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―― 或る野球凶の唱 ――

京:「やったぜ、松井ホームランッ!! やっぱ、巨人はいーよな。
   ……そういや、ひーちゃんは、何処が好きなんだ?」
龍:「横浜」
京:「横浜ぁ? なんであんな地味なトコがいーんだよ。もう佐々木だっていないんだぜ。
   タイショーも阪神だし。わかんねェな」

醍:「何とでも言え……かまわん。関東の阪神ファンは、迫害される事に慣れている」
京:「けッ」
龍:「……京一、あるところに、盆栽が趣味のおじいさんが、何人かいます」
京:「あ? 急に、何の話だよ」

龍:「一人のおじいさんは、お金があまり無く、一所懸命色々知恵を絞って世話をしています。
   あるおじいさんもあまりお金がありません。
   だから、苗木の頃から、丹精こめて、大きくしています。
   もう何本かは、あんなに小さかったのに随分と大きくなりました」
京・醍:「「……」」

龍:「そして、あるおじいさんは、欲しがりやさんです。
   ほかのおじいさんが、大きくした盆栽を、大金を叩きつけて買ったり、
   お店でとても大きく育った盆栽を、やっぱり大金で集めています。
   だから、素晴らしいコレクションを持っています。
   でも、小さい苗木は見向きもしません。
   せっかく、人から買った、結構見事な盆栽も、もっと良い物が手に入ると
   飽きてしまい、ほっぽりぱなしです」
京・醍:「「……」」


龍:「さあ、あなたは、どのおじいさんが好きですか?」

京:「………すっげえイヤミだな」
龍:「だって、正直言って、俺、あそこの何が良いんだかわからん。
   ちゃんと育てるから、俺は横浜が好きなんだよ。
   石井さんわかる? 名手で、よく盗塁王とる人」

京:「ああ、石井タクロー」
龍:「あの人元投手なんだよ。野手に転向して、あんなに目が出た。
   首位打者とってた、タカノリだって、高卒で何年も2軍で頑張ってあーなった。
   で、今イキナリ首位打者になった金城も、元投手。
   それが努力してスイッチヒッターになって、大成功。そういうところが好き」
京:「で、でもよ、あの強いところがいーんじゃねェか」

龍:「ふん。その【強さ】が何に裏付けられているのかが問題だな。
   まあ、一言で表すと、金なんだが、それを認めない所も嫌いだ。
   ニ岡なんか、殆ど広島入りが決まっていたのに、いきなり逆指名。
   おまけに小さい頃から巨人ファンでしたぁ〜?
   はッ、嘘つけよ。広島出身で、近畿の大学にいたのに。
   【当然でしょう、倍はもらえるんですよ】とか言うなら、逆に格好良いのに」

京:「ひーちゃん……そこまで言うか?」
龍:「俺は事実は知らんよ。あそこのファンじゃないんだ。
   ただ、そういう印象を受けるし、そう思う。
   もう優勝決まりだから、一軍選手全員シドニー行ってくればいいんだよ。
   で、2軍が消化試合をやる、と。
   野村監督がそう言ってたそうだけど、心より同感」

京:「ひでェ、酷すぎる」
醍:「そうだな。そうすれば、阪神も……それにしても、今年もビリなのか」
龍:「う〜ん、今年はヤクルトもいいカンジだから微妙だな。
   ……ヤクルト格好いいよな。今年は優勝狙えるからって、
   古田の派遣を拒否したら、今、あんなだもんな。
   現場に反対されて派遣を諦めた球団社長、ザマアミロと、思ってんじゃないか?」
醍:「今からでも、派遣しろという声が上がっているらしいな」


『巨人勝ちましたッ!! マジック点灯ッ!!!』


「「「・・・・・・・・・」」」

龍:「おや、おめでとう京一。今日は床で寝たまえ」
醍:「同感だ。枕も無しだな」
京:「何でだよッ!」

龍・醍:「「巨人ファンだからだ!!」」