万国共通。おやじはやきとり屋の煙にかなわない。
  パールの首都カトマンドゥのダウンタウン(カトマンドゥはどこを見ても下町といった風情だが)

を夕方歩いていると、美味そうな匂いの煙をストリートにまき散らしている店に出会う。

なんだなんだとつられて店を覗くと、店の前で炭火をおこして何やら美味そうなものを串に刺して焼いている。

薄汚れて暗い店内を見るとたくさんの目がこちらを見ている。

手前のテーブルについている男が入れ入れと手招きをしている。

入っていってだんだん目が暗さに慣れてくると、居るわ居るわ、

頭にトピー(ネパール帽子)をかぶった親父たちが、土間の上に所狭しと置かれた不揃いのテーブルについて、

グラスを片手に上機嫌である。

傾いた柱にもたれて座っている男が、自分のついているテーブルの席が空いていることを教えてくれる。

そこへ行って座ると、がたがたした椅子は今にも壊れてしまいそうだ。

“タパイ ジャパニ ホ?(おまえは日本人か?)”

“ホ.マ ジャパニ ホ.(はい。日本人です。)”

“タパイン コ ナーム ケホ?(おまえの名前は何?)”

“メロナーム ヒロ ホ.(私の名前はヒロです。)”

一頻りの質問を周りにいる親父達も聞き入っている。

質問している親父に、なんだかんだと横からちゃちゃを入れてくる奴がいる。どっと笑いが起る。

そのうち、そんなことよりそいつに何か飲ませてやれ、と言う奴が出てくる。

そうこなくっちゃ..。
 こういうネパールの安飲み屋は大抵店に名前がついていない。

目印は店の前にネパール語で書かれた“モモ”とか、“シェクワ”という料理の名前を書いた看板。

もしくは店の前に濛々とたちこめている炭火の美味そうな匂いである。



 ここで食べるものは、シェクワというやきとり。これはチキンだけでなく、やぎや水牛などもある。

あと、魚の串焼き、モモという蒸しシュウマイ、モモを焼いたり揚げたりしたコテイというものもある。
 
そして、ウシネコやギディーという名前のスペシャル料理がある。

この、ウシネコやギディーは普通のレストランや食堂では食べることが出来ない。

ウシネコはやぎの頭部を皮ごとぶつ切りにして圧力鍋で柔らかくボイルして冷ましたものである。

これを塩とチリ、ジラというスパイスをつけて食べる。

ギディーはやぎの脳みそと野菜をスパイスで炒めたものである。これがなかなかの絶品である。

こういった料理は親父たちが集まってくるここだけでしか食べられない。

飲み物は、ビールなどもあるにはあるが、ネパールの庶民の間では高価な飲み物なので通常飲まない。

みんなはチャン(どぶろく)やロキシー(焼酎)を飲んでいる。



 親父たちと一緒に飲み食いしている間にも、次から次へと別の親父がシェクワの煙に誘われて、

店に入ってきてはどこかに居場所を見つけて収まってゆく。

世界中(ムスリムの国ではありえないかも知れないが)どこにいても親父たちはこの煙に抵抗できず、

導かれるままにふらふらっと店に入ってゆくのだろう。


今夜もきっと..。 

ククラ・コ・シェクワ(ネパール風ヤキトリ)
材料(4人分)
チキン(もも肉)・【1kg】
チリパウダー・【小さじ2】
ターメリック・【小さじ2】
クミンパウダー・【小さじ2】
コリアンダパウダー・【小さじ3】
塩・【小さじ1】
しょうゆ・【小さじ2】
にんにく・摩り下ろし・【4かけ】
しょうが・摩り下ろし・【4cm】
サラダオイル・【大さじ2】
ギュー・(バターを精製したもの、無ければバターを溶かしたもの)・【少々】
チャットマサラ(*注)・【少々】


作り方
@.チキンを一口サイズに切る。

A.ギューとチャットマサラ以外の材料とチキンを混ぜ合わせ、常温で20分寝かせておく。

B.Aを串に刺し、時々溶かしたギューを刷毛で塗りながらヤキトリの要領で焼く。(炭火が望ましい)

C.焼きあがったら皿に盛ってチャットマサラをふりかけ出す。

*注 【チャットマサラ】
 インドやネパールで使われる、クミン、コリアンダー、アジョアン、ブラックペッパー、チリ、塩などのブレンドスパイス、焼き物や揚げ物に塩コショウの要領でひとふり。市販品も販売されていますが、それぞれコックによって自慢のチャットマサラの調合があります。もちろんGANESHのチャットマサラも企業秘密!なければ、塩コショウで代用してください。 


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