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レポート9 第10回目の訪問 8月21日22日

1.
 8月21日6時30分に郡山の自宅を出発し、磐越道・常磐道経由でO養護施設に向かった。
 車には、白木の積み木が100ピースと、磁石でつながり手で動かす汽車セットと、幼稚園用の動物園セットが1セットずつ積んであった。

 10時にO養護施設へついた。

午前中は、フェルトを動物の形や汽車の形に切り出してスナップをつけた手作りおもちゃや、布に綿を詰めてボタンとループをつけたつくしんぼの手作りおもちゃや、七色の絹の布などで遊んだ。

つくしんぼでおやまやおいけやおさかなを見立てながら「あめふりくまのこ」を歌ってあげると、C(3才)が深く表現にかかわってきた。
上右から二番目の写真は、くまのこがお水をおててですくって飲んでいるいる場面をCが表現しているところである。
このとき、A(2才)もくまのぬいぐるみをだいてそばにいた。
F(4才)は、ぬいぐるみのいぬに絹の布で衣装を着せて遊んでいた。
FとCを先頭に子どもたちのお話作りの能力が発達してきていることが、私にとっては印象深かった。
2.
 昼食の後、GとBをつれて、うさぎさんを見に行った。
6羽いたうさぎは、体の大きかった2羽が死んで4羽になっていた。
お昼寝は、まだまだ大変である。
「おふねはぎっちらこ」や「せんぞうやまんぞう」で腰を回転したり、お腹をもんであげてから、両足首をつかんで足を持ち上げ、「ぶるぶるぶるぶる」とゆすると、子どもたちは大変喜んだ。

これを続けることにより、子どもたちの腸骨と仙骨の歪みや神経系統のつまりが解消され、行為障害や痛風やリュウマチが治療されるので、ぜひ一般家庭でも行うようになればいいなと、私は考えている。

3.
21日午後、
@おやつと食事の前に「おかたずけ」しもとあった位置にもどすこと。
A幼児さんのお部屋のものは、幼児さんのお部屋から外へは持ち出さないこと。
この二つをお約束してから、白木の積み木と、磁石でつながり手で動かす汽車セットと、幼稚園用の動物園セットを子どもたちに渡した。
子どもたちはすぐに遊び始めた。

 上左、中、集団ではなかなか一緒に遊ぶことのできないE(3才)が、集中して遊んでいる。
 
上右、G(4才)がすてきな形を作っている。それを見ているM(年中)の姿勢が立派である

上左、C(3才)が汽車を動かしている。それを見ているA(2才)は、Cの遊びに参加している。
上中、動物たちを並べてお店屋さんをしているM(年中)。A(2才)もMの遊びに参加している。
上右、もくもくと積み木をかさねるD(3才)、構造的で美しい作品である。
左、U(小1)、何度も高く積み上げることにトライしていた。
21日の午後は、ずっと幼児たちといっしょに遊んでいたが、前回の「折ずるらん」の絵に表れていたように、体が充実してきたことを深く感じる。

4.
 7時半に幼児たちを寝かせ始めたが、子どもたちが眠ったのは9時過ぎであった。

 「おふねはぎっちらこ」「せんぞうやまんぞう」「えんやらもものき」「おおきなたいこ」「あめふりくまのこ」「3びきのくまの素話」
職員に歌ってもらい体を触ってもらいながら、子どもたちはごろごろしつつ眠りのときを待つ。
まだまだ子どもたちの睡眠障害は治癒してはいない。
 しかし、職員の体に自分の体を擦り付けながら眠りにつく子どもたちの姿に、自分の意識を職員にゆだねている姿を見出すことができる。

 もう一息である。

5.
 22日朝6時30分から子どもたちが起きはじめた。
寝ぼけ眼の子どもの足をつかみ、「おふねはぎっちらこ」や「せんぞうやまんぞう」で腰を回転したり、お腹をもんであげてから、両足首をつかんで足を持ち上げ、「ぶるぶるぶるぶる」とゆする。

 
6.
 
10時からパネルシアターを行った。

私は、「こぶたのぼんくん」、「ぽんくんのともだち」、「ぽんくんなってみる」、の3っつのパネルシアターを作って持ってきていた。3っつとも増田裕子さんの作品である。

 こぶたのぽんくん かわいいぽんくん みんなのみんなの にんきもの
 こぶたのぽんくん たべるのだいすき なんでもかんでも たべますよ
 こぶたのぽんくん ねむるのだいすき いつでもどこでも ねられます
 こぶたのぽんくん うたうのだいすき おおきなこえで うたいます

 ともだちともだちってうれしいな いくつになってもともだちさ 
 ピョンピョンピョン ピョンピョンピョン ピョンピョンピョン ピョンピョンピョン
 ピョンピョンピョン ピョンピョンピョン ピョンピョンピョン ともだちさ  ヘイ!

 (ピョンピョン・ぴよぴよ・ヒヒヒン・メエメエ・モーモー・ブーブー)

にょろにょろへび にょろにょろへぴになってみよう  でもなんかへんだなあ?
 コケコケコケ コケコケにわとりになってみよう    でもなんかへんだなあ?
 ユラユラユラ ユラユラおはなになってみよう     でもなんかへんだなあ?
 ぶんぶんぶんぶんぶんぶん ぶんぶんぶんぶんかぶとになってみよう    でもなんかへんだなあ?
 リリリリリンリン リリリリでんわになってみよう   でもなんかへんだなあ?
 ニコニコニコ ニコニコぽんくんになってみよう    やっぱり なんかすごく いい!

 増田君のこの作品は、「自分の体をうれしいと感じ」、「おともだちといっしょにいることの楽しさを感じ」、「自分とお友達の違いを感じ」ようとしている、O養護施設の幼児たちの今の段階にぴったりであった。

 アンコールにこたえて、私は2回もパネルシアターを上演した。

 上演の後、子どもたちはPペーパーに描かれたキャラクターを自分でパネル布に張って遊んでいた。

 今回の訪問では、子どもたちが私と一対一で一緒にいる時間を長く持とうとしているのを感じた、Cは「おおきなたいこ」「あめふりくまのこ」、Bは「ねこのおいしゃさん」「クリスマスがやってくる」「さんびきのくま」、Dは「クリスマスがやってくる」「そらをみてたら」、Fは「クリスマスがやってくる」、が好きである。
EとGは、気が向いたときに私の歌と踊りを求めてくる。
左は、BとAをいっしょに抱いて「ねこのおいしゃさん」を歌っているときの写真である。
AはBが喜ぶと笑った。
Bが彼の体を震わせて喜ぶと、Aが笑うのである。
このとき、私に、彼女に難聴があるのではないかという疑問が浮かんだ。
2才になってもなかなか単語がでてこない、そして、なかなか表情が動かないA。
彼女の後ろから大きな声で呼びかけると、振り返るのだが……。 日常会話が聞き取りにくいのかもしれない
左は、BとAがひとしきり私に抱っこされていたときに、「私も(抱っこして)」といってきたので、私に「あとでね」と言われひとしきり泣いた後のDである。
BとAを降ろした後、Dを抱き上げたが、すぐ体をぺったりと寄せてきたので、そのまま「あめふりくまのこ」を歌って踊った。
7月以降、子どもたちがとても抱きやすくなった。
それまでは、抱っこしてもおんぶしても、体をそり返し、抱きにくかったのだが、職員が 「おんぶ」と「抱っこ」を取り組んだ成果が現れ、こどもたちは抱っこやおんぶをされると体を脱力して身を任せるようになってきた。

そして、子どもたちが私や職員の気持ちを味わって聴いているのを感じられるようになってきたのである。

2001826

千葉義行

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