broken_viola2 大きく割れたヴィオラの修復 2 HOME

   いよいよ修復開始   
表板の割れは、いつものように貼り付けて修復。

ついでに、全体のニス色が、くすんだ茶で、好きではない色だったため、
周辺部以外のほとんど全部をスクレーパーで剥がした。

それは、同時にやっているセミ・オールドのヴァイオリンに似た
仕上げにしたいので、それでニスを剥がしたわけ。

ご覧のように、周辺部を少し濃い色にして、
中央部に意図的なムラにしようと考えてのこと。
前ページで解説した魂柱パッチを貼り付けているところ。

ここは、「パッチを貼った」という厚さを感じさせないように仕上げます。

表板の4つのコーナーはすべて欠けていて、その補填。

あらかじめ、木目を合わせてあるスプルース材を適度な大きさにカット、
爪楊枝をダボ・ピンにして貼り付ける。
ダボの爪楊枝は、ニッパーやカッターナイフでカット。

ペーパーやヤスリを使って丁寧に成形します。
ときには、型崩れしていない裏板に合わせて成形。

アッパー、およびローアのサイドも、年輪1本分を補填。
ネック・ブロックにも「欠け」があり、結局、取り替えました。
ボタンの形も、三角に近い、きれいな円でなかったので、
それも成形し直し、まぁまぁの半円に修正した。

そのボタンに合わせ、ネックの根元も削ります。

本器の縞黒檀と、市販のヴァイオリン用の黒檀の指板。

通常、裏側は先端から130mmしか、アールが彫り込んでないので、
それをネックの根元ギリギリまで彫り進めたもの。

これは、もともとがアーチになった丈夫な黒檀、少しでも削って
ダイエットさせるためのこと。

そして、ネックを本体に接着。
   ◇ そして完成!   
 
After

After
Before
Before

指板は、元から付いていた縞黒檀、その杢もかえって筆者の好み。


そのため、ペグ、テールピースには似た仕上げのローズ・ウッドを使用。
いったん剥がしたニスですから、好みの色で、何度も何度も塗り重ね、
塗っては研ぎ出し、磨いては塗るの繰り返しでようやくきれいになりました。

ペグとテールピースはローズウッド、スポアーは少し大きめで
外しておいたグァルネリタイプのエボニー。

弦はドミナントを使用。

音は、やはり古いものだけあって、自作のものよりいい感じ!

半分は悔しく、半分は嬉しいという何となく複雑な気持ちなのが本音。

なお、今のところ魂柱パッチの悪影響はまったく感じられません。

ちなみに、このニスはヨーロッパ製・缶入りのものを使いました。

26. Sep. 2009 追記
Repair_index Page Top   HOME