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Bow Rehairing U 弓の毛替え U  (変則バージョン) HOME


標準の弓のつくりでは、フロッグが黒檀製ですが、そうではなくプラスチック製のものがあったりすると、
毛束の留め方もクサビではなく、木ビスだったりします。 

そうした例を写真で撮りましたからアップしますが、ついでに毛束の端末処理方法も何例か撮りましたから発表します。

まずは毛束の処理から・・・

当初、しっかりと縛るためには麻糸やテントに使うミシン糸がベターというような書き方をしていたが、その後の体験を踏まえ、
最近ではもっぱら60番のポリエステル・スパンの、ミシン糸を使用。

糸が太いと、何周か回してから縛るので、その結び目が太くなり、
先端部分などの端末処置の際、太すぎて邪魔になることもある。

その点、ミシン糸だと何周か回しても、それほど太くはならず、
その分、しっかりと固定することができる。
毛束の端末処理
端末を瞬間接着剤で固定

瞬間接着剤は、縛り目の中まで浸みていくように、
よくしみ込ませるようにしてつける。

接着剤がしっかりとしみ込んだら、ご覧のように、
少し色が変わって見えています。

これくらいにしみ込んでいると、抜け毛が少なくて済みます。
縛った糸の、ギリギリでカット
昔ながらの処理=松ヤニの粉で固定 馬毛は、結んだ糸の付け根でカットし、松ヤニの粉末を毛束の中まで よくすりつけるようにしてつけ、アルコールランプやライターであぶって溶かし、しっかりとしみ込ませ.る。

火であぶって、先の松ヤニが溶けたまま、さらに松ヤニの粉末につけると、
す早く、所定量のヤニがつくようになる。

これを、二、三度繰り返し、写真・右下のように固める。

ある程度の大きさになると、穴に納め、クサビで固定した際、
ヤニの接着作用と摩擦係数の大きさで、しっかりと固定されるようになる。

その松ヤニの粉末は、割れたりして細切れになったロジンを再利用。

この写真では、小さなジャム瓶に入れて管理しているけど、
使うときにはそのキャップに粉を小分けして、使っている。
毛の分量を量る手製のゲージ。
ヴァイオリンの穴は3.0mm、ヴィオラは3.2mm、チェロは3.5mm、
コントラバスは4.0mmにプラスアルファして使います。

真ん中の、先端が赤いのは熱可塑性の接着剤で固定されたもの。
(熱可塑性とは、熱によって溶けたり、固まるもの)
毛束の、毛の分量と、端末処理の実例
フロッグの分解・処理

この三本の弓は、いずれもカーボンファイバー製(炭素繊維)

から、フロッグもスライド・カバーもプラスチック製。

写真のように、これは木のクサビではなく、マイナスの木ビスで固定されていた。
そのためか、端末処理も熱可塑性の接着剤
(赤い部分)で固定されていた。
先のチップも、プラスチック製のキャップで固定
端のチップもプラスチック製、

だから、その取り外しもマイナスドライバーをバールのようにして緩めた。
半月リングをカバー付きのプライヤーでゆるめ、外す。 スライドカバーの抜く。
残った毛束を倒し、クサビの状況を確認。その状態により、 ここでは、マイナスのドライバーの先を研いでつくったコテを差し込む。
毛替え台ひとつにも工夫
クサビを抜くところ。 これで、バラしは完了。
安物のフロッグは、黒檀ではなく白木の黒塗り!  
小生、青年期のサラリーマン時代には、大手電機メーカーの資材課のバイヤー。

製品を安くするためには、まずコスト(資材費)を下げるわけだが、
フロッグなんかは、家の柱、一本を取り替えようという規模ではない。
たったこれだけの、ごくごく小さな部品。

その直接材料費を比べたら、カエデ材と端材と黒檀や紫檀とでは、
大してコストの差はないはず。
しかも、シェル・アイやシェル・カバー、半月・リングなどは、
普通のものと変わらない、結構、しっかりしたものが付いている。

メインの資材費をほんの少々ケチって品格を落としているわけだし、
それまでしないと儲けが出ないということならば、
それはもう、基本的な会社経営の失陥といわざるを得ない。

これが、日本の大手量産メーカーであるから嘆かわしい。
そんな会社の社長に限って、よくゴルフには行くし、外車に乗っていたりするわけだ。
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