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欧米のリペアー師がやった、ネックの修復にはひどいものがあります。
日本人(の木工関係者)としては、たとえば、床柱を真ん中で接ぐようなもので、
決してしてはならない接ぎ合わせの実例をお目にかけます。


ペグボックスが割れたり折れたものの修理だが、側面で接いでいる。


反対側も同じ、否が応でも目につきます。

しかも、当て木にした部材も厚さが均一ではないため・・・、



ボックスの幅にも凹凸がありました。

黄色の線のように、本来なら、ペグボックスの側面の1/2で接ぎ合わせることができるはずです。

入手した当初、ご覧のように、ガット弦がセットされていました。

それだけ古いことの証明にもなるし、考えようですが、あちこち修復した形跡があるということは、前の持ち主が愛用していて、かなりの費用を出してでも、使いたいと考えた結果でしょう。

使いやすかったのか、音色がとても気に入っていたのでしょうか、ともかくユーザーのお気に入りだったはずです。


ノコとカンナで側面をそぎ落としたところ。


木目が合う端材から、4mm厚の薄板を削りだし・・・、形に合わせてカット。

真後ろから見ると、こんな感じでカット。

それから、ニカワでしっかり貼り付けます。

それを成形して削り、合わせます。


接ぎ目はスクロールの第一周の延長線ですから、
本来の木目とまったく平行。
手前のヒール側にしても、これならネック継ぎのジョイントのようで、
まったく違和感がありません。(ステインで着色だけしたところ)

ペグ穴も注意深くあけます。

こちら側から見ても、いい感じです。
ヒール側のアップ。

ただいまは木地に着色のみ、これで、ニス仕上げしたらよくなります。

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