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レポート6  第6回目の訪問 9月20日21日


感覚する喜び

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音楽

まめっちょ

まめっちょまめっちょ
いったまめぽりぽり
いんねえまめなまぐせ
すずめらもまわっから
おれらもまわりましょ

1.

 9月20日(金)10時半にO養護施設についた。
 
刑部君がいて、AとHがいた。
 Hは、私のところに遊びにくることが多くなった。
 Aの意識は急速にしっかりしてきている。
 前のように気分の変動と自分の意思へのこだわりが少なくなってきた。

 昼食の後のはみがき。
 はみがきをたのしめるということはいいことだ。

2.
おひるねをする。
眠りに着く前にフォルム治療をしようとしたが、やはり、Hはまだ体を預けてくれない。
Aを抱いているうちにAは眠った。
Hが寝付いたあと、Hのフォルム治療をした。

AとHの間で二人を触っているうちに、私は深く眠ってしまった。

3.

午後、庭からあかまんまをとってきて、子供たちと描いた。
「きいろをいっぱいいれて、あおをいっぱいいれて……
はっぱのいろになったかい」
茎の角度の変化している位置を指差しながら、
「ここまできてごらん」
次に、はっぱをしゅっと描くことを教える。
「あかをいっぱいいれて、きいろをいっぱいいれて、しろもいっぱいいれて……
おはなのいろになったかい」
「ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ……、 てんてんみたいなおはなをぽつぽつぽつぽつと描けば、おはなになるでしょ。」

M( 年長)は、私の手が触れていなくてもしっかりと描くことができている。

H(2才)

色が調和がとれており美しい。

「のびろのびろ」の上に向かう線、と「ぽつぽつぽつ」の点が、意識上でまだ不明瞭である。…知恵遅れをあらわしている。

A(3才)

美しく、しっかりしている。

あかまんまをよく感覚している。

B(年少)

楽しさ、喜びにあふれている。

喜びを意識すると、あかまんまの形姿が視えなくなってしまう。…前頭葉の微細障害からおこる知恵遅れをあらわす。

D(年中)

美しい。

葉っぱはしっかりと捉えられている。

茎の弱さは、リューマチ性の知恵遅れをわらわす

E(年中)

美しくしっかりしている。

形もよく捉えられている。

中央の渦巻きは、視床の微細障害からおこる意識障害を表している。

G(年中)

形を年齢なりに捉えようとしている。

自我による思考が見られる。

F(年中)

色と形が美しい。

あかまんまを描くことで癒されたのは、Fの感情である。

きみの感情はそのままでいい……

ただ、待つことだ

I(年長)

色と形が美しい。

葉っぱと茎と花弁が区別されていない。

脳梁の微細障害による知恵遅れをあらわす。

M(年長)

美しく、しっかりしている。

彼はこの絵をほとんど私の手が触れていない状態で描いた。

意識が急速にしっかりしてきている。

K(年長)

美しい。

茎と葉っぱと花の区別がついていない。

自我による思考が見られる。

O(一年生)

美しい。

いつもなら、描いた後で、茶色で塗りつぶしてしまうOが、これで満足した。

自分の感情を否定することがなくなったのか。そうであればうれしい。

のりこさん

ボランティアのひとりから絵を教えてくださいと頼まれた。

美しい。

もっと自分の感情を肯定できるようになると、茎がしっかりしてきます。

4.

金曜日の午後は、ボランティアがたくさんきていて、こどもたちが一対一で付き合ってもらえる。
だから、子どもたちの様子が静かである。

Dを抱っこしてフォルム治療を行っていたら、彼女は深く眠ってしまった。

5.

今回も、子どもたちの添い寝をした。
Bが眠たそうにごろごろしていたので添い寝をしていると、Kがそばに寝た。
Kは幼児組みでは一番大きかったので、これまで遠慮することが多かった。Kがそばにきたので私はうれしかった。
そのあと、子どもたちが集団で寝にきたが、Iが「ぼくちばせんせいとねたいんだ」とごねていた。
Iに添い寝したことはまだなかったのである。
こんどはIのそばでねてあげるよ。

9時には子どもたちが眠ってしまった。

刑部さんから相談を受けた。

「わたし、Hを泣かせてしまって……。
Hは、自分の思い通りにならないと意固地になるでしょう。
わたしは、ここでHにルールを教えなければならないと思って、Hを叱ってしまうんですが。
これはいけないことなんでしょうか……。
Hが泣くと、ほかの先生方が『どうしたの』と集まってきて……。」
「あなたがここでHを叱らなければならないと感じたら、それは、Hが『叱ってっ』て体でいってるからだよ。
だって、Hもひとあばれしたら、あなたに甘えてくるでしょう。
Hは、あなたを信頼して頼っているからですよ。

この信頼と頼ることが起きていない時点で叱ったら、そのこはなぜ叱られているか感情で納得できないから、恐怖とおびえと怒りが起こってしまうけれど、あなたとHとの関係では信頼と頼ることが起きているから、自信を持って叱るんだね。」

6.

21日朝、子どもたちは元気に起きた。
えんやらもものき
ももがなったらだれにやろ
Iくんにあげよか
Aちやんにあげよか
Dちゃんにあげよか


 

7.

朝食のあと、外で子供たちと遊んでいると、Gが、「きょうもおえかきしよう」という。
「きょうもおえかきしたいの?」
「うん」
しばらくして、Gは萩の枝を一本もってきた。
「うーん、これはすてきなえだだね。
これを描こうか……」

「うん」

A(3才)

うつくしい。

緑の葉っぱは、彼女の気持ちのよさを表し、花は、環境への肯定の感情を表している。

B(年少)

色が美しく調和している。

体の喜びを表している。

E(年中)

美しい。形も視えている。

緑の葉っぱは、気持ちのよさを表し、ピンクの花は環境への肯定の感情を表している。紫の花は、意識障害を表す。

G(年中)

美しい、形も視えている。

緑の葉っぱは、O養護施設への肯定の認識を表し、ピンクの花は、環境への肯定の感情を表している。

F(年中)

美しい。形も視えている。

緑の葉っぱは、彼女のお世話する感情を表し、ピンクの花は、気持ちのよさを表す。

I(年長)

美しい。

ピンクの花は、環境への肯定の認識を表している。

花びらが散らばってしまうのは、アレルギー体質をあらわす。

M(年長)

美しい。形も視えている。

緑の葉っぱに自我の影が見える。

S(一年生)

形が視えている。

緑の葉っぱは、環境を感覚し始めたことを表し、ピンクの花は環境への思考を表している。

N(一年生)

形が視えている。

緑の葉っぱは、他者をお世話してあげたい感情を表し、ピンクの花は、他者への〜在ってほしいと思う感情(鬱病)をあらわす。

O(一年生)

美しい。形も視えている。

緑の葉っぱは、自分への肯定の意識を表し、ピンクの花は、私との関係の記憶を表している。

V(2年生)

美しい。形も視えている。

緑の葉っぱは、気持ちのよさの認識を表し、ピンクの花は、環境への肯定の認識を表している。

   

8.

Bが動物園のミニ積み木で遊んでいた。
このミニ積み木と木の汽車セットと木の積み木を昨年この幼児たちに与えてみたが、なかなか遊びにならなかったのである。
子どもたちの大脳の意識の中では、いま彼らが命令して動かそうとするものを玩具として遊ぶことが多い。
または、テレビやおもちゃ屋や、ほかの人々の風俗として目と耳から入ってくるものに自分を合わせようとする。
そのために、ブロック遊びや、保育ブロックや、ジグゾーや、手足の動かない飾るためのぬいぐるみや、……
くちもとをぐっと引き締め、ひたいにしわをよせ、遊んでいたり、訓練を受けていたりする子供たちを見ることは、わたしにとって、悲しみであった。
おもちゃあそびとは、触る喜びであり、感覚する喜びである。
Bが動物と木のミニ積み木をならべている。
動物の顔を自分のほうに向けて。ちゃんとたてて。(動物を倒してならべるのは、眠るという表象か、死の表象であるかどちらかである。)

動物と木の並べかたが、調和していて美しい。

さよならあんころもち またきなこ

2002年10月15日

千葉 義行

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