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私は、K.570の演奏を内田光子さんの演奏で聴いたときに涙が止まりませんでした。

K.570とヴァイオリンソナタとフルートソナタの一部を除いて、ほとんどのモーツァルトの作品は、人間の、歪んだあこがれや、歪んだ意志を現しており、その実現を希求しています。

私は、その歪みが聴こえると、体がだるくなり嫌な気持ちになるのです。

これらのモーツァルトの作品の中で、クララ・ハスキルとグルーミォーの演奏したヴァイオリンソナタと内田光子さんの演奏したK.570は、モーッアルトの人生のかなたにあるモーッアルトの本来の役割を聴き出した、貴重な記録であると思うのです。

K.570第2楽章の冒頭の部分は、
a(1〜4小節)、
a(1〜4小節)繰り返し、
b(5〜8小節)、
a(9〜12小節)からなっています。

a(1〜4小節)は、自分の自分の意識界を造る触覚を現し、
a(1〜4小節)繰り返しは、自分の行為を現し、
b(5〜8小節)は、自分の意識の構造を現し、
a(9〜12小節)は、自分の意識をまとめる働き・視覚を現します。