Q&A NO.8
Q10.先週は私が少し多動のある子から目を離したときにその子が転んで怪我をしてしまい、私が悪かったと思うと落ち込んでしまい悩んでいます。
A.保育者はね、自分の出会った子供たちの心の歪みをを吸い取ってしまうんだ。
すぐれた保育者であればあるほど、自分の触れあう子供たちの気持ちを深く自分の意識に伝えます。
しかし、子供たちの気持ちを自分の意識に伝えるまでに、子供たちの気持ちの一部を強調してしまったり(神経症)、子供たちの気持ちを歪んでまとめてしまったり(鬱病、意識障害)してしまう現実からは、まだ離れられていないんだ。
だから、まだまだ、自分が不安になったり、落ち込んだりしてしまいます。
だから、自分一人だけでいると思わないでゆっくり自分の不安がなくなるのを待とう。
Tたんぽぽ
Internet Explorer 4.0以上のプラウザをお持ちの方は、再生ボタンの上をクリックしますと、MIDIの音楽が再生します。
1.年中、年少児の4,5月の時期に、園庭に咲くタンポポのわたげを手に取り、「フッ」と息を吹きかけてとばしながら歌ってみましょう。
2.遊び方
鬼を一人決めます。
みんな、一カ所に固まってしゃがみます。
おにが、みんなのあたまを順番に触っていきます。
たんぽぽ たんぽぽ むこう やまへ とんでけ
● ● ● ● ●● ●● ●● ●歌の最後にあたった子どもは、綿帽子になって別の場所へ飛んでいきます。
最後まで残ったこの歌が終わったら、みんなは一斉に逃げ、最後まで残った子がみんなを追いかけ、誰か一人をつかまえます。
つかまった子どもが、次のおにとなります。
年少でするときには、保育者が子供たちの頭を触り息を吹きかけ、その子が別のところへ飛んでいくだけでも喜んで遊べます。
息を「フッ」と吐くとね、子供たちが言葉をしゃべれるようになります。
だから、「言葉の治療室」等では息を吐く訓練を子供たちにさせるのですよ。
でも、「訓練」じゃないやり方がありますよね、この「タンポポ」を歌って遊ぶとか、シャボン玉をみんなでふいて飛ばすとか……自分に自身が持てなくなった先生も、この「タンポポ」を歌って、息を「フッ」と吐いてみましょう。
自分が楽に前に歩けるようになると思いませんか?
息を吐くことによって自分の前の空間が形成され、自分が前に進むことへの不安が少しとれるのです。
Uずくぼんじょ
Internet Explorer 4.0以上のプラウザをお持ちの方は、再生ボタンの上をクリックしますと、MIDIの音楽が再生します。
1.年中、年少児の4,5月の時期に、園庭に生えてきたツクシを手に取り、子供たちに見せます。
「ねえ、つくしさんになってみようか」
頭の上に三角におやまをつくってつくしになります。
「みんなちっちゃなつくしさんになろう。」(ちいさくしゃがみます)
「ずくぼんじょずくぼんじよずっきんかぶってでてこらさい」(歌を歌いながらすこしずつ大きくなります。)
「つくしさんのままであるこう」
「ずくぼんじょずくぼんじよずっきんかぶってでてこらさい」(歌を歌いながら歩き回ります。)2.みんなはわになって立っています。中をオニの子が歩きます。
オニの子は、 頭の上に三角におやまをつくってつくしになっています。
オニの子は交代しようと思うこの前で立ち止まり「さい!」でかるく両膝を曲げ交代の挨拶をしてオニをかわります。
頭の上に三角のおやまをつくりますと、オィリュトミーの構造から「完全」という言語が意識に響いてきます。
うずくまった姿勢から立ち上がりますと、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の脊椎系がのびのびと立ち上がり、本来の形の記憶が呼び起こされます。
すると、脊椎を様々に歪めていたコミュニケーション障害が消え、脊椎が本来の形に戻り始めます。人間の空間の意識には、上下、前後、左右の3っの軸があります。
このオィリュトミーのもう一つの目的は、空間の意識の上下の軸を造ることなのです。
空間の意識の上下の軸が育ちますと、自分の出会った他者を自分の場でもてなすことができるようになります。
「たろうのひっこし」村山桂子作福音館書店を考えてみましょう。
たろうは、最初自分のお部屋が欲しいと思いました。
でも、ねこのみーやが来ると、たろうとみーやのお部屋を造りたいと思いました。 ……
そして、さいごは、たろうと、みーやと、ちろーと、があこと、こっこと、まみちゃんと、…みんなのお部屋ができてしまったのでしたね。
人間が母親になるということは、出会った他者を自分の場でもてなし支え維持することができるようになるということなのです。不安になっている保育者は、自分一人だけで子供たちを支え維持しようとしているのではないかな?
子供たちが他の子供たちをささえることができるようになると、あなたはずっと楽になるでしょう。
また、あなたもまた、遠い昔から、主によって支えられ続けてきたのですよ。
Vひいやふうやきつねのおうち ウォルガ・カタリン
まず、詩を、声を出して読みます。
つぎに、声を出して詩を読みながら、自由歩行で、足のフォルムを取る練習をします。
つぎに、声を出して詩を読みながら、言語オィリュトミーの練習をします。
さらに、声を出して詩を読みながら、足のフォルムと言語オィリュトミーを合わせます。
ひいやふうや きつねのおうち 右回りの前の円 K
両手首を上に返すはらっぱに きつねのおうち 後ろへ向かう直線 O上
両手で頭の上に円を造るおうちのまえに きがいっぽん 右へ向かう直線 存在
左手は前に、右手は後ろにへそを挟むひいやふうや きつねのおうち 斜め左前へ向かう直線 U`
左手は前に伸ばし、右手は上に伸ばすなしのきいっぽん なしがいっぱい 斜め右後ろへ向かう直線 O上
両手で頭の上に円を造るりんごがいっぽん りんごがいっぱい 前へ向かう直線 Oi
左手は頭の上に半円、右手は斜め右上に伸ばすひいやふうや きつねのおうち 左へ向かう直線 G
両手を交差した形から斜め上に広げるなしもりんごも もうあまいかな 右へ向かう直線 M横
右手と左手を広げた形から交差させ、また広げるなしもりんごも うってくれるかな 後ろへ向かう直線 D左
左手で左肩を中心に左回りの円を描くひいやふうや きつねのおうち 斜め左前へ向かう直線 J右
右手を斜め右下から斜め左上まで移動させるなしもりんごも うってはくれない 右回りの後ろの円 関係
左手は前に伸ばし、右手は上に伸ばすこんこんぎつねが みんなとってしまう 左回りの前の円 N
両手でへその前の台をたたく感じひいやふうや きつねのおうち 左へ向かう直線 A
両手を斜め上に伸ばすなしとりんごで おうちはいっぱい 左へ向かう直線 Oe
左手は頭の上に半円、右手は斜め左下に伸ばこれは、先生が自分のために足でフォルムを描きながら、手で言語を取ってみてください。
このオィリュトミーをして、ぶきみさや怖さを感じない保育者はいないだろうと思います。
しかし、この詩は、ハンガリーや日本の保育所や幼稚園で使われてきた素材なのです。このオィリュトミーを繰り返し動いてから、「三匹の子豚」や「かちかちやま」のお話を子供たちにしてみましょう。
勇気を持って、「三匹の子豚」や「かちかちやま」のお話を子供たちにできましたか?
勇気を持ってこれらのお話ができるようになれば、「ひいやふうやきつねのおうち」も、勇気を持って子供たちに語れるようになるでしょう。日本やグリムの昔話を語るためには、その怖さを自分が知っていて、自分がその怖さを克服していなければなりません。
そうでなければ、子供たちと共倒れになってしまいますものね。「きつねのおうち」にあるものは、とっても食べてもいけないものなのです。
それは、人間の思考が作り出したコミュニケーション障害であるからです。
それを食べてしまうと、他者の心が分からなくなるからなのです。そして、自分が不幸になってしまうからなのです。
でも、人間は「知恵の木の実」・「きつねのおうち」にあるりんごとなしを食べてしまいました。でもね、人間の体の方は、そのままでいいように生きているのですよ。
他者がだめだとか、自分がだめだとか、世間がだめだとか思うのは、「きつね」や「おおかみ」の意識の方で、
私たち人間本体の意識の方は、まだちゃんと私たちの脳の意識になっていないからなのです。保育者が自分の本との意識を信じることができるようになりましたら、子供たちを襲う不安を意識できますし、自分を襲う不安も耐えることができますでしょう……
すると、不安に押しつぶされそうになる子供たちを支えることができるようになるのですよ。このことが、登校拒否を起こしている子供たちや、叩いたり噛みついたりする子供たちや、自分の人生に絶望してしまった京都や神戸や新潟や17才の子供たちや文京区の主婦やオーム真理教の麻原や……を支え続ける人類の意志なのです。
2000年5月17日