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= 実験工房 = 次世代?のヴァイオリンは・・
制作もいよいよ大詰め

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ブリッジもデザイン・制作 変形ヴァイオリンだけに、つきなみな普通品は使いたくない!
いよいよ完成 さあ、できばえと音色は?

   ◇ ブリッジもデザイン・制作  

本体が本体だけに、つくり手としては、駒ひとつにしてもこだわりたい。

ニスを乾かしている間、いろいろと考えてみた。立てかけてある駒の右側から、少し古いタイプの駒。

白く大きいのが、普通のフランス製Aubertの未加工・新品。

3番目は、普通タイプのものから、振動の伝達に関わりない(と筆者が考えている)
装飾的な出っり部分や不用部分を極限まで削り取ったもの。

いちばん左端は、3番目と同様の形のまま、中央部の切り抜きデザインを変えるもの。

水滴を逆にしたような、少し大きめな流線型の穴、それに、左右に二つの穴をくり抜くつもり。

下の2枚は、固く、軽そうなカエデ材の端材から切り出し、
ヴァイオリン型でも、チェロ型でもない、独自にデザインしたものをこれからつくろうとするもの。
 
従来型の駒は、なぜか上からの弦の圧力をそのまま、直接的にではなく、
駒の中をあたかもSの字を描くように、振動経路が設定されている。

つまり、中央のハート型のくり抜きにしても、左右から食い込んでいる丸にしても、
弦の位置から、両方の脚に向かって線を引いてみると、決してまっすぐではないことが分かる。

・ もし、それを直接的な線として通してしまうと、ギスギスした音になるのか?

・ やわらかい、やさしい音が出しにくくなってしまうためなのか?

・ そのために、昔から、わざわざ遠回りさせていることだって考えられなくもない。

それをあえて、右下のカエデ材に描いた図のように、振動の伝達速度を重視した考えで、
できるだけ短い距離で伝達できる構造を考えて見た。

各弦の位置から、それぞれの脚の重心(筆者は、駒の脚の重心は、駒上部の曲線、
それに表板のアーチングなどから、それぞれの脚の中心ではなく、内側2/5程度ぐらいのところにくるものと思っている)
に向かって直線を引き、 穴を空ける際には、その通過経路を避ける位置に設定した。
 
その方が反応がよく、声量も大きくなると仮定しての実験である。

   ◇ いよいよ完成  

指板を削りながら、ナットやサドルも普通通りにつくり、あとはニス仕上げを待つのみ。

C字孔でも、ストップ(正しいブリッジ)の位置にはほんの少しだけノッチ(切り込み)を入れた。

ボディ全体が、見かけがふっくらしているので、ボタン(ネックの付け根・裏板側の丸く出っ張らせた突起)
部分は直径22mmと、普通よりほんの少しだけ、大きめとった。

ペグやテールピース、スポアーなどのフィッティング用品はローズウッド製、弦は、ドミナントを張った。

魂柱も標準の6mm径のものだが、やや標準位置でOK。

はじめて音を出してみて、いままで自分がつくったどれよりも、声量があり、別の弦で開放弦の音程を弾いたとき、

その開放弦への共鳴も大きく感じられた。実に嬉しい!

上の写真でお分かりのように、
エッジ処理はストレート。
チャンネル彫りの反り返りはありません。

ニスが仕上がったスクロール?も決して悪くない!

完成・全体図

次のレッスンには本器をたずさえて行き、第三者としてお師匠さんに試奏をお願いし、評価してもらった。

レッスン前にニューモデルを出したら、先生、 『うわぁ〜、なんとなく、C字孔が猫の顔に見えてかわいい!』。

先生も、中年(失礼!)とはいってもやはり女性、視点が違う。

確かに、逆さにして見ると、眠っている猫の顔に見えなくもない。

『音は?』と聞いたら、いろいろと試奏してから 、

『家具にたとえると、ゴテゴテといかつく飾り立てたもののようではなく、すっきりと明るい感じ?・・・でしょうか』との評価。

また、『この駒も、この楽器にはユニークで合っているわね』・・・と。

声量はあるものの、先生のオールドから比べると、やはり、それは熟成していない新作の音なのか。
 
「すっきりと明るい音」という表現は、「よく通る透明感のある音」と捉えたのか、今回は、あまりしつこいつっ込みは入れなかった。

以前にも似たような論評を受けたことがあり、『明るい音というは、軽い音ということでしょうか』とのつっこみの質問に対し、

『そういう意味ではありませんよ』、という答えをもらった経緯があるからだ。

それに、自分の中ではある意味での仮説が立証されたり、想像の世界が具現化したことなど、

満足感が大きかったこともあり、くどくど聞く必要がないと思ったからだ。

なお、この指板は、だいぶ前に外しておいた量坂品の塗り物の指板をサンプルして、

うっかり切り出したため普通の長さより1センチほど短かかったもの。

そのことと、わずかにネックが太目だったことをめざとく指摘された。

『指板と駒との間が、少し広く空いていてヴィオラみたいに見える・・』と。

その、うっかりと計らずに身近なサンプルで切り出した経緯を説明し、

『ボクの段階では、どうせそんなハイポジは使いませんから、そのまま使っちゃいました』と弁明。

自分でも、まだ、なんとなくネックが少し太いように感じていたものだが、

早く音を出してみたいという欲望が先走り、完成を先行させたこともあって、まだまだ、多少の手直しは必要。

レッスンや練習に使いながら、これから、じっくりと修整していくつもり・・・。(05. 6/19)

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