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木工の楽しさ・おもしろさ
 No.8

トコロテン(心太)・突き棒 2005.6.30
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どうして急にそんな気になったのか?
ともかく、額に汗をし、板をカンナでシュルシュル削りながら考えていた。
テレビで、寒天は食物繊維が多く、その結果としての整腸作用があり大腸ガンの予防になったり、
カロリーがゼロに近く、上手に使うとダイエット効果もあるという。

小生も、標準体重から比べると10Kgほど、家内も4、5Kは多いらしい。
ところが、かなり気をつかって減らそうとしても、皆さんご承知のように、なかなか減るものではない。

その上、この蒸し暑さ! どうしても、急に、トコロテンが食べたくなったわけ。
それで、家内に、「おい、トコロテンをつくる道具、家にもあったよなー」と聞く。
「あったと思うけど??、どこかに入っているんじゃなーい」という、そっけない答え。

















家内は口だけで、あまり動こうとしない人、反対に、小生はまず行動が先。最初のセリフ一言の時点で、もうすでに流し台の前に到達している。

しかし、流し台の中、吊り戸棚、どこを探しても見つからない。ガタガタ探していると、「すぐ、食べられるものが売っているよ」と家内はいう。

やはり、すぐに立って買いに行くわけではない、ここでも彼女は口だけ。

そんなことぐらいは、小生だって分っている。確かに、もう細くして、タレを袋からやぶって入れるだけのインスタント・パック詰めは売られている。
突き棒? 天突き?(正しい呼称かどうかは不明)だって、二、三軒、金物屋さんかホームセンターをハシゴすれば、店ざらしの、 ホコリにまみれたものなら手に入らないわけではない。

しかし、木工が趣味でヴァイオリンだってつくっているのに、この程度のものがつくれないわけはない、と、つまらない見栄と、 挑戦心がムラムラとわいてしまったのだ。しかも、自分のところでつくるとなると、食感の決め手である好みの太さのものが、 いつでも、好きなような味付けでつくることができるわけである。

思いつくとすぐに行動に移るのが小生の習性、それで、以下のようにしてつくったというわけ。
構造は至って簡単。四角い筒とそれに見合う押し具だが、先の方にごく細いワイヤーを網目に張り、それが細くするカッターになる、それだけのものである。

つまり、固まった寒天を、ほどよい大きさに切ったものをその筒に差し入れ、後ろから突き出すことによってパスタの麺程度の太さに切る構造のものをつくればいいわけだ。

水を使う道具であるから、手持ちの端材の中から素材選び、耐水性の強いヒバか米マツを使おうと思い、結局、選んだのが端材の米マツ。

8分ほどの分厚いものだったので、それを半割にしてして削り、3分弱程度の板にした。

ここは、柾目に使うヴァイオリンと違い、板目の方がいい。

板にしてしまえば、あとは細長い箱にすればいいのだが、やはりヴァイオリン制作者、ただぶつけるだけでは気が済まず、 写真のように、Lの字状の切り込みをつけて組み合わせた。

それを木工用ボンドで接着、クランプして圧着、釘は、あとからステンか真鍮の、丸・小頭釘を補助程度に、一辺に2、3本ずつ打つつもり。

ささやかでも、こだわりたいのだ!














使





押し棒にしても柄とヘッド部分とは、ただ釘で締めるのではなく、ホゾを彫ってボンド付けにした。

柄も、家内が使っても使いやすいよう、グリップ部や中間部に削りを入れ、変化をつけた。柄について家内に聞いたら、家内は丸棒がいいといった。

そのあたりが男と女の違い、ヒシャクの柄なら、ボクだってきっと丸棒にする。

だが、押し出す際に、先端が長方形であることから、手に抵抗がないように、丸みをつけた長方形断面の方がいいと判断、これはもう絶対に角でいきたい。

さらに、実際に押し出す際、底辺に平行にすれば問題はないが、どうしても柄を握っているわけだから、やや上の角度で押すようになる。

そうすると、最大、押し出した時点で、ケースの口にその中間が触れる。

その意味も含め、中間部を細く丸くスライスしたわけ。

演奏しやすいヴァイオリンづくりのように、ここでも小生独自の人間工学である。
ここまでできると、あとは接着剤の乾燥(今の陽気だと、実用強度にたっするのが4、5時間で十分)をまって、 「カッター」のためのワイヤー張り。

これは、ゆで卵を薄くスライスする道具と同様、細いワイヤーを張ればいい。

ゆで卵スライス器は、ただ平行にするだけだが、こちらは縦横十文字にする必要がある。

さて、素材を何にするか、・・・理想は、さびなくて丈夫なステンレス。

でも手持ちがない。それなら、切れたE線にしようか、と迷ったけど、ストックしてあった真鍮の針金を張ることにした。

同じ太さの銅線ももっていたが、銅は伸びやすいからやめ、銅よりかなり固い真鍮にし、箱の出口、周囲には1mm程度のノコ目を入れ、ジグザグに編むワイヤーの隠し溝にする。

そこに、等間隔に1mmドリルで穴をあけ、順次、真鍮・ワイヤーを織り込むようにして差し込み、しっかり引っ張っていくだけ。

最後に、ノコ目にしっかり差し入れるように、2、3周、余分に巻き、半田づけして補強、そうすればゆるむこともないはず。
この作業、とても面倒なようだが、この工程だけで1時間ほどで完了。

さて、シンチュウも銅の合金、さびれば毒性のある緑青が出ることも承知のこと。


オフシーズンでしまう際、完全に乾かしておけば問題はないし、
よしんば錆びたとしても、それは銅板で葺いた
屋根づたいの水を飲むほどの絶対量ではない。

全く問題はない!












  ここまでできると、もう仕上がったようなもの。

あとは細かな部分を成形し、さらに耐水性を高めるように薄いニスで仕上げるだけ。(写真は完成時)

そして、テングサを煮て食べるだけ・・・。

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