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レポート7 第8回目の訪問 7月31日8月1日
1.
 7月31日10時半にO養護施設についた。
 子どもたちはプールで水浴びをしていた。
 Eだけ水浴びの仲間に入っていなかった。
 子どもたちはかわるがわるプールから出てきては私に話しかけてきた。
 Eは「かたぐるまして」と寄ってきたので、「きょうはだっこ」といって抱っこし、「さんびきのくま」「すてきなぼうしやさん」「ねこのおいしゃさん」をオィリュトミーした。私から大量の咳が出た。
 Eは、「かたぐるまして、うさぎさんみにいこう」と繰り返したが、わたしは、「みんなとまだおはなししていないからあとでね」ととりあわなかった。
 いつもなら、「いやだ、いやだ」と泣き叫ぶEであったが、今回は、「あとでね」といわれても、泣き叫ぶことはなかった。Eを抱いている私の感じも楽であった。
 水浴びからあがってきた子どもたちをかわるがわる抱いたりおんぶしたりしてオィリュトミーをした。
「さんびきのくま」「すてきなぼうしやさん」「ねこのおいしゃさん」「そらをみてたら」今回はこのレパートリーに「あめふりくまのこ」を加えてみた。
 Gが抱っこを求めてきた。私は、彼を抱っこし、第一胸椎を触りながらオィリュトミーをした。私から大量の咳が出た。Gのぐるぐる考えてしまって視野を狭めてしまう心の歪んだ働き(広義の分裂病)が排出されていると感じた。
 Gは「せなかをさわってだっこして」と求めてきた。かれもまた彼自身の体の要求を感じていたのである。

 

午後、私は自宅で作ってきたフェルトのきしゃやちょうやかたつむりを子どもたちにわたしてみた。
すると、こどもたちはすぐにスナップをはめて遊び始めた。
布に綿を詰め、直径20mm長さ10Cmくらいの棒をつくり先端にループとボタンをつけてつなげるようにしたつくしんぼうも造ってみた。
すると、子どもたちはつなげて遊び始めたのである。
職員には、60Cm.90Cmの発泡スチロールのパネルにパネル布を張り、こどもたちに、先ほどのフェルトのきしゃやちょうやぞうさんを自由に張らせてあそばせるように提案した。

「こどもたちはね、きっと自分たちでお話を作ってあそぶようになるよ。」

 

3.
 8月1日朝、AとBとFが、ねぼけがおで職員に着替えてもらっていた。
 私は、Bを仰向けに寝かせて、
 「せんぞうや まんぞう
 おふねは ぎっちらこ
 ぎっちら ぎっちら こげば
 みなとがみえる
 えびすか だいこくか
 こちゃ ふくのかみよ」
 とうたいながら、股関節を右足左足とも回しやすい方向に回した。
すると、Bは右足も左足も右回りが回りやすかった。(通常のこどもたちは両足とも外回りがゆるいか(40%くらい)内回りがゆるい(30%くらい)のである。両足とも右回りがゆるい子どもたちは20%ひだりまわりがゆるい子どもたちも20%くらいである。)
 股関節を回すと、今度はおなかを右回りにマッサージした。
 Bの顔がにっこりした。
 他の子どもたちに、「わたしも」「わたしも」といわれて順繰りにマッサージをした。
 すると、Fが私のひざに頭を乗せながら、「さんびきのくまやって」というのである。
 「さんびきのくま、さんびきのくま、なかよしかぞく」
 とうたいだすと、「ちがう、うたわないで」という。素話をやって欲しかったのである。
 素話で「さんびきのくま」をやると、Fはとてもよろこんだ。
 すると、Dが「わたしも」といってごろんとなり、Bも、Cもごろんと横になり、私は「さんびきのくま」の素話を3回繰り返した。

4.

 朝食の後、保育ブロックを運んで子どもたちに与えてみた。

 はじめは、Eが不安定なブロックから飛び降り、口を切ったりしたが、4才児が中心になってすぐに美しく組み立て始めた。
 左の写真の扉はじつに美しい。
 「とんとんとん、ここはだれのおうちですか?」
 「さんびりきのくまさんのおうちでーす」
「おうちにはいってもいいですか?」
「いいですよう。」
そのあと、上中央の写真のみっつのお部屋を作った。
 それぞれのお部屋に違った絹の布がしかれると、それぞれのお部屋の意味が違ってくる。
 こどもたちは、それぞれのお部屋を味わいながら遊んでいる。
 私は三瀬さんに、
「ねえ、保育ブロックを持ってきてよかったでしょう。
 教えられなくても自分たちでできちゃうんですものね。」
「こどもたちってすごいですね。」
「子どもたちの、ごっこの会話を聞いていると、お部屋の意味を感じているし、お友達の気持ちにあわせて自分のせりふをしゃべっている。
 すてきですね。
これはね、最初にわらべうたを徹底してやって、そして、おんぶと抱っこをしてきた成果だと思いますよ。
今回来てみて、子どもたちがおんぶや抱っこされるときに、とてもしなやかだと印象を受けたんですよ。
こどもたちがおんぶや抱っこをされるのを味わっているのね。
そういえば、AとEの自傷行為がここ2.3回はみられなくなっているよね。
そして、GとLの手と足がずいぶん温かくなった。
僕らの大きな成果ですよ。」
「子どもたちがなかなか寝ないのはなぜでしょう」
「昨日10時でしたよ。
みんな走り回っちゃって、
鈴木君と刑部君と僕で寝かしつけたんだけれども、3人とも我慢強くて怒らないでしょう。
とうとう、僕がLに怒ってしまったんですよ。
「ちばせんせいきらい」といいながら、Lはねむったんだけれども、今朝はけろっとしていて、ああ大丈夫だったと思って胸をなでおろしたんです。
野本君は、こどもは早く寝る習慣をつける必要がある。だから、彼は怒ってでも寝せようとしていると言っているけど、一理あるなあって思います。
子どもたちの興奮状態がなかなか静まらないんですね。
先月の目標を話し合ったときに、体力づくりをしようということになりましたね。
これが大切かなと思います。
砂場もできたことだし、晴れた日は思い切って子どもたちを外であそばせ、体力を使わせることがいま必要かなって感じたよ。」
「それから、子どもたちの言語の発達を促進するために、ごっこ遊びをひろげるおもちゃが欲しいね。

木の積み木と手で動かす汽車セットと小さな木の人形や動物たちがあるとそれが広がるので是非検討してみて欲しいな。」

 

200186()

千葉義行

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