カワノリの採取と食用
  カワノリを採取し食用に供した歴史は古く、すでに「和名抄」に”水苔”(カワナと
読む)がでている。また、鎌倉時代には、すでに地名を冠した特産品として「
芝川
のり
」が知られていた。戦国時代には「富士のり」が武田信玄によって朝廷へ贈
られるなどし、武家等上層階級の間で食品として茶席などに用いられていたよう
である。

採取時期   8月〜11月 
採取の方法 渓流の岩の面に着生しているカワノリを指でつまむようにして採取
        する。
食べ方 @焼き海苔(アサクサノリと同様にすのこに広げて乾燥し、焼いて食す。)
     A酢の物(三杯酢にして食す)
     B吸い物(吸い物の椀種とする)
     C佃煮(醤油で煮付けて佃煮とする)
メ モ
 カワノリは浅草のりほどの香気もなく、歯ざわりも硬く、食品としての価値が高いとは言えないが、
産出量が少ないことから珍重されてきた。しかし、最近はほとんど興味がもたれなくなり、土地の人
たちからも忘れ去られつつある。
参考文献
安原健充・新崎盛敏 1979 静岡県東部地域にみられるカワノリの分布と生育及び製法について
          日大生活科学研究報告2:21-32
石川友一 1984 荒川水系のカワノリ採取 あらかわ2:5
石川友一 1988 カワノリ 荒川総合調査報告書4:125-138
岩本康三 1984 日本におけるカワノリの分布 藻類32:167-185
原口和夫 1995 埼玉県荒川水系におけるカワノリ(Prasiola japonicaYATABE)の分布と着生環境
          埼玉県立自然史博物館研究報告13:29-35

                                                              戻る