Making Maggini_model 2
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マッジーニ・モデルの製作 2. HOME
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このモデルの製作も、補助用具としての「削り台」もできたので、いよいよ、作業も佳境に入ったといえる。

  ご注意!  いちばん下に、表板を削る様子を動画で入れましたから、
セキュリティ設定の関係で『アクティブXのコントロールをブロックする』とか、
『コンピューターに問題を起こす可能性・・・』のような警告が出ますが、
ただのメディア・プレアーを起動させ、動画を撮すだけですから、どうぞ安心してご覧下さい。


削り台にセットし、しっかり削る
削り台のラワンは、きたない棚板の端材でしたから、ご覧のような黒っぽいニスで塗りました。(元々、だいぶ黒いところがありましたからね。)

まず、切り抜いてあった裏板をこの削り台にセットし、大きな半丸のノミとカンナでシャキシャキと荒削り。

周囲の小口には、ケガキで4.5mm程度の厚さのところに切り込みの筋を入れ、それを基準に、ぐるりと10mmほどの水平部分を残して、こちらはサクサクと削りました。

それから、さらに縦方向のアーチングはグァルネリ・モデルのアーチング・ゲージを使い、だいたい合わせたところで、、いったんスクレーパーでならしましたが、まだ、横方向のアーチはチェックしていません。(2/24)


また、この段階で裏から組み立てたリブを乗せ、周囲の出具合をチェック。

鉛筆の線、一本分、大き目にカットしておいてありましたから、
そのことを含め、周囲の出が均等になるようにして、粗めのペーパーで成形し、整えました。
そして、とりあえずやってみたかったWパフリングのの、内側部分だけを彫ってみました。

今回は細めのパフ材ですから、外周から7.8mmと6.4mmにパフリングカッターで切り込みをつけ、クリーナーで彫り進みます。

パフリング・カッターはケガキと同じで、ちょっとした筋しかつきませんから、その二本のすじの間をきれいに彫るところから、この道具は洋名で「クリアー」と呼んでいるのでしょう。

さて、ここで久々になりますから、あらためて筆者のパフリング・ツールをご紹介しましょう。。
1. 左から、お手製のパフリング・カッター。
2. そのとなり、黒い柄のナイフはデザインナイフですが、パフリング・カッターの切り込みをさらに深く切り込んだり、C部突端などの細かなところで使っています。

3. つぎの小型の彫刻刀の三角刀は、子供が年賀状の版画で使っていたもので、これもパフリング・カッターの切り込みの補助にしています。

4. つぎの、細い彫刻刀は市販の鎌倉彫用のもの。
刃の幅1.5mmという特殊なもので、これは、十年ほど前、ある旅行で刃物の街にいったとき、自分用のおみやげとして買ったもの。
こんなので2K円もしましたが、さすが手打ち、良く切れます。

5. 6. つぎの2本は精密ドライバーの、不用なビットを研ぎ出してつくったもの。

7. 8 .9. その上三本は、いずれも鉄ノコの不用な刃からつくったものです。

10. いちばん右上のものが、弦楽器専用ツールとして売られているクリアーですが、やはり外人向きのつくりなんでしょうか、ボクにとっては、手作りの鉄ノコのもの以下、使いにくいしあまり良くありません。

ご覧のように、刃の構造そのものを、これまでSの字にする必要はないし、もし、ここまでするなら柄はまん丸でない方がいいのです。

柄の断面は、刃の上下がはっきり認識できるように、長方形、もしくはそれに近い楕円であるべきです。


例えば、お手製の愛用品の6.の柄は、
人差し指の先が当たる部分を削ってあり、黙って、
目をつぶってにぎっても、刃を正しい向きでにぎることができるし、
刃の上下の位置がはっきり認識できるほどです。

この手製のカッターにしても、得意の木工を利用し、カエデ材の柄の部分に、
スライドさせる刃の部分とを組み合わせた簡単なものですが、
にぎりやすく、刃先に力を加えやすいような構造にしてあります。

刃は、ご覧のように一枚のシングルですから、1本のパフリングでも、内側の線と外側の線の2回に分けて切り込みの筋をつけます。

刃の出し具合の調整や刃を研ぎなおすときは、
上のビス1本で、刃を簡単に外すことができます。

刃先の出具合(エッジからの厚み)は、後ろの(影の中の)ビスで、
刃先がエッジから何ミリか、スライドさせてアジャストします。
今回は、Wパフリングですから、いままでよりいちばん外周の線が
エッジから2.8mmと狭いのです。
そのために刃が当たってしまって、それ以上薄くならなかったので、
ご覧のように、ヤスリで削り、狭くなるように対応しました。
(左の写真で、ニスがはげている部分。)
このアップ写真は、いちばん左が鎌倉彫用の彫刻刀。
刃の材質がいいためか、しっかりと研ぐと良く切れるのですが、惜しむらくは全体が一直線のストレート型。
刃幅が1.5mmですから、曲線部分になるとイマイチです。

やったことのない方はお分かりにくいかも知れませんが・・・、どうしても、刃を30度とか40度に、寝かせて切ろうとしますから、刃そのものの根元で、狭い溝の淵をこすり、少し無理をすると、切り口のエッジをボロボロと欠いてしまうのです。

その欠点を考慮したのが、7.8.9.10.のように、刃の先端の水平軸を柄の軸から少し下に下げてあるのです。

あとの2本は精密ドライバーからつくったもの。

なぜ、ドライバーかというと、ドライバーのビットには、とりあえず炭素綱(刃がね)が使われているので、良く研いで使うと、ただの鉄よりも切れ味がいいのです。

いずれも、刃の幅、研ぎ方(刃のつけ方の角度)など、使い勝手がいいものをTPOで使い分けしています。

特に、今回のように、細いパフ材を使ったとき、あるいは曲線がきついところなどでは、とりわけ刃幅を1.0mmと狭くしてあるし、刃先の元を足のかかとのように削ってあるので、いちばん右側の、愛用品がいちばん具合がいいのです。
彫刻刀のクリーナーで彫ったあと、この鉄ノコの刃の部分を残したクリーナーが活躍します。

彫った結果で彫り口の断面が、どうしてもUの字のように、多少、シャープさがかけたりします。

できれば、パフ材の断面が長方形なのですから、それに合わせてカタカナのコの字を上向きに倒したような、シャープな切り込みにしたいわけです。

そんなとき、この刃の部分で、そのUの字のアールになっている部分をこすって角にするのです。

また、溝をほんのちょっと太くしたり、というようなとき、ペーパー代わりとしても機能するなかなかのすぐれものです。 材料はただだしネ!


ということでも・・・、早速、パフ材をアイロンで曲げ、

ニカワを溶かし、貼り付けました。チェロのときと同様、ベタベタと汚れた手で触ったりして汚くしました。(4日・晩)
翌・5日の早朝、例によって朝日が差し込む工房の作業デスクで、
丁寧にチャンネル彫りをしました。
こうした細かな作業は、やはり、朝イチが緊張感も漂い、気持ちがいいです。


(* チャンネル彫り = ニカワで貼り付け、はめ込んだパフ材はそのままでは、まだ材の幅の一部が板の表面より出っ張っています。

その余分な部分を削るためと、エッジを反り返えらせるため、丸い彫刻刀で、パフリングのところに溝を掘る作業のこと。

その溝を、あとから丁寧にアーチングに溶け込ませるように、スクレーパーでなだらかにならしたり、エッジを成形して整える[エッジング]をします。)
チャンネル彫りで、周辺部を少し彫りましたから、後から後悔しないよう、ここで、もう一度、アーチング・ゲージでアーチをチェックします。

これで、裏板の表側ができたことになります
これから、裏側の削りになります。
裏板の荒削りのついでに、外形だけを切り抜いてあった表板の表側も荒削り、そちらもご覧のように、アーチングをチェックする段階になりました。

もちろん、裏板の裏側も荒削りが済み、グラデュエーション(板厚)の調整段階を迎えています。
そして、今日は久々に各種・豆カンナの刃を研いだりしました。
やはり、刃物は良く切れることが、能率がいい、いい仕事をすることにつながることは間違いありません。

夜、8時半まで工房で作業に没頭していましたから、夕食は納豆と湯豆腐。
お米さえ炊いてあれば、今夜の献立はなんの準備もいりません。

ただ、なんとなく植物性タンパクただけで、ビタミン不足の内容でしたから、食後に、シーザー・サラダとしてレタスの葉2枚分を、ドレッシングでサラリと食べました。

こんな日には、食後のコーヒーがまたうまいのです。今、飲んでいる豆はブルックスのロイヤル・ブレンド。これがまたお気に入りで、さらなるうま味を増幅しているわけです。

というわけで、今日、一日でだいぶ進んだように感じています。(2/6夜)
あるメール仲間からのメールで、『シャリシャリとか、サクサクと削った、と書いてありますが、木が、本当にそんなに軽く削れのですか?』という質問?というか、表現オーバーの疑問が寄せられました。

そこで、愛用のデジカメ(オリンパス)でも動画が写せることを思い出し、三脚を立てて久々に動画を撮影したのです。

ただし、照明をつけたり、カメラの位置の関係で、移動可能な作業台を使いましたから、テーブルがやや不安定で動いたりしています。

でも、ノミも、昨日、研いだばかりでしたから、なんとか楽々と削っている様子を写すことができました。

ぜひ、ご覧下さい。
ただいま、ホームページ全体の容量の関係で、
大きな容量をしめる動画のリンクは外してしまいました。

申し訳ありません。(m_m)

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