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『三人とも――、揃ったようだな。今回はお前たち三人で仕事にあたってもらう』

副館長の言葉が災いの始まりだった。
二度と奴と会うことはない――そう思っていたのに。


―― 東京魔人学園剣風帖 第弐拾話 壬生 紅葉 ――


新宿の中でも、更に治安の悪い歌舞伎町にて、似合わない数人を見かけた。
無視しようかとも思ったが、一応声を掛けてみる。

「相変わらずに阿呆だね」

奴は聞こえない振りをして通り過ぎようとするので、顔面に向かって加減をせずに蹴りを入れる。


「なぜ蹴る?」

仰け反って躱し、そのままの姿勢で睨み付けてくる。
残念ながら、その状態では威厳がないよ。


「ちょうどいい、壬生もこれから特に用がなけりゃ、付き合ってくれねェか? お前らふたりの動体視力があれば、あの野郎だって、サマはできねェはずだ」

用ならばある。仕事が終わったからには、報告に行かなければならない。
だが、何か胸騒ぎがする。

「まあ、報告も済んでいることだし、ついていくのは良いけどね」

嘘を付いてまで、彼らと共に行った理由は分からない。
ただ、どうしても気に掛かったとしか、言いようが無い。

イカサマを仕掛けてきたらしき人物との邂逅も、そう手間が掛かることもなかった。

それなのに、どうにも胸騒ぎが消えない。だから、翌日にもついていった。


が、特に何も起きなかった。
ただ安倍の流れを汲む陰陽師に、今の状況を説明されて、それに敵対する道満系列の陰陽師に襲われて、返り討ちにした――それだけのことだった。

この後も、醍醐君の師にあたる人に、龍の出生の秘密を聞きに行くとのことだったが、既に熟知していることを長々と聞く趣味もないので、帰ることにした。
どうせ彼の父の死について、詫びだのなんだのと辛気臭い話になるのだろうし。


夜中に目が覚める。
その原因は携帯の呼出音。常識の欠片も無い時間、午前2時13分に携帯……。
緋勇 龍麻――との表示が腹立たしい。

「こんな時間に何の用だい? 非常識人」
『明日、デートをしよう』
「舌をかんで死ぬといい」

そう言って、切った。
着信拒否にしようと思ったが、それより先に、再びかかってきた。

「月夜の晩ばかりだと思うなよ」
『頼むよ、少しマジなんだ』

頼むという言葉を、こいつから初めて言われたので驚いた。
仕方ないので了承する。いつか使えるかもしれない事だ。


「わかったよ。どこで?」
『図書館。ところでお前、パソコン持ってるよな』
「ああ、あるけど」


時間通りに現われた龍は、記憶媒体を差し出して言った。

「仲間達の能力とか、長所短所だ。失礼な話だがな」
「それをどうして僕に?」
「夢を見た。血だまりに倒れる俺のな」

それがどうしたというんだ?
だって

「夢……だろう?」
「残念ながら、事件が始まってから、過去・現在・未来を夢で見ている。過去視・遠視・予知なんでもこいって感じで、何の誇張も無い正確なものを。惜しむらくはランダム発生ってとこなんだが」

内容の重要さを理解していないのか、死についての概念が麻痺しているのか軽く言う。
まるで他人事のように、冷静に客観的に話している。

「死ぬのか、重傷なのか判らんが、その時全体にパニックになられるよりは、知っておいてもらった方がいいだろう。指示できる者が居た方がいいしな。性格から言えば、お前・翡翠・雛乃・御門あたりなんだが、多分闘い方の違いが顕われると思うんだよ。剣・弓・術の人とじゃ」


確かに納得のいく話ではある。
己の死のことを話しているという不気味さを除けば。

「それで僕ってわけか」
「そう、能力なんかは書いてあるからさ、ゆっくり考えてくれ」

本当に冗談ではないのだろう。龍は、珍しく真剣な顔のまま、淡々と言った。


「その日は、詳しく分かっているのかい? それに人選は、どうするんだい?」

おそらくは今週末に、中央公園に父の昔の仲間に会いに行く時のことだから……と、時期を推察しながら考え込む。

「基本は真神の四人だろ? あとは、生きているとしたら回復が欲しいから、舞子はどうしよう? 回復を持った攻撃系のほうがいいか」
「お前をやったら即帰るなら、彼女でもいいけれど、おそらく違うだろう。兼ねている人の方がいいんじゃないか」

彼女の力は、回復に特化し過ぎている。何しろ攻撃手段が、本来の癒しの聖女ともいうべき美里さんよりも乏しいのだから。

「んじゃ、翡翠とお前と御門と村雨と……あとはパニックにならないから雛乃か、バランスもそう悪くないよな」


それにしても、評価をデータ化……。何人かは怒りそうだ。

パソコンに電源を入れ、データを開く。
わざわざ、HTMLにしてあった。

開いてみると、ランクまで付けている。

戦闘上
S:万能型と属性型にわかれる。
属性型は、反属性の敵は一撃で葬る事が期待でき、同属性には盾としても使える。
A:無属性が多く、コンスタントなダメージが期待できる。
B:Aより、やや弱点が存在する。
C:戦闘に向かない。


……この分類だと、僕はAかな?

S:万能―緋勇・御門・村雨 属性―雨紋・如月・マリィ
A:蓬莱寺・醍醐・桜井・紫暮・アラン・劉・壬生
B:藤咲・裏密・雪乃・雛乃・霧島・芙蓉
C:美里・高見沢・紅井・黒崎・本郷・舞園



あたり
で、精神は?

精神の安定性
SS:パニックに陥る事は無い。加えて指揮も可能。
S:パニックに陥る事は、ほぼ無い。
A:Sに近いが、特定の人物・仲間の負傷などに弱い。
B:上記に加えて信念等を揺さぶられると弱い。
C:精神攻撃に非常に弱い。

SS:緋勇・雛乃・壬生・御門・如月
S:高見沢・裏密・紫暮・村雨・芙蓉
A:蓬莱寺・藤咲・アラン・劉
B:美里・醍醐・雨紋・雪乃・マリィ・舞園
C:桜井・紅井・黒崎・本郷・霧島

……あいつ、自分は、両方最高ランクなんだな。


名前の所にリンクが張ってあるということは、個別にも書かれているのかな?
どうも自分とかを見たくなる。

壬生 紅葉
戦闘 A
攻守に優れ、素早さ・精神力も高いため、ある程度の単独行動が可能。
但し、回復技・見切りが無いため、
単身では、敵陣に突っ込ませないように注意。

精神 SS
安定性が非常に高く、戦闘に限らず冷静な判断が可能。
性格と根性が悪いというか――ひねくれているというか――捻じ曲がってるが。

……最後の一文が要らないよ。というよりも、奴にだけは言われたくない。
これは、誉められていると思っていいのかな。一応。

それにしても、やたらと詳しい。全体の評に加え、技やクセ、弱点なども丁寧に書いてある。仲間になって一日しか経っていないはずの御門さんたちのことさえも、そこそこ書いてある。



CとSはわかるけど、AとBの境目が不思議だ。
とりあえず、何人か見るか。


蓬莱寺 京一
戦闘 A
攻守に優れ、技の属性もややあるが、精神力が
低めであるため、精神攻撃等が怖い。
回復が無いので癒し役から離し過ぎないように。

精神 A
意外に頭が切れ、冷静な判断も可能。
但し、仲間の安否・負傷等が致命的に弱点となる。
また、自分を犠牲にしても、他を救おうとする傾向がある。



霧島 諸羽
戦闘 B
系統は蓬莱寺に近いが、防御力の無さが難点。攻撃力も低め。
ゆえに、回復・補助技もあるとはいえ単独行動は難しい。
方陣技が、充実しているのは利点。

精神 C
いわゆる甘チャンであり、元人間もしくは人間にあてるのは厳禁。
少々の事にも論破されやすいので、注意が必要。
蓬莱寺の近くで行動させるのが安全。


容赦無いな。
他のBの、藤咲さんとかは……


藤咲 亜里沙
戦闘 B
状態変化を多く有し、意外に攻撃力も高いが、
攻撃範囲が狭く射程も短い。
方陣技が極めて少ないのが難点。

精神 A
度胸が良く、気が強いので怯えることは、まず無い。
が、基本的には優しく、過去の事もあるので、
操られた人間などが相手のときは避けた方が無難。



織部 雛乃
戦闘 B
小蒔と似ているが、やや非力な事と攻撃範囲が狭めなのが難点。
ただし、雪乃と共にいる場合は、二人ともAと考えられる。
力そのものが増える事と、連携・精神の繋がりなどがその理由。

精神 SS
完璧。戦闘のみならず、戦局そのものを任す事も可能。


……なるほど、難点の重要度により決まるわけだ。
思っていたよりも、複雑かもしれない。色々のパターンを検討しておいた方がよさそうだ。

それにしても、最後の行の顔文字

ジャア ヨロシク ъ( ゜ー^)

が、なにか馬鹿にされているようで、腹が立つのだが。


携帯で呼び出されて、新宿中央公園へと向かう。
今日がおそらく『その日』だと言っていたくせに、まるっきり、平静通りの態度で迎えられた。



方陣に入り、護人たる吸血鬼を滅し、彼の父の仲間であった破戒僧に会う。
予想通りの語り――龍穴・黄龍の器・凶星の者等の既知の説明を、欠伸をかみ殺しながら真剣な表情で聞いている振りをする。ふと御門さんと如月さんも、同種の顔をしていることに気付いた。
彼らにしてみれば、更に耳にタコの話だろうに――同情してしまう。



「なッ、何だッ!?」
「地震――!?」

話が終わり、老人が忠告めいたことを口にした瞬間、地響きが襲ってきた。

「方陣が破られたな。どうやら……客が来たようだ」


結界を破り、侵入してきた鬼を倒し終わって落ちついたのか、劉くんが、龍との関わりを話し出した。
今まで黙っていたことを詫びる劉くんに、龍は気にすることなどないと、笑いかける。

すると劉くんが、じわりと涙ぐんだ。
龍の言葉に……感動したようだ。騙されてはいけないのに。……彼に未来はないね。


話が核心に近付くにつれて、龍の表情に緊張が走る。
おそらくこれからが問題なのだろう。


「そいつの名は――、柳生――、柳生 宗崇」


まるで、その言葉を合図としたかのように、龍の姿が消えた。

「アニキ!?」
「信じられません、他者の結界の中で、自分の結界に引きずり込むなんて…」

劉くんと御門さんが、同時に符を取り出す。
彼らとて、柳生の力場を破るのは難しいだろう。それに、癒しを持つ人間に、先に力を使いきられては困る。


「力を使わないで下さい! あれは、絶対に自力で破りますから」



ほんの数分だっただろうか。

再び空間が歪み、倒れ伏す龍と、膝を突き苦しげな息を吐く男が現れる。
龍の身体の下から、じわじわと血が広がっていく。あの出血量――確かに危険だ。うつ伏せになって、なおあれだけの流出があるということは、普通だったら止血できない。


「ひーちゃん!! てめェよくも!!」
「アニキ!!」

ふたりが闇雲に駆け出そうとする。
予想は正解だよ、龍。見事なほどにパニックだ。

「落ちつけ、京一! 弦月!!」

反射的に、彼らがこちらを振り向くので、立て続けに指示を出す。
普通だったら、助けられない。だが、これだけのメンバーが揃っているんだ。即死でなければ、どうにでもなるはず。


「如月さん、血も水です。玄武の力による血の流失防止と、応急手当ての血止めを。美里さん、御門さん、治療に専念。劉君、治癒と解毒を同時に。村雨さんは、治癒しつつ攻撃も。桜井さん、雛乃さんは雑魚を頼む」

流石は精神Sランク以上の面々。彼らは皆、頷くとそれぞれ的確に動く。




「蓬莱寺くん、醍醐くん……奴を」
「おお、白虎変!!」
「どけぇえええ!! 天地無双!!!」

柳生の元に走りよる。
見た所、奴の方も結構なダメージを負っているようだ。三人がかりならば、倒せるいい機会かもしれない。



「さすがに分が悪いか……またも優秀な紫龍がついているな」

こちらが届く前に、偉そうに呟くと、鬼を残したまま消えた。
一緒に連れていけばいいものを。うじゃうじゃと邪魔だな……。


鬼たちを一気に消去するのに手っ取り早いのは、範囲が広く、強力な――

――陽の技。


今ならば可能なはずだ。龍の力が流れてきている。そして、型も知っている。知識の上でも……おまけに、喰らったから。


「秘拳・黄龍」


自分で行っておいてなんだが、本当に強力な技だな。
もとより高い防御力を、更に強化されている筈の特製品が、一撃で消滅するとは。
……それを半身相手に使うか。

「壬生、お前一体……?」
「説明は後で。それより救急車を」

と、いいかけた時には、既に御門さんが、脅しながら呼んでいた。


「ええ、私は御門の当主です。新宿中央公園から、一番近い救急車を寄越して下さい。
行き先は、桜ヶ丘病院ですので道順を頭に入れておくように。くれぐれも他言無用に願いますよ」

さすがだ。


「龍麻ッ」

悲壮な声に振り返ると、美里さんが、蒼白となった龍に、何度もキスをしていた。
この非常時に、何をいちゃついているのかと訝しんでしまったが、全く違う次元の話のようだ。あの御門さんが、辛そうに言う。

「美里さん、血も止まりましたし、もう止めた方が良いですよ。輸魂の法が――魂を与えることが、どれほど術者の負担になるか、知らぬ貴女ではないでしょう?」
「でも……龍麻と約束したんです。共に生き残ろうって。私も、――龍麻を護るって!!」


涙を溢し叫ぶ彼女に、皆が黙り込む。
しばらくして、如月さんが進み出て、彼女の前で屈む。座り込んで龍を抱えている彼女と、目線を合わせてゆっくりと言い聞かせるように口を開く。

「『共に生き残ろう』と言ったのだろう。このままでは、君の方が保たない。龍麻は落ち着いたから、安心したまえ」


手術中のランプが点く廊下で、仲間全員が集まっていた。
少しでも癒しの力を持つものは、手術室内で、力を貸していた。

誰も口をきかない。
痛いほどの沈黙の中で、蓬莱寺君が、悔しげに壁を殴った。


「京一……やめろ、手を痛めるぞ」
「何もしてやれねェ……あいつらみたいに癒すことも、如月みたいに、血を止める事も、みんなみたいに血を分けてやることも。壬生みたいに、場を切りぬける事もできやしねェ……何が親友だよ」
「京一……そんなこと言わないでよ……」


扉の開く音に、全員が視線を向ける。
先生の補助に行っていた人達の中から、美里さんと高見沢さんを除いた人達が、そこから出てきた。

代表するように、御門さんが説明する。

「私達にできる事は、終わりました。あとは癒しの専門家の手によらないと。……大丈夫ですよ。見たところ大分安定していました」

彼が言うのだから、気休めではないのだろう。命の危機は、一応とはいえ、脱したはずだ。



「じゃあ、僕は居ても仕方が無いから帰るよ」
「壬生クンッ!! そんな言い方って」

帰ろうとすると、間髪入れずに責められる。
予想はしていたが……理由はあるんだよ。

「てめェ、それでも……なんだよ如月!」


つめよってきた単細胞代表の肩を、如月さんが抑える。
彼は冷静な口調で、訊ねてきた。

「壬生、先ほどの秘拳黄龍といい……君、ひょっとしなくても、龍麻の力が流れこんできているんじゃないのかい?」

答える前に、御門さんが一歩前に出て、僕に手をかざしながら目を瞑る。

「どうやらそのようですね。陰陽が同居しています」


「分かっているのなら、帰らせて頂けませんか? このままでは、龍の生命力まで奪いかねない」
「あなたの事を心配しているのですよ。あれほどの力をひとりで受けて、平気な訳がないでしょう。……気付いていないのですか? 顔色も酷いですよ」

そのとき、手術中のランプが消えた。
場にいた全員が、ドアを注視する。


「がたがたと煩いよ。……手術は成功した。あとは、あいつの生命力しだいだ」

疲弊した美里さんと高見沢さんを脇に抱えて、院長先生が出てくる。
皆に安堵が走るのを眺めたあと、こちらを見ておもむろに言った。


「そっちのお前も入院だね」

僕のことのようだ。



「岩山先生……僕は紫龍です。今の状態の龍の側に居たら、どうなるかはお分かりでしょう?」
「何の為に、封龍の小僧と草薙の巫女たちがいると思ってるんだい。暴走する龍の封じだったら、お手のものだろう」

三人が、同時に頷く。
雛乃さんが、しっかりとした声で続けた。

「織部の名にかけて、あなたをお守りします。龍麻さんの命の恩人であり、私達の大切な仲間である壬生様を」


夜には、大分落ちついてきた。
封龍の効果に加えて、龍の様態の安定もあるのだろう。


隣に眠る、運命の一対とやらの普段から色素の薄い肌は、蒼白になっていた。
乱れている前髪を、普段の通りに分けてやる。


ほぼ全てがどうでもいい自分にとって、意味を持つ数少ない存在。
誰よりも苦手で、誰よりも嫌いな者。

まさに『死んだように』眠る彼に、恐怖を覚えて思わず語りかけていた。


「僕は嫌だよ。お前みたいな極悪人の代わりになるのも」


天に定められた宿星。陽を護り、それが消失した時には、替わりとなる陰の龍――紫龍。
それが、自分に与えられた役割だとしても。



初めて会ったのは、いつだったろうか。
確か館長に、紹介されたのだった。

『お前の一対の存在だよ、紅葉』

同じ年頃の、色素の薄い少年は、年齢に似合わず丁寧に礼をした。
けれど、持った印象は――ウマが合わない。一目見たその時に、そう思った。
向こうも同様だったのか、誰にでも一様に同じ――優しく礼儀正しい態度を、自分と館長にだけはとらなかった。

だから、出会ったときから、ずっとずっと嫌いだったはずだ。


なにもかも完全すぎて。
溢れる光の中にありながら、それになんの興味も示さなくて。

何でも持っているのに、なにも必要としていない者。

人当たりが良くて一見優しくて……、大抵の人間の事をなんとも思っていなくて。
優しく微笑んだまま相手を殺せる、冷徹で尊大な者。




「あんなわがままで、善良な連中を率いて闘うのも御免だ」

心から彼を心配して、本当に『誰かを護りたくて』闘う優しき人たち。
彼らは、ごく一部を除いて、気付いていない。龍の本性など。


「だから――――」

するっと出てきた一言に、自分で赤面してしまった。

何を言っているんだろう、寝ている人間に対して。
我に返ると、急に恥ずかしくなってきた。

さっさと布団に入り、目を瞑る。
龍に引きずられて力が暴走しかけたせいか、疲れていたんだろう。睡魔は急速に襲ってきた。




夢現に、龍の声を聞いた気がして、少し安心した。

きっと夢だろうけれど。
あいつがそんな事を言う筈が無いのだから。


「あのさ……ありがとう、お前のおかげで助かったよ」

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