の人差し指、中指、薬指、小指でグリッサンドをさせ、一音ずつゆっくり弾くことを教えた。一音ずつ弾こうとする意識が働くと、まだ、指だけの力で大きな音を立てようとして子ども達の指に力が入ってしまう。2.午後、学童の子どもたちにいすの描き方を教えた。それぞれ、好きな色で背景の空間を描く。つぎに、いすの色を作る。「赤をドン、黄色もドン、青をトン、白をちょっと、……混ぜて、…… いすの茶色になった?」床についている足の位置を確認する。どの足が一番手前で、どの足が一番奥で、……右と左の関係……。足は床から上に描いていく。座る部分は、木目を観察し、中央の木目からとなりとなりと描いていく。背もたれは、座板の位置を確認しそこから立ち上がりの角度を確認しながら描く。P(写真右)が安定した筆さばきで空間を描いていたのが印象に残った。写真の、しっかりした左右の感覚と、骨格の確かさを見れば、彼の意識の統合性が相当回復してきていることを現しているのである。てんかんにより、知覚障害と分裂病が起こり、意識の統合性が崩れたことが彼におこった知恵遅れの一番の原因であったと考えられるのである。
N(年長)
ちからづよい。
空間が安定しており、構造の感覚もしっかりしている。
R(年長)
彼女を支持してくれている環境(恩寵園)への信頼の感情がよく現れているように思える。
安定し、構造もしっかりしている。
O(年長)
黒い背景を描きたいといった。
自分の意識を纏める部分に意識障害があるためか?。
時間をかけた療育が必要である。
P(年長)
空間が非常に安定してきた。
ちからづよい。
意識の統合性の回復を示す作品。
Y(一年生)
空間は非常に安定している。
直線が曲線になってしまうのは、感情が繰り返されてしまう障害がまだ癒えていないためである。
Z(一年生)
力強い。
構造もよく捉えられている。
2J(2年生)
構造がよく捉えられている。
2S(2年生)
空間が安定している。
5M(5年生)
力強い。
安定した空間を持っている。
6Y(6年生)
はじめてであった。
草を描きたいといって、はじめは緑の色を斜めに塗っていたが、だんだん、微妙な色を重ねこの作品となった。
美しい作品である。
L(年中)
空間が非常に安定している。
力強い。
神経症が相当治癒してきたことを現している。
K(年中)
力強い。
構造がしっかり捉えられている。
M(年中)
やさしい、あたたかな絵である。
形が崩れているのは、他者への神経症がまだ残っているためであろうか。
3.
食後、7:30から恒例となった男子学童といっしょの入浴。裸のまま、UとTをおんぶして、「クリスマスがやってくる」「そらをみてたら」「ねこのおいしゃさん」を歌いながら踊る。8:00から食堂でライヤーを弾き、ピアノを弾き、歌った。5M、U、V、2J、Z、といったメンバーが集まってきた。
「クリスマスがやってくる」「ひとつのうたから」「そらのしたじめんのうえ」「かさ」を弾いて歌ったが、Vが「そらのしたじめんのうえ」を「学校でやったから歌って」といったことにおどろいた。
「パレード」「そらをみてたら」のリクエストが出た。
「こんどもってくるね。」4.9:00から宿直の三瀬さんに、ライヤーを演奏しながらの整体を行った。まず、三瀬さんにライヤーでグリッサンドをしてもらいながら、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨をフォルム治療する。ついで、人差し指、中指、薬指、小指、で、一音ずつとびとびにゆっくり弾いてもらいながら、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨をフォルム治療する。ついで、ライヤーの低音部と高音部でゆっくり会話をしてもらう。(おーい、ひのきかんじゅうろう、たっしゃかえー。……おーい、おおすぎごんえもん、おまえもたっしゃかえー。…… という調子で)ついで、人差し指と薬指で3度和声をゆっくり弾いてもらいながら、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨をフォルム治療する。それを、4度和声、5度和声、6度和声、7度和声、2度和声、とつづける。ついで、私がペンタトンライヤーを持ち、三瀬さんに35弦ライヤーを持ってもらい、ライヤーによる会話を行う。それは、じつに美しい音楽であった。幼児の職員室には、2Y(2年生)がくずぐずしていた。彼は、三瀬さんのライヤーの音をじっと聴いていた。彼は、私が脇においていた楽譜を見つけた。「これ歌って」「少年時代」(井上陽水・平井夏美)であった。彼は、私の歌をじっと聴いていた。
5.
23日、午前中はご夫婦がボランティアに見えた。子どもたちは、ご夫婦に遊んでもらって楽しそうであった。わたしは、ライヤーを出して子どもたちに教え始めた。子どもたちは、集中してライヤーの振動と音を聴いていた。6.おやつを食べたあと、幼児たちにかもの彫塑を教えた。針金を二つに折り、それにたこいとを巻きつける。それをすうじの2の形に折り曲げる。これで、かもさんの背骨ができあがる。プチフォルモを半分ずつ子どもに渡す。まず、胴の分量をちぎり、ふといへびさんを作りそれを手のひらで平たく伸ばす。それを針金に巻きつける。お尻をきゅっと締めるとかもさんの胴体になる。ほそいへびさんを作り、手のひらで平たく伸ばす。それをちぎりながら、くび、あたま、くちばし、の部分に巻きつけていく。小さなおだんごをつくり、それを手のひらで円形に伸ばし、あたまに帽子をかぶせる。少し大きなおだんごをつくり、それを手のひらで円形に伸ばし、胸におっぱいをつける。大きなおだんごをつくり、それを手のひらで円形に伸ばし、ふたつに折り、そのふたつをちぎって分ける。このふたつを胴に貼り付けてあげると、羽ができる。
A(3才)
美しさと優雅さを感じる。
B(3才)
肉体の力を感じる。
同時に肉体の意識が精神に届かない閉塞感も感じる。
C(3才)
優雅である。
D(3才)
自分の肉体の肯定の感情が聴こえてくる。
E(4才)
力強い。
F(4才)
美しい。
やさしい。
彼女の肉体が感じられる。
G(5才)
美しい。
昼食を一緒に食べてから、恩寵園をあとにした。さよなら あんころもち またきなこさよなら あんころもち またあんぱんまん
2002年2月4日
千葉義行